マクラーレン ホンダF1 メキシコグランプリ フェルナンド・アロンソ
マクラーレン・ホンダは、F1メキシコグランプリの決勝で、フェルナンド・アロンソが10位入賞。ストフェル・バンドーンは12位でレースを完走した。

メキシコGPでは、グリッド最後尾からスタートしたマクラーレン・ホンダの両ドライバーが難しい状況下だばらしい走りをみせ、厳しいレースの中で激しいバトルを展開した。

19番グリッドのストフェル・バンドーンは見事なスタートを切り、1周目の最後には13番手に浮上。一方、18番グリッドからスタートしたフェルナンド・アロンソは、2周目の最後にはバンドーンのすぐ後ろの14番手につけた。5周目までにバンドーンは10番手、アロンソはロマン・グロージャン(ハース)の後方の12番手までポジションを上げた。アロンソとグロージャンは力強いバトルを展開。その中でグロージャンは、コースオフした際にアドバンテージを得たことからあとにペナルティーを受けたものの、アロンソはグロージャンをオーバーテイクし、チームメートのすぐ後ろの11番手に浮上した。

その後、バンドーンとアロンソはマーカス・エリクソン(ザウバー)の後方で数周引っかかり、ストレートに続くコーナーで追い抜くチャンスを狙いながらも、エリクソンのマシンに十分に近づくことができなかった。18周目にはアロンソがバンドーンの前に出て、エリクソンを追い抜こうとしたものの、オーバーテイクが難しいことで知られるサーキットでは、アロンソも苦戦を強いられた。

30周目にブレンドン・ハートレー(トロ・ロッソ)がリタイアし、バーチャルセーフティカーが導入されたものの、そのタイミングが少し遅かったために、マクラーレン・ホンダのピットでコミュニケーションのミスが発生。バンドーンへのピットストップの指示が遅れ、ピット作業でも遅れが生じたため、そこで5秒以上の時間をロスし、バンドーンはコース上でフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)にポジションを明け渡す結果となった。11番手に下がったバンドーンは、52周目にはチャンピオンシップをかけて戦っていたルイス・ハミルトン(メルセデス)と短いバトルをしたのち、12番手までポジションを落とした。レース終盤には15周と長きにわたってマッサとの接近戦を繰り広げたものの、オーバーテイクをするには至らず、バンドーンは12位で完走した。

一方、フェルナンド・アロンソはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)と果敢なバトルを展開。最終的にはベッテルにポジションを奪われたものの、バンドーンよりも1周あとの32周目でピットストップした際には8番手につけた。ピットストップの際に、さらに1つだけポジションを失ったが、その後、アロンソは前方のケビン・マグヌッセン(ハース)を追いかけ、8秒以上あったタイム差を短縮。マグヌッセンのすぐ後ろで長い間走行した。2人は34周にわたってバトルを展開したものの、最終的にアロンソはマグヌッセンを追い抜くことができなかった。レース終盤にはハミルトンとの接近戦を繰り広げ、残り4周の時点でポジションを譲るまでは、グランドスタンドで観戦するファンを魅了した。最終的にアロンソは10位入賞となり、見事な走りに報いる1ポイントを獲得した。

フェルナンド・アロンソ (10位)

「グリッド後方からスタートしたことを考えると、全体的にはいいレースだったし、ポイント圏内で完走することができた。今週末は、マシンに対して非常にいい手応えを感じており、コーナーでは力強さがあった。レース全体を通して、ハンドリングとバランスもよかった。ストレートでアタックを仕掛けたり、ディフェンスをしたりする際のスピードが少し不足しているので、レースの半分はザウバーのマシンの後ろで引っかかり、その後も何周にもわたってマグヌッセンを追い抜くことができなかった。マグヌッセンの後方でDRSの作動範囲から外れると、すぐに無防備な状態になった。だから、ハミルトンを後方に抑えることはできなかったと思っている。懸命に戦い、ブレーキを毎回少し遅いタイミングで踏み、自分のポジションを守ろうとしたものの、9番手のポジションを死守できず、1ポイントを失った。いいバトルだったが、(ハミルトンと)同じマシンではないので、難しかった。次はブラジル戦だ。次戦でもまたポイントを獲得したいと思う」

