F1は「静けさの中で勝て」 ピアストリの台頭とノリスの脆さにプロストが言及
2025年のF1選手権でオスカー・ピアストリが首位に立ち、注目が集まるのはサーキット上だけではない。舞台裏でもプレッシャーは高まっている。

その緊張感を誰よりも理解しているのが、4度のワールドチャンピオン、アラン・プロストだ。冷静沈着なアプローチで「教授(The Professor)」の異名をとったこのF1界のレジェンドが、ピアストリとマクラーレンのチームメイト、ランド・ノリスに対し鋭いアドバイスを送った。

シーズン6戦を終えた段階で、ピアストリは4勝を挙げ、ノリスに16ポイント差をつけてランキング首位に浮上。序盤のタイトル本命と目されたノリスの構図は、完全に覆された。

ピアストリの“静かな強さ”
プロストは、ピアストリの控えめな性格に自らを重ね、その冷静で無駄のないレース運びを高く評価している。

「新たな選手権リーダーとなったオスカー・ピアストリは、多くを語らない」とプロストはフランス『L'Équipe』紙に語った。「彼の私生活についてはほとんど知られていない」

「彼は生来控えめで、レースとレースの間では姿を消すことでプレッシャーから解放されている」

ピアストリは、言葉よりも走りで自身を語るタイプだ。プロストはその姿勢を「評価すべき」とし、さらに「そのまま貫け」と助言している。

「彼にひとつアドバイスを送るとすれば、『静かにしていろ』だ。モータースポーツはもちろんサーキット上で行われるものだが、同時に“心”の中でも行われている。心理戦は非常に重要な要素なんだ」

「私の時代でもそうだったが、いまではSNSの影響でその重要性はさらに高まっている。今の時代は、すべてが見られ、すべてが体験され、すべてが知られる。多くのドライバーが、何でも共有しようとする傾向に流されてしまっている」

「だが、そうすることでかえって自らにプレッシャーをかけてしまう。私はむしろ、控えめな姿勢を選ぶ方が賢明だと考えている」

オスカー・ピアストリ と ランド・ノリス マクラーレン F1

ノリスには「さらけ出しすぎ」のリスク
一方でプロストは、ランド・ノリスの“見せすぎる”スタイルに警鐘を鳴らした。

「ノリスは常にSNSに登場している。クラブにいる姿まで見せている」とプロストは厳しく指摘。「さらに、彼は自分の弱さをレース中に認めてしまう」

「自分を見せれば見せるほど、脆さが露呈してしまうものだ」

ここ数週間、ノリスはピアストリにパフォーマンスで遅れを取りつつあることで、精神的に不安定になっているとの指摘が強まっている。元F1王者アラン・ジョーンズも、「あれは弱さの表れだ」と発言しており、プロストの見解もこれに近い。

「私はランドを非常に高く評価しているが、彼にひとつアドバイスをするとすれば、『黙っていた方がいい。自らを弱く見せるべきではない』ということだ」

「その影響は非常に大きい。ドライバー仲間に限らず、チーム全体――特にメカニックやエンジニアたちに与える印象にも影響する。それは思っている以上に重要なことだ」

アラン・プロスト F1

“教授”が授ける成功の処方箋
2025年のF1タイトルを争うピアストリとノリス。その戦いの行方は、純粋な速さだけでなく、メンタルの戦いにも左右される。

控えめなピアストリの姿勢は、プロストが重視する“静かなる強さ”の体現者だ。一方で、才能とカリスマ性に溢れるノリスには、ありのままの自分をどこまで見せるかという難題が突きつけられている。

F1という世界で、心理戦が勝敗を分けることも少なくない。プロストのアドバイス――「黙っていろ、強くあれ」――は、マクラーレンの2人にとって、己を乗り越え、タイトルを手にするための鍵となるかもしれない。

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / ランド・ノリス / オスカー・ピアストリ