ホンダF1:2021年 第14戦 F1イタリアGP プレビュー
2021年F1シーズン後半戦初戦のF1ベルギーGPから続く3連戦最後のレースとして、モンツァ・サーキットでのF1イタリアGPが開催される。

イタリアに拠点を置くスクーデリア・アルファタウリ・ホンダにとっては、ホームグランプリ。昨年は、ここでピエール・ガスリーがキャリア初優勝を成し遂げ、チーム、ホンダともに歓喜に沸いた。

超高速サーキットとして知られるモンツァでは、スピードが重要となるだけに、パワーユニットの担う役割も大きくなる。さらに、今大会は、シルバーストーンに続き、2度目のスプリント予選フォーマットで開催される。FP1の60分間でいかに調整を詰められるかがカギになる。

田辺豊治(ホンダF1)
「先日のオランダGPでは大きなファンの声援の中、フェルスタッペン選手が母国GPで勝利を収め、ホンダF1にとってもまた一つ忘れられないレースが増えました。今週はモンツァ・サーキットでイタリアGPが開催されます。モンツァには例年フェラーリの熱心なファンが詰めかけますので、先日のオレンジ一色のザントフォールト・サーキットから、今回は真っ赤に染まるファンに迎えられての戦いとなります。昨年のイタリアGPは、2018年のスクーデリア・トロロッソ時代から共に戦っているガスリー選手が、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのホームレースで自身F1初勝利を遂げた、我々にとって思い出に残っているレースです。F1屈指の高速サーキットとして名高いモンツァは、4本の長いストレートがあり、スロットルの全開率が高いため、PUにとって大きな負荷が掛かります。そのストレートを結ぶ3つの低速シケインがあることから、高速と低速のバランスが要求されるのがこのサーキットの特徴です。また、本イベントは今シーズンから導入され、英国GP以来2回目となるスプリント予選形式で行われます。初日の金曜日、1時間のFP1走行後に予選が行われ、それ以降はパルクフェルメとなるため車体、PUともにセッティング変更ができなくなります。したがって、車体、PUともに短い時間の中でいかにセッティングを最適化できるかが肝になってきます。シルバーストーンでの経験も踏まえ、様々なセットアップを事前に想定した上で、迅速に対応していけるよう、十分に準備を進めて臨みたいと思います」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
ザントフォールトではこれ以上望めないくらいの結果が出せましたが、すでにモンツァへと目を向けています。すぐにイタリアGPはやって来ますし、チャンピオンシップ争いは非常に僅差なので、お祝いは少し待って、レースウイーク間の休息が大切です。ホームグランプリでは普段以上のプレッシャーがかかると思われがちですが、僕にとっては楽しいという想いの方が勝っていました。特に意気込んでマシンに乗り込んだわけではなく、F1は常に結果を出さなければならない場所なので、いつもと違いはありません。ホームレースかどうかにかかわらず、僕にとっては普段と同じプレッシャーでした。もちろん、多くの人が期待を寄せてくれる中で結果を出せるのはいいことですし、特に王族の方々の前で勝利を挙げられれば尚更ですが、チーム全体が素晴らしいパフォーマンスを発揮した結果です。戦略面で非常に冴えていましたが、ほかのレースウイークもザントフォールトのようにいくわけではないはずです。まだ多くのレースが残っているので、チーム一丸となって取り組み、プッシュし続けなければなりません。モンツァは、ここ数年僕らにとってはベストなサーキットとはなっておらず、メルセデスとの相性がいいのではないかと予想していますが、今年は僕らの競争力も増しているので、どうなるかは分かりません。これまでやってきたように、チーム全体で取り組み、細部にわたるまできっちりとまとめ上げることができれば僕らは戦えるはずですが、トップスピードについてはメルセデスに分があるかもしれません。コースは簡単そうに見えますが、低ダウンフォースのセットアップでブレーキングゾーンも長く、マシンは大きく動くので簡単ではありません。コースはバンピーで舗装も古いのですが、レースやF1に情熱を燃やすファンが来てくれます。もちろんその多くはフェラーリファンですが、彼らはF1を愛しているので、そうしたイタリアファンのエネルギーを見られるのは素晴らしいことです。チャンピオンシップ争いにおいては、僕らとメルセデスでどちらかに大きなアドバンテージがあるとは思いません。ザントフォールトでの予選やレースでの僅差の戦いを見れば分かるように、ルイス(ハミルトン)はレース中ずっとプレッシャーをかけてきますし、僕らはコース上や、ピット作業、戦略などすべての面でわずかなミスも許されず、それができたのが前回のレースです。レースウイークに入るときからチームみんなでハードワークをして、セットアップを詰めて細部まできっちりと調整しなければなりません。そこが差につながると思います」

セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「ザントフォールトでは、表彰台を目指せるペースがあり、チームとして大量ポイントを目指せただけに、予選がうまくいかなかったことは残念でした。ドライビングがとても楽しいサーキットで、追い上げのレースは楽しかったのですが、オーバーテイクはすべて限界まで攻めていました!モンツァも楽しみにしています。モンツァではトウ(スリップストリーム)を得るために、予選では各車が近づいて走行するので、独特の戦い方になります。それがしっかりとできれば差につながりますが、過去数年を見ていると難しくなっているので、きちんと取り組むことが重要です。メルセデスのトップスピードを考えると、モンツァは僕らが強いコースだとは思いませんが、いい戦いができればと思います。今週末はスプリント予選のフォーマットですが、スムーズに進めていい結果が出せればと思います。前回のシルバーストーンでは、スプリント予選でミスをして苦しいレースウイークになってしまいました。プラン通りにいかなかったので、今回は仕切り直してどうなるか見ていきたいと思います」

ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
昨日の(来季もスクーデリア・アルファタウリからの参戦)発表はとてもうれしかったです。チームの居心地はいいですし、上手く進んでいるので、僕らにはまだまだ向上の余地があると思います。モンツァで走り出すのが待ちきれません。チームも含めて自信がある雰囲気が感じられますし、マシンはどんなコースでも、ウエットでもドライでもよく機能していると思います。直近3戦で5位、6位、4位でフィニッシュしていることがその証です。ザントフォールトは素晴らしいレースウイークになり、金曜の走行開始からすべてが正しい方向に行っていました。日曜は、上位3台に何かあれば、バクーでの3位に続く表彰台に立てるかもしれないと思っていましたが、そうはいきませんでした。4位に入れたことで、モンツァに向けた期待も高まっています。フランスGPに続く2度目のホームレースですが、サーキットから15㎞ほどのところに住んでいるので、よりホームのような気がします。前年の勝者として戻ってくるというのは、僕にとって初めてのことです。楽しみでなりませんし、昨年とは違って多くのティフォシたちがいるはずです。モンツァの雰囲気は、高速コースに加えて、ファンによって作られる部分が大きいので、昨年はとても不思議な感じでした。昨年味わった、忘れられない瞬間を思い出すので、今回もすごく特別なレースになるはずです。再び素晴らしい結果を手にしたいと思いますが、今年は2度目のスプリント予選フォーマットで行われることを考慮しなければなりません。シルバーストーンを終えて、ある程度予測できるようにはなっていますが、例年、予選・決勝ともにスリップストリームを使ったバトルになるので、それが新たな要素になります」

角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「オランダGPは、予選で赤旗による不運があっただけに、レースでもリタイアせざるを得なかったのは残念です。ただ、レースウイークを通じてポジティブな要素もかなりありました。コースの習熟について正しい取り組み方ができて、徐々に自信を増していき、ハードにプッシュしたときのマシンペースはよかったと思います。パッケージの力をほぼ引き出せたので、これがモンツァでどうなるか、とてもワクワクしています。トラブルのない週末となり、いい結果で終われればと思います。昨日、(来年もスクーデリア・アルファタウリからドライブする)発表があり、さらなる力を得ることができました。ここ数戦で取り組んできたやり方で成長と学習を続けていけば、もっと安定した成績を残せると思いますし、それがよく知っているコースなら尚更です。今は今週末に目を向けています。チームにとっては重要なホームレースで、2度目のスプリント予選フォーマットとなることから、難しい戦いになると思います。昨年のF1予選を見ていましたが、すべてのドライバーが他車の後ろについてスリップストリームを得ようとしていました。したがって、予選は難しいと予想しており、どうドライブするのがベストなのか、しっかりと注意を払わなければなりません。このコースは好きで、昨年のF2でも、スプリントレースではエンジントラブルに見舞われはしたものの、いい結果が残せました。その前にも、F3で勝利した経験があります。コースはドライビングが楽しく、ジュニアカテゴリー時代は多くのオーバーテイクができました。イタリアのファンからは、SNSを通じて多くのメッセージを受け取っているので、ここでの大観衆の前でのドライビングは本当にいい雰囲気になってくれると思います」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1イタリアGP / スクーデリア・アルファタウリ