ストフェル・バンドーン (14位)

「今日はすばらしいスタートを切り、1周目の最後には13番手に浮上した。ただ、ストレートでのスピード不足を思い知らされた。ザウバーのマシンを後方に留めることさえできず、その後もほとんどオーバーテイクができず、劣勢だった。それでも前方にマシンがいないときのペースは非常によかったし、マシンに対する感触も良好だった。今日は最後尾からスタートしたので、厳しいレースになることは分かっていた。レース終盤には数台のマシンが接近した状態で走行していたので、とてもエキサイティングだった。ただストレートでのスピードは、やはり不十分だったし、難しいレースだった。今日は入賞の可能性があったと思うが、スピード不足に加えて、バーチャルセーフティカーの導入が遅れたことによるピットストップでの時間のロスがあり、思うような展開にはならなかった。ポジティブな点は、とても力強いペースがあり、完走したことだ。ただ、ストレートでは今もかなりのスピードが不足している。今日、チャンピオンに輝いたハミルトンに対して、お祝いの言葉を述べたいと思う。今季は力強い戦いを繰り広げていたし、偉大な功績だ」

エリック・ブーリエ (マクラーレン・ホンダ レーシングディレクター)

「今日は、両ドライバーにとって非常に厳しいレースだった。それでも、難易度が高いことで知られ、パワーの差が浮き彫りになる複雑なコースレイアウト、オーバーテイクはほぼ不可能とされているサーキットで、さまざまな制約がありながらも、2人のドライバーが見事な走りをしてくれた。フェルナンドもストフェルも力強いペースをみせ、何度も惜しいオーバーテイクを試みたものの、懸命な努力に対する報いを得ることはほとんどなかった。ただマシンのポテンシャルがあること確かだ。両ドライバーは、18番および19番グリッドからすばらしいスタートを切った。結局、10位と12位という結果から1ポイントしか獲得できず、マシンのポテンシャルを十分に示せなかったことは、フラストレーションが溜まる。両ドライバーは毎戦困難な状況に立ち向かっているが、2人とも今日のコース上での自分たちのパフォーマンスを誇りに思うべきだ。我々よりもパワーのあるライバルチームのマシンに対して戦いを挑む姿をみて、うれしく思った。今回のメキシコ戦で得たポジティブな点は、標高が高いことに起因する技術的な難しさや冷却の問題があったにもかかわらず、2台揃ってレースを完走したことだ。我々はここから次戦が開催されるブラジルに向かう。次戦のサーキットは、今回よりも自分たちのマシンに適しているはずだ。来年に向けて開発を継続する中で、車体をさらに改善するために懸命にプッシュしていく。また、今日4度目のチャンピオンに輝いた、元チームメートのハミルトンに対して、お祝いの言葉を述べたいと思う。今日のようなレースを今後さらにF1で展開できればと思うし、来年ハミルトンとコース上でエキサイティングなバトルを繰り広げるのを楽しみにしている」

長谷川祐介 (ホンダ F1プロジェクト総責任者)

「今日は2台ともに最後尾からのスタートだったにもかかわらず、苦戦が予想されたここメキシコでポイント獲得に至ったことはすばらしかったと思います。フェルナンド、ストフェルともにすばらしいスタートを決めて、終始入賞圏内に近いところでの戦いを続けてくれました。特に初日からマシンにいい感触を得ていたフェルナンドは、最後まで熱いレースをみせてくれました。18番手からスタートしての10位という成績は賞賛に値します。ストフェルもスタートから大きくポジションを上げましたが、惜しくも12位と、ポイント獲得には至りませんでした。我々のPUについては、薄い空気や高気温に苦しんだ部分はありましたが、このタフなコンディションで問題を起こすことなく完走できたこと、そして長いストレートがある中でもポイントを争うだけのスピードをみせられたことは前向きに捉えています。チームの的確なタイヤ戦略も奏功していましたし、今日はチームの全員がすばらしいレースをしました。マクラーレン・ホンダとしては残すところあと2戦になりましたが、今日のような熱いレースが披露できるよう最後まで全力で臨みます」

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / ホンダF1 / F1メキシコGP