全日本ロードレース選手権 高橋巧 JSB1000
全日本ロードレース選手権の最終戦が行われ、MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaの高橋巧がJSB1000クラス参戦9年目で自身初の年間チャンピオンを獲得した。

全日本ロードレース選手権の最終戦は三重県の鈴鹿サーキットで開催。ワールドスーパーバイクへの2度目の代役参戦を終えて挑んだ高橋巧はランキング2位につけ、ランキングトップの津田(スズキ)を6ポイント差で追い、逆転チャンピオンを狙う。

最終戦は2レースが行われ、それぞれにボーナスポイントが3ポイント加算される。高橋巧は両レースで津田を制することが出来れば、今季未勝利の津田を抜いてタイトル決定となる。

この最終戦には、伊藤真一(Team SuP Dream Honda)やアラン・テシェ(F.C.C. TSR Honda France)などがスポット参戦して、華やかな顔ぶれが揃うことが発表されていたが、テシェは木曜日の走行1回目で転倒し、ケガをしてしまったことで欠場することになった。

2レース開催であることから、特別スポーツ走行として木曜日から走行を開始。高橋巧はトップタイムを記録して、順調な滑り出しを見せる。金曜日の走行でも1本目から好調をキープしてトップに立ち、2本目は4番手となるが、総合ではトップタイムを記録する。

予選はノックアウト方式で行われ、Q1は山口辰也(TOHO Racing)が5番手、高橋巧が6番手、高橋裕紀(MORIWAKI MOTUL RACING)が7番手。10番手には清成龍一(MORIWAKI MOTUL RACING)が入り、上位10台が進出するQ2に挑んだ。Q2は中須賀(ヤマハ)がトップとなり、高橋巧が4番手、清成が5番手、山口が9番手、高橋裕紀が10番手となった。Q2の結果で第1レースのグリッドが決まり、Q1の結果で第2レースのグリッドが決まった。

第1レースのサイティングラップでコース上にマシンがストップしたことでレースディレイ。8周のレースが7周と減算されてスタートが切られた。ホールショットは中須賀で、2番手に高橋巧、野左根(ヤマハ)が続く。オープニングラップをクリアすると中須賀が逃げ、高橋巧、野左根、渡辺(カワサキ)、藤田(ヤマハ)が2番手を争う。その後方では、加賀山(スズキ)、津田、清成、山口、濱原(スズキ)が6番手争い。3ラップ目で野左根が高橋巧を抜き2番手に浮上し、中須賀は2分5秒台にタイムアップして独走態勢を築く。中須賀、野左根、高橋巧、藤田、渡辺とポジションを入れ替えながら周回を重ね、6ラップ目に高橋巧は2番手を奪い返す。高橋巧が2位となり、山口が6位争いを制した。続いて、清成が10位、高橋裕紀が11位、伊藤が13位でチェッカーを受けた。日浦大治朗(Honda 鈴鹿レーシングチーム)はピットインリタイヤとなった。第1レースを終えて、高橋巧が174ポイント、津田が171ポイント。高橋巧はランキングで逆転トップに立つ。

第2レースは20周で争われる。第1レースとは違う作戦が求められるレースだが、高橋巧は2列目からホールショットを決めてレースをリードする。トップ争いは高橋巧、中須賀、渡辺、野左根、藤田の5台となり、それを加賀山、山口、高橋、津田、濱原、清成が追いかける。高橋巧は首位を守り続け、6番手に単独で津田が浮上。7番手争いを山口と清成が繰り広げ、高橋裕紀が単独9番手で周回を重ねる。15ラップを過ぎると高橋巧、中須賀、野左根が逃げ始める。16ラップ目のシケインで中須賀、野左根が仕掛け、高橋巧は3番手に落ちるが、野左根が最終コーナーの立ち上がりで失速。16ラップ目は中須賀、高橋巧、渡辺、野左根、藤田のオーダーでトップ争いが続いた。中須賀がスパートをかけ、最終シケインで渡辺が高橋巧に仕掛けると、2番手に浮上する。17ラップ目で中須賀は単独トップとなり、渡辺、野左根、高橋巧、藤田が続く。19ラップ目で野左根がコースアウト。中須賀がトップのままチェッカーを受けた。2番手争いは渡辺、高橋巧、藤田の争い。逆バンクで高橋巧が2番手に浮上し、最終シケインの攻防を制して2位となり、年間チャンピオンのタイトルを決めた。山口が6位、清成が7位、高橋裕紀が8位に入った。

高橋巧
「第1レースは最低限の仕事が出来たと思います。ポイントを逆転して第2レースを迎えることが出来て気持ち的には楽になったと思ったのですが、スタートが珍しく決まってしまい、自分でもびっくりしてしまいました。序盤で自分のペースでは逃げ切るのは難しいのがわかったので、中須賀選手の後ろで、前に出るチャンスを探ろうと思っていたのですが、逆のパターンになってしまいました。最終ラップでは渡辺選手が前にいましたが、周回遅れを使って、前に出ることが出来ました。勝ってチャンピオンを決めたいと思っていましたが、タイトルが決まって、ほっとしています。JSB1000は9年目で、初めてのチャンピオンなので、本当によかったと思います。支えてくれたすべての人に感謝します。ありがとうございました」

山口辰也
「今季から変わった新型マシンで目標としていた2分6秒台を出すことが出来ましたが、ファクトリー車両が更に速くなっていて、そこに届くにはまだまだです。課題はわかっているので、それを解決してレベルアップするために、これからも努力したいです」

清成龍一
「レースウイーク中の走行で3番手のタイムを記録するなど、前進していることを感じることが出来ましたが、それが決勝には出すことが難しかったです。タイヤの性能は素晴らしいものがありますが、路面温度などの変化の中で、マシンの状況に合わせて選択していくベースを探している状態です。今年1年、実戦でのデータを積み重ねて、来年につながる戦いが出来たと思います。市販のキット車、市販タイヤで、どこまで行けるのか、大きな挑戦をさせてもらっています。いつか、必ず、勝負できる状況を作りたいと思っています」

本田重樹 (MuSASHi RT HARC-PRO. Honda監督)
「チームとしても初となるJSB1000のタイトルを獲得できたことを本当に嬉しく思います。今シーズンはマシンが新しくなり、またタイヤサイズが変更になったことで、非常に難しいシーズンになりました。そんな中できっちり結果を残し、また最後まで攻めの姿勢を貫いた巧選手の健闘を称えたいと思います。そして、チームとしてはJSB1000、J-GP2(水野涼選手)と2クラスを制覇できました。応援してくれるファンの皆さんの期待に応えられるよう、MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaは、来シーズンも勝ちにこだわって、全力でレースに取り組んでいきます」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1