インディ500プラクティス2日目 パロウが最速 佐藤琢磨も順調に周回重ねる
NTTインディカー・シリーズのポイントリーダーであるアレックス・パロウが、今週水曜日に行われた第109回インディアナポリス500(インディ500)の2日目プラクティスで最速ラップを記録した。雨によって中断されたこの日のセッションで、パロウはチップ・ガナッシ・レーシングの10号車(DHLカラーのホンダ)で時速227.546マイルを叩き出した。これは今週始まった「世界最高のレースの祭典」に向けた準備期間の中で、2日間を通じての最速ラップでもある。

過去にシリーズタイトルを3度獲得しているパロウは、ここ2シーズン連続で王者となり、今季も開幕から5戦中4勝という圧倒的な強さを見せている。そんな彼にとって唯一の未踏の領域とも言えるのが「オーバルでの勝利」だ。その最大のチャンスが、5月25日(日)に開催されるインディ500となる。

「少しだけトラフィックの中で走ったよ」とパロウは語った。「それぞれのマシンが違うプランで走っているから、いつも通り難しい。でもいくつか良い走行もあった。マシンの感触は良いよ。もちろん、もっと良くしたいとは思うけど、今のところは順調だね」

「このレースは年間最大のイベントだから、僕らはそれを勝つために全力を尽くしている。ぜひ勝利を目指したい」

この日のプラクティスは、午前中の激しい雨のために開始が68分遅れ、その後も午後に2度(54分と15分)の遅延が発生。2.5マイルのオーバルを使用した予定6時間のセッションは、合計で3時間43分に短縮された。今週末の予選(PPG Presents Armed Forces Qualifying)が迫る中で、各チームには準備作業へのさらなるプレッシャーがかかっている。

2018年のインディ500勝者であるウィル・パワーは、火曜日に続いて好調を維持し、今度は227.026マイルに続く225.584マイルで2番手につけた(12号車 ベライゾン・チーム・ペンスキー・シボレー)。彼のチームメイトで、インディ500を2連覇中のジョセフ・ニューガーデンは、225.545マイルで3番手(2号車 シェルVパワーNiTRO+ チーム・ペンスキー・シボレー)となり、火曜日の2位に続く好調ぶりを見せた。ニューガーデンは、インディ500史上初の3年連続優勝を目指している。

2008年のインディ500勝者であるスコット・ディクソンは、前日に続いて4番手。PNCバンク・チップ・ガナッシ・レーシングの9号車ホンダで225.092マイルを記録した。5位にはコナー・デイリーがジュンコス・ホリンジャー・レーシングの76号車シボレーで224.931マイルを記録し、チップ・ガナッシ&チーム・ペンスキー勢に割って入った。

この日、最速ラップを記録したマシンはすべて、前走車から空力的な恩恵(トウ)を受けていた。一方で、決勝レース当日の混雑の中でも安定して走れるセッティングを見極めるのが各チームの課題となっている。

そんな中、注目すべきはアンドレッティ・グローバルの27号車(シーメンス・ホンダ)を駆るカイル・カークウッドが、2日連続で「単独走行」中の最速ラップ(222.760マイル)を記録したことだ。

この日は、予選進出を狙う34人のドライバー全員がコースインし、合計2,555周(6,387.5マイル)を走行した。

日本人ドライバーの佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング所属)は、今大会で自身15回目となるインディ500への挑戦となる。2度の優勝経験(2017年、2020年)を持つ佐藤琢磨は、今回もNo.75マシンでエントリーしており、限られた走行時間の中で着実にマシンの調整を進めている。

現時点で琢磨は中団グループに位置しつつも、長年の経験を武器に「レースデーでの伸びしろ」を重視したセットアップに集中しているとみられる。予選だけでなく、決勝本番での混戦を想定した走行を重ねており、今年も"インディの男"として一発の強さに期待が集まっている。

木曜日のオン・トラック活動は午前10時に再開され、2013年のインディ500勝者で、現在はアロウ・マクラーレンのチームプリンシパルを務めるトニー・カナーンによるリフレッシャーテストが予定されている。カナーンは、カイル・ラーソンの「代役」として待機しており、決勝当日にインディ500とNASCARコカ・コーラ600を掛け持ちするラーソンが天候の影響でインディアナポリスのスタートに間に合わない場合、彼の代走を務める可能性がある。

その後、正午から午後6時まで全車によるフルプラクティスが行われる。

第109回インディアナポリス500は、5月25日(日)午前10時(米東部時間)にスタート予定。

第109回インディアナポリス500 2日目プラクティスの結果

順位車番ドライバー名エンジン最高速度 (mph)周回数
110アレックス・パロウホンダ227.54699
212ウィル・パワーシボレー225.58485
32ジョセフ・ニューガーデンシボレー225.54546
49スコット・ディクソンホンダ225.09286
576コナー・デイリーシボレー224.93186
64デイビッド・マルカスシボレー224.61821
766マーカス・アームストロングホンダ224.40976
86エリオ・カストロネベスホンダ224.385114
924ジャック・ハーヴィーシボレー224.36165
1021クリスチャン・ラスムッセンシボレー224.18082
1145ルイ・フォスターホンダ224.16483
1226コルトン・ハータホンダ224.099102
1317カイル・ラーソンシボレー223.985107
1423ライアン・ハンターレイシボレー223.75754
1575佐藤琢磨ホンダ223.58387
163スコット・マクラフリンシボレー223.54592
1715グレアム・レイホールホンダ223.53981
1827カイル・カークウッドホンダ223.52792
1930デブリン・デフランチェスコホンダ223.13461
205パト・オワードシボレー223.10188
2128マーカス・エリクソンホンダ223.03679
2220アレクサンダー・ロッシシボレー223.03165
2360フェリックス・ローゼンクビストホンダ222.966112
2498マルコ・アンドレッティホンダ222.91442
256ノーラン・シーゲルシボレー222.86295
2651ジェイコブ・エイベルホンダ222.55263
278キッフィン・シンプソンホンダ222.47662
2883ロバート・シュワルツマンシボレー222.33593
2918リヌス・ヴィーケイホンダ222.32489
307クリスチャン・ルンガーシボレー222.25982
3190カラム・アイロットシボレー221.61855
3277スティング・レイ・ロブシボレー221.41947
3314サンティノ・フェルッチシボレー220.56626
3433エド・カーペンターシボレー220.47638


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カテゴリー: F1 / インディカー