インディカー:スコット・ディクソンがシーズン初優勝 / 2023年第14戦
インディカー:スコット・ディクソンが今シーズン初優勝を挙げてポイントランキング2番手へ浮上。ポイントトップのアレックス・パロウは7位でリードを広げる。

インディカー・シリーズ第14戦は今年2回目となるインディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースを使ったレース。1909年創業のこのサーキットには、全長2.5マイルの伝統あるオーバルコースの一部を利用したロードコースが2000年に完成し、近年のインディカーシリーズは1シーズンに2戦を行っている。

今年の5月に行われたレースでは、アレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)がシーズン初優勝を飾った。8月開催の最高気温が31℃まで上がった厳しいコンディション下での今シーズン2レース目は、彼のチームメートのスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が、1周回目で巻き込まれたアクシデントを乗り越えて、すばらしい勝利を収めた。

スタート直後のアクシデントでマシンに小さなダメージを受けたディクソンは、ピットでクルーたちによる素早い修復作業を受けるとコースに戻り、85周のゴールまで2回だけのピットストップで走りきる作戦に打って出た。スタートでハードタイヤを装着していた彼は、1回目のピットストップで修理、燃料補給、さらにはタイヤをハードからソフトにスイッチし、その後の全周回をソフトタイヤで走る作戦を採用。これらが見事に的中し、レース終盤にポールポジションスタートだったグレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)の猛追を受けながらも、それをギリギリで跳ね返して今季初優勝を飾った。

この勝利はディクソンにとってはインディカー歴代2番手のキャリア54勝目。歴代最多の67勝という記録を持つAJ・フォイトにまた一歩近づいた。また、ディクソンは1シーズンに少なくとも1勝をマークする記録のインディカーレコードホルダーだが、今日の勝利で自身の記録を19年連続へと更新した。それを彼は319レース連続出場の新記録樹立のレースで達成した。

ポールポジションからスタートしたレイホールは快調に周回を続け、最後の最後でディクソンの背後に迫った。85周で争われたレースの最終10ラップ、レイホールの追い上げは凄まじく、ファイナルラップの大逆転も十分考えられるスリリングな展開になった。しかし、コンマ5秒ほど届かず、2017年以来となる優勝にあと一歩の2位でフィニッシュした。これはレイホールにとって今シーズンのべストリザルト。そして、Hondaはナッシュビルから2戦続けて1-2フィニッシュを記録した。

今シーズン4勝でポイントスタンディングのトップをひた走るアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)は、予選9番手(グリッド降格となったドライバーがいたため、スタートは8番手)から7位でフィッシュ。ポイント2番手との差を84ポイントから101ポイントへと大きく広げた。なお、ポイント2番手はジョセフ・ニューガーデン(シボレー)から今日優勝したディクソンに代わっている。残るは3戦。

優勝したディクソン、2位のレイホールのほかにも、クリスチャン・ルンガー(Rahal Letterman Lanigan Racing)が4位でゴールし、上記の通りパロウが7位。前戦ナッシュビルでキャリア2勝目を挙げたカイル・カークウッド(Andretti Autosport)が9位に入り、マーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)が10位と、6人のドライバーたちがトップ10圏内でのフィニッシュを記録した。また、ナッシュビルでデビューしたばかりのルーキー、リヌス・ルンドクヴィスト(Meyer Shank Racing)が参戦わずか2戦目にして12位でのフィニッシュを達成。しかも、これは今日のレースでのルーキー最上位フィニッシュだった。

これでHondaは今シーズン9勝目。ポールポジションは今週末のレイホールによるものが10回目で、インディカー・マニュファクチャラーズ・ポイントでHondaはライバルを暫定38ポイントリードしている。

次戦はインディアナポリスから北米大陸を西進したミズーリ州セントルイスの郊外、イリノイ州マディソンにあるワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイで開催される。オーバルコースでのレースはこれが今シーズン最後となる。

インディカー・シリーズスコット・ディクソンが今シーズン初優勝を挙げてポイントランキング2番手へ浮上。 ポイントトップのアレックス・パロウは7位でリードを広げる

スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)
「この勝利はチームの力によって達成されました。私はファンタスティックなスタートを切ったのですが、1周目のターン7で接触されてマシンが真横を向き、そこにライバルのマシンがぶつかってきました。これで最後尾近くまでポジションを下げましたが、チームは絶対にあきらめない、という姿勢を崩しませんでした。Hondaエンジンはすばらしいパフォーマンスを発揮してくれました。今日のマシンは、燃料をセーブさせながらであっても、走らせるのが本当に楽しかったです。燃料消費を抑えながらも、必要なときに必要なだけ速いペースで走り続けることができました。今日問題があったとしたら、それは最後のピットストップ直後のアウトラップで、少々マシンをプッシュしすぎたことでした。グレアム・レイホールとの差を広げようと考えたからでしたが、そこでタイヤを幾分酷使してしまい、レース終盤土壇場になってグリップが怪しくなっていました。それでも私たちは集まってくれたファンの前でよいバトルをお見せすることができたと思います。こうしてまた表彰台の中央に立つために、これからも何事もあきらめることなく挑戦し続けます」

グレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)
「今日の私たちは勝利できませんでしたが、何も恥じる必要はないと思います。私たちのマシンは最高でした。Hondaエンジンも、いつもと同じように最高でした。今日の2位フィニッシュについて、私は腹立たしく思ってはいませんが、悔しいと感じているのは事実でしょう。私たちは今日、すべてをミスなく行いました。ただ、勝利の女神が私たちの側にいてくれませんでした。序盤のフルコースコーションが私たちに不利に働きました。あれが少し長過ぎたため、2回のピットストップでも走りきることが可能になりました。あのイエローが出た瞬間、私はディクソンが勝負に絡んでくるだろうと予測したのですが、まさにその通りになりましたね。最後の2周、私は”オーバーテイクボタン”を押し続けましたが、ディクソンもそれは同様だったため、差を縮め、アタックを仕掛けるところまでいけませんでした。しかし、それを恥ずかしいと考える必要は、私たちにはないと思います。私たちが戦った相手は、史上最高のドライバーとチームだったのですから。今後も私たちは集中力を保ち、実力を高めて行くことに専念します」

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カテゴリー: F1 / インディカー