アイザック・ハジャー レッドブルF1でフェルスタッペン対策「最初は負けていい」
アイザック・ハジャーは、2026年F1シーズンにレッドブル・レーシングでマックス・フェルスタッペンのチームメイトとして戦うにあたり、従来とは異なるアプローチで臨む考えを明かした。

レーシングブルズでのルーキーシーズンを経て昇格した21歳のハジャーは、F1でもっとも難しいとされるシートに就くことになるが、本人は当初からフェルスタッペンより「遅くなる」ことを受け入れる姿勢を示している。

新レギュレーションがもたらす“白紙のスタート”
レッドブルは長年、フェルスタッペンの好みに合わせたマシン開発を続けてきた。その結果、極めて神経質でオーバーステア傾向の強い特性が、セカンドドライバーにとって大きな壁となってきた。

しかし、2026年F1シーズンから導入される新レギュレーションにより、RB22は白紙の状態から開発される。

「新しいマシンだ。マックスがすでに知っているクルマというわけではない。全員がゼロからのスタートになる」

「このタイミングでレッドブルに来られるのは、本当に幸運だと思っている。もしクルマがある方向に進む必要があるなら、僕もそこにいるし、もしかしたらそれは僕のフィードバックによるものかもしれない。だからワクワクしている」

ハジャーは昇格後、こう語っている。

“慣れていないこと”を武器にする発想
ハジャーはフォーミュラ・リージョナルからFIA F3、F2、そして現行グラウンドエフェクト最終年のF1まで、5年間で5つの異なるレギュレーションを経験してきた。

その適応力について問われると、次のように答えている。

「その通りだと思う。僕は何かに慣れているわけじゃない。ただ与えられたクルマをドライブするだけだ。それは大きなアドバンテージだと思う」

“最初の1か月は遅い”と受け入れる覚悟
ダニエル・リカルドが2014年にセバスチャン・ベッテルと互角以上に戦った例のように、新レギュレーション下で即座に結果を出す可能性もある。

それでもハジャーは、隣のガレージにいるのがフェルスタッペンである事実を強調する。

「もし同じレギュレーションが続いていたら、最初から彼と同じレベルにいるなんてあり得ない」

「この2026年F1マシンが、たまたま僕に完璧に合う可能性もある。でも同時に、相手はマックス・フェルスタッペンだ」

「彼には決まったドライビングスタイルがない。与えられたものに適応する。それが彼の強さだ。来年のクルマでも、今年と同じように、そしてその前の年と同じように速いはずだ」

“踏み潰されないため”の現実的思考
フェルスタッペンの隣で苦しんだドライバーたちは、最初から敗北を意識していたのではないかと問われると、ハジャーは否定した。

「むしろ逆だと思う。誰もが自分は特別だと思っている」

「『彼も人間だ。自分が勝てる』と思って入ってきて、そこで踏み潰される。そこから雪だるま式に悪くなっていく」

そのうえで、ハジャーは自身の考えをこう説明している。

「だから僕は、『どうせ最初は彼のレベルじゃない』と受け入れる」

「グリッドで一番のドライバーの話をしている。シーズン序盤に自分が遅い可能性は非常に高い」

「なら、今のうちに受け入れて、そこに到達するために努力したほうがいい」

「もちろん、彼と同じくらい速くなりたいとは思っている。でも現実的に見れば、その可能性はとても小さい」

最初から理想を追わず、現実を直視する。その“異端の構え”こそが、ハジャーなりのフェルスタッペン攻略法だ。

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カテゴリー: F1 / アイザック・ハジャー / レッドブル・レーシング