ホンダF1 山本雅史MD 『レッドブル・レーシングとの50戦目を迎えて』
今週末のスパ・フランコルシャンで、レッドブル・レーシング・ホンダはパートナーシップ開始から50戦目を迎えます。ホンダの山本雅史マネージングディレクター(MD)にここまでの歩みを振り返った。
この50戦で11勝を挙げて勝率は22%。これに加えて、21回の表彰台も記録している。2019年からのパートナーシップが発表されたのが遠い昔のようにも思えるが、ホンダの山本雅史マネージングディレクターにとっては、今でも特別な思い出となっているようだ。
「レッドブル・レーシングとパートナーシップに合意したときは、とてもうれしかったですね。ここからストーリーが始まるんだという思いでした。そして、ホンダ復帰後の初勝利から、現在のチャンピオンシップ争いまで、そのストーリーが続いていますから、あの時の記憶というのはとてもいい思い出になっています」
2019年以降、数々の勝利を挙げてきた一方で、レッドブル・レーシングのドライバーが2人揃って表彰台に登壇したのは、2回のみとなっている。1度目は昨年のバーレーンGPで、マックス・フェルスタッペンが2位、アレクサンダー・アルボンが3位に。2度目は今年のフランスGPで、フェルスタッペンが優勝し、セルジオ・ペレスが3位に入ったレースだ。
しかし、レッドブル・レーシングのドライバーが表彰台登壇を果たしたのは6割以上にあたる30戦。その中でも、最初の表彰台は山本MDにとって非常に強い印象として残っている。
「2019年、オーストラリアでの開幕戦は、僕がF1プロジェクトに携わるようになってから一番うれしかったレースの一つです。もちろん、復帰後初勝利をあげたオーストリアも大きいのですが、あのメルボルンでの表彰台は、それに勝るとも劣らないくらい。実は、F1の現場で初めて涙したレースでもあるんです」
「オーストリアでの初勝利で泣いていたんじゃないかと思われるのですが、実はそうではないんです。レッドブルとのパートナーシップにおいて、まずは目標の一つに優勝というのがありましたから、泣くほどうれしいというよりは『よし、やったぞ』という感じで、『ついにスタートが切れたな』と感じていました」
山本MDにとって、レッドブルとの初勝利はあくまでスタート地点だと映っていたが、そこからさらにストーリーは進み、今季はついにチャンピオンシップ争いをリードする立場に。勝利の景色もまた違って見えているようだ。
「もちろん、初勝利は特別でいい気分で眺めていましたが、今年の第2戦、イモラでのレースもまた特別なものになりました。あのときは、自分たちが次のステージに踏み出して、チャンピオンシップを争うことができるんだと実感して、また違う気持ちでしたね。タイトル争いへの自身をもたらしてくれる勝利でした」
「イモラの勝利がなぜ特別なのは、スタートです。ターン1を目掛けて、マックスとチェコ(ペレス)がハミルトン選手を挟み撃ちにするような形からサイド・バイ・サイドで進み、マックスがそのまま先頭に立って優勝するわけですが、この光景が非常に印象的でした」
「あとは、個人的に絶対に勝ちたいと思っていたモナコですね。全員にとって特別なレースですが、そこで初めてマックスが勝つことができました。それぞれの勝利が我々の自信とパートナーシップの絆を深めてくれたので、勝利を重ねるたびに強くなってきたように感じています」
もちろん、いいことばかりではありません。48戦目と49戦目にあたる、今年のイギリスGPとハンガリーGPは苦い経験となってしまった。しかし、レッドブルとホンダはこの2年半、常にこうした逆境から学び、挽回してきました。そうやって両者の関係が深まってきたことも、誇りに思えると言う。
「前回のハンガリーGP、スタートで起こったクラッシュは記憶に新しいと思いますが、僕は昨年のハンガリーを思い出しましたね。マックスがレコノサンスラップでクラッシュして、チームはマシンの修復をスタートに間に合わせたというレースです」
「レッドブルとホンダのメンバーが仕事をするとき、とても強いチームワークと、素晴らしいスキルを持った集団だというのを感じるんです。レッドブルと本当にいい関係が築けていますし、それが強まっているように思いますね」
前半戦最後の2レースで不運に見舞われ、チャンピオンシップでのリードを失う形とはなってしまったが、レッドブル・レーシング・ホンダの土台は決して揺らいでいない。
「目標はただ一つ、チャンピオンシップを勝ち取ることです。正確には2つですかね。ドライバー、コンストラクターの両タイトルを手に入れたいと思っています」
「自信は51%と言っておきます(笑)。五分五分よりも少し上です」
タイトルを手にできるかどうかにかかわらず、今季の終了とともにストーリーはフィナーレを迎える。レッドブルとの最終章が進んでいく中で、山本MDは複雑な想いを抱いている。
「いろんな想いがありますよ。ようやく勝てるチームになったところで、プロジェクトが終わりを迎えるのは残念です。こんなに強くていいチームなのに、来年は彼らと働けないというのは、さみしく思います」
「連覇は不可能なわけですから、今季成功を収めたとしても、本当に残念です」
今季は、大きな挑戦が続いていますが、残りのレースもレッドブル・レーシング・ホンダは同じように強さを見せ続けてくれるはずだ。
