F1ドライバーに“裁定の寛容性” FIAがドライビングスタンダードを修正

近年のF1では、接触やポジション争いを巡るペナルティの判断が議論を呼ぶケースが続いており、ドライバーやチームからは裁定基準の透明性を求める声が強まっていた。FIAはこうした状況を受け、ガイドラインを微調整した形だ。
ザントフォールトの接触が議論のきっかけ
今回の見直しの背景には、2025年F1オランダGPで発生したカルロス・サインツJr.とリアム・ローソンの接触がある。このインシデントでは、当時ウィリアムズに所属していたサインツJr.に対し、スーパーライセンスのペナルティポイント2点が科された。
しかし、その後ウィリアムズが行った控訴が認められ、このペナルティポイントは取り消された。この一件は、スチュワードの判断基準に対する議論を呼び、ルールの明確化を求める声につながった。
ロックアップ時は“物理法則”も考慮
新たなガイドラインでは、オーバーテイクを試みる際にドライバーが接触回避のためにロックアップした場合、“物理法則”による影響を考慮し、ドライバーに有利な判断が与えられる可能性がある。
つまり、ブレーキング時にタイヤをロックさせた結果として接触のリスクが生じた場合でも、それが避けようとした結果であれば、これまでよりも厳しい裁定が下されにくくなる。

危険・無謀・故意の行為にはペナルティ
一方で、FIAは危険または無謀、あるいは意図的と見なされる行為については、引き続き厳格に対処する姿勢を示している。
新しい規定では、「危険、無謀、あるいは明らかに意図的な行為によって接触を引き起こした場合、または受け入れがたい、もしくはスポーツマンシップに反する行為」はペナルティポイントの対象となると明記された。
“ダイブボム”問題にも明確な指針
これまで解釈が分かれていたポイントのひとつが、コーナー進入時のいわゆる“ダイブボム”だ。内側から急激に飛び込むオーバーテイクに対し、どこまでスペースを与えるべきかは長年議論されてきた。
今回のガイドラインでは、この状況についても方針が示されており、コーナー頂点で内側のマシンが飛び込んできた場合でも、「もう一方のクルマが単純に消えることはない」と規定されている。つまり、外側のドライバーにも存在する権利があることを明確にした形だ。
これらの変更は、2025年F1カタールGPの週末に行われたFIAとドライバーたちの会合をきっかけに議論が進められたものだ。FIAは今回の調整によって、オン・トラックの判断基準について、より透明性と明確さを持たせることを目指している。
カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟)