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1ベルギーGP
この50戦で11勝を挙げて勝率は22%。これに加えて、21回の表彰台も記録している。2019年からのパートナーシップが発表されたのが遠い昔のようにも思えるが、ホンダの山本雅史マネージングディレクターにとっては、今でも特別な思い出となっているようだ。
「レッドブル・レーシングとパートナーシップに合意したときは、とてもうれしかったですね。ここからストーリーが始まるんだという思いでした。そして、ホンダ復帰後の初勝利から、現在のチャンピオンシップ争いまで、そのストーリーが続いていますから、あの時の記憶というのはとてもいい思い出になっています」
2019年以降、数々の勝利を挙げてきた一方で、レッドブル・レーシングのドライバーが2人揃って表彰台に登壇したのは、2回のみとなっている。1度目は昨年のバーレーンGPで、マックス・フェルスタッペンが2位、アレクサンダー・アルボンが3位に。2度目は今年のフランスGPで、フェルスタッペンが優勝し、セルジオ・ペレスが3位に入ったレースだ。
しかし、レッドブル・レーシングのドライバーが表彰台登壇を果たしたのは6割以上にあたる30戦。その中でも、最初の表彰台は山本MDにとって非常に強い印象として残っている。
「2019年、オーストラリアでの開幕戦は、僕がF1プロジェクトに携わるようになってから一番うれしかったレースの一つです。もちろん、復帰後初勝利をあげたオーストリアも大きいのですが、あのメルボルンでの表彰台は、それに勝るとも劣らないくらい。実は、F1の現場で初めて涙したレースでもあるんです」
「オーストリアでの初勝利で泣いていたんじゃないかと思われるのですが、実はそうではないんです。レッドブルとのパートナーシップにおいて、まずは目標の一つに優勝というのがありましたから、泣くほどうれしいというよりは『よし、やったぞ』という感じで、『ついにスタートが切れたな』と感じていました」
山本MDにとって、レッドブルとの初勝利はあくまでスタート地点だと映っていたが、そこからさらにストーリーは進み、今季はついにチャンピオンシップ争いをリードする立場に。勝利の景色もまた違って見えているようだ。
「もちろん、初勝利は特別でいい気分で眺めていましたが、今年の第2戦、イモラでのレースもまた特別なものになりました。あのときは、自分たちが次のステージに踏み出して、チャンピオンシップを争うことができるんだと実感して、また違う気持ちでしたね。タイトル争いへの自身をもたらしてくれる勝利でした」
「イモラの勝利がなぜ特別なのは、スタートです。ターン1を目掛けて、マックスとチェコ(ペレス)がハミルトン選手を挟み撃ちにするような形からサイド・バイ・サイドで進み、マックスがそのまま先頭に立って優勝するわけですが、この光景が非常に印象的でした」
「あとは、個人的に絶対に勝ちたいと思っていたモナコですね。全員にとって特別なレースですが、そこで初めてマックスが勝つことができました。それぞれの勝利が我々の自信とパートナーシップの絆を深めてくれたので、勝利を重ねるたびに強くなってきたように感じています」
もちろん、いいことばかりではありません。48戦目と49戦目にあたる、今年のイギリスGPとハンガリーGPは苦い経験となってしまった。しかし、レッドブルとホンダはこの2年半、常にこうした逆境から学び、挽回してきました。そうやって両者の関係が深まってきたことも、誇りに思えると言う。
「前回のハンガリーGP、スタートで起こったクラッシュは記憶に新しいと思いますが、僕は昨年のハンガリーを思い出しましたね。マックスがレコノサンスラップでクラッシュして、チームはマシンの修復をスタートに間に合わせたというレースです」
「レッドブルとホンダのメンバーが仕事をするとき、とても強いチームワークと、素晴らしいスキルを持った集団だというのを感じるんです。レッドブルと本当にいい関係が築けていますし、それが強まっているように思いますね」
前半戦最後の2レースで不運に見舞われ、チャンピオンシップでのリードを失う形とはなってしまったが、レッドブル・レーシング・ホンダの土台は決して揺らいでいない。
「目標はただ一つ、チャンピオンシップを勝ち取ることです。正確には2つですかね。ドライバー、コンストラクターの両タイトルを手に入れたいと思っています」
「自信は51%と言っておきます(笑)。五分五分よりも少し上です」
タイトルを手にできるかどうかにかかわらず、今季の終了とともにストーリーはフィナーレを迎える。レッドブルとの最終章が進んでいく中で、山本MDは複雑な想いを抱いている。
「いろんな想いがありますよ。ようやく勝てるチームになったところで、プロジェクトが終わりを迎えるのは残念です。こんなに強くていいチームなのに、来年は彼らと働けないというのは、さみしく思います」
「連覇は不可能なわけですから、今季成功を収めたとしても、本当に残念です」
今季は、大きな挑戦が続いていますが、残りのレースもレッドブル・レーシング・ホンダは同じように強さを見せ続けてくれるはずだ。
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1ベルギーGP