ホンダF1:2021年 第6戦 F1アゼルバイジャンGP プレビュー
2021年のF1世界選手権 第6戦は、アゼルバイジャンの首都バクーの中心部に作られた市街地コースが舞台。2016年に初開催されたサーキットだが、ホンダF1としてはこれまで表彰台獲得はなく、2年ぶりの開催となる今大会でトロフィー獲得を目指す。
メインストレートは2㎞以上に及び、スリップストリームを使ったオーバーテイクも頻繁に見られる。一方で、モナコと同様にタイトな低速コーナーの続くセクションもあり、その両方でパフォーマンスを発揮するためには、最適なバランスを見出す必要がある。
最高速度はカレンダー中でも最速を記録するので、パワーユニット側はエネルギーマネージメントを含め、パフォーマンスを最大限に引き出すことが求められる。また、チームもデータを分析しながら空力セットアップを最適化して、好結果を目指す。
田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「昨年はコロナ禍の影響でキャンセルされたアゼルバイジャンで、今週末は2021年第6戦が開催されます。今回のサーキットは、前戦レッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手が優勝を収めたモナコGP同様に市街地コースなのですが、市街地コースといってもその特性は大きく異なります。バクーの市街地コースは、全長6kmあまりと距離が長いことに加え、第1・2セクターは市街地コース特有の狭い道幅と90度コーナーが多く配されている一方、最終セクターには2kmを越えるアクセル全開区間があり、低速コーナーとストレートのパフォーマンスをバランスよく両立させることが重要となります。PUとしては、低速コーナーでのドライバビリティーと長いアクセル全開区間を考慮したエネルギーマネージメントなどが重要となります。以前のアゼルバイジャンでの走行データ、また今期ここまでのデータを参照し、PUの最適設定を準備して臨みたいと思います」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「前回のモナコGPは、とてもいいレースウイークでした。僕はモナコで表彰台登壇がなかったので、優勝できてとてもうれしかったです。チャンピオンシップでのリードもいい気分ではありますが、最終戦が終わった時にこの位置にいることが何よりも重要です。今僕らの立ち位置はいいものですし、シーズンをいい形でスタートできたことを示してはいますが、まだ改善が必要ですし、もっと上手くやれる部分もあるので、プッシュし続けなければなりません。(F1という)スポーツには、完璧な状態というものはないですし、誰も立ち止まることはなく常に進化が続いていきます。ここまで、僕らは小さいミスはしたものの、大きな問題は起こさずに来ているので、それが現状トップにいる理由ですが、状況が変化しやすいことも分かっています。モナコでは、木曜のフリー走行で苦戦していましたが、チームは土曜にマシンが大きく改善するように、多くのことに取り組んでくれました。レースウイークのスタート時点では、マシンが適切な状態になっておらず、厳しかったのですが、みんなでデータを分析して予選に向けてはマシンをかなり競争力のある状態に仕上げてくれて、戦えるようになりました。また、モナコは非常にミスをしやすいので、一周ごとに集中していかなければなりませんが、レースをリードしてコントロールするのはとても気持ちよかったです。モナコでの初勝利を絶対に投げ出さないぞと思っていました。正直に言うと、バクーのコースはまあまあという感じで、お気に入りではありません。ここでもこれまでは表彰台の経験がないので、それを変えるときですね。メルセデスは強さを取り戻してくると予想していますが、自分たちにどのくらいの競争力があるか見ていきましょう」
セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「モナコでは最終的にいい結果が残せて満足しています。土曜は苦戦して予選順位が低かっただけになおさらです。精神的にはタフな戦いでした。モナコではいつものことですが、限界まで攻めた上でマシンをウォールに触れないようにするのは大変です。特に、どこでプッシュすべきで、そうでないのはいつなのかを把握することがカギになります!日曜の結果はチームを大きく前進させましたし、ここからこの位置を維持できるか楽しみですが、まだシーズン序盤の5戦しか終えておらず、先はとても長いことを忘れてはいけません。バクーはとても楽しみで、レースペースはベストの状態にあることが示せているので、予選でもいい結果を残したいですね。予選が向上できれば、好結果につながるはずです。(コンストラクターズランキングで首位に立ったが)なにも変わることはありません。現実的に考え、まだ5戦が終わった時点だということを理解しなければなりません。今、どこにいるかが重要なのではなく、アブダビでの最終戦後の位置が大切です。足元をしっかりと見て、これまで同様にハードワークを続けていく必要があります」
ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「モナコは素晴らしいレースウイークとなり、全セッションでトップ10入りを果たして予選6番手と、今季ベストと言える力強いパフォーマンスができたと思います。決勝でも、ルイス(ハミルトン/メルセデス)を終始抑えて6位でフィニッシュしました。レース中、誰が後ろにいるのかをあまり考えないものですが、もちろんルイスが背後にいることは分かっていました。ただ、彼が前に出る手段はなく、すべてはピットストップ次第ということも理解していました。とにかく自分のドライビングに集中して、チームも戦略面で役割を果たしてくれて、彼を後方に抑えておくことができました。この結果に満足していますし、再び真のパフォーマンスレベルを見出せたこと、そしてトラブルなくレースウイークを進め、それがこの難しいモナコでできたことは、チームにとって重要です。それが上手くいき、今季ベストの結果を達成できました。また、ファンの皆さんの前でレースができたこともよかったです。モナコなのでフランスからも多くの人が来てくれて、普段以上にサポートされていると感じました。まだフルに入っているわけではありませんが、少し触れ合うこともできて、とてもうれしかったです。モナコを終えてからは、UKでシミュレーターを何度か行い、ドバイ経由でバクーへ来ました。長旅でしたが、ここからシーズン序盤の中でも忙しい日程になるので、妥当だと思います。バクーは通常と異なるコースで、中心部の市街地サーキットというモナコとの共通点もあり、一般的なコースの分類には入りません。したがって、マシンのセットアップも少し違うものにする必要があります。モナコよりもかなり低いダウンフォースで走ることになり、バクーのコーナーのほうが低速ですが、グリップやその他の特性は似ていますし、今回も一番柔らかいC5タイヤを使うことになります。路面グリップが少ないのと、ダウンフォースが低いことで、一筋縄ではいかず、最適なマシンセットアップを見つけるのは難しいです。長いストレートではタイヤとブレーキの温度が下がりやすく、ほかにもさまざまな要素を考慮して、1ラップでもレースを通じてもマシンの持つ力すべてを引き出していかなければなりません。このコースは好きな方で、何年か前のGP2では2位でフィニッシュしていますが、F1では競争力はあったものの、いつも不運に見舞われています。今週末はその流れを変えたいと思います。モナコと同じか、それ以上のレベルでパフォーマンスが発揮できればと思っています」
角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「バクーは、僕にとっては引き続き初めての経験になりますが、同じ市街地サーキットなので、モナコで学んだことを活かさなければなりません。モナコでのレースに向けてのプランは、フリー走行でなるべく多くの周回を走ることでしたが、残念ながらFP2ではウォールにヒットしてしまし、それが低調の要因になってしまいました。クラッシュによって自信を失くしたとは感じていませんでしたが、予選では特に高速コーナーなどでわずかな自信の差が非常に重要になるので、こうした市街地コースでは、壁にぶつかってはいけないという重要な教訓を得ました。初めてのモナコはとても楽しくて、素晴らしい経験ができましたし、FP2でのあの瞬間まではとても面白かったです。全体的には、5戦を終えてレースウイークの流れになじんできたと感じていて、驚くようなことも減り、コントロールできるようになってきたと思います。木曜日のメディア対応など、シーズン序盤には驚いていたようなことにも慣れてきました。そうしたことにエネルギーを割かれていましたが、今はすべてが快適になってきていて、いいことです。技術的な面では、まだ課題があり、特に現状はマシンセットアップにやや苦しんでいます。まだ5戦しか経験していないので、これが普通なのだと思っていますが、マシンについて多くを学んできているということが重要です。メンタル面も問題なくいい状態にあると思いますし、正しい方向性に向かっています。プレッシャーはありますが、F1ドライバーとして過ごす時間をいつも楽しんでいますし、新たなコースに来ればいつも新しい課題と出会っています。モナコでは、ファンの皆さんの前で、ドライバーの名前を呼び声が聞こえるというのも新たな体験でしたし、とても熱狂的な感じがしました。今週はバクーで、これまでレース経験はないのですが、もちろんシミュレーターで走行してきました。ほとんどのコーナーが90度で、ほぼすべてのコーナーで速度域が同じくらいなので、面白そうです。ここも市街地コースですが、モナコに適応するよりは少し簡単かもしれません。バクーではもう少しいいレースをできればと思っています。今回も、できるだけたくさん周回をこなし、フリー走行と予選ではウォールに近づきすぎないように意識します。モナコでの経験を活かし、学んだことをすべてアゼルバイジャンで使っていきます。シーズン序盤から、チームがマシンを着実に進化させてくれていることをうれしく思っています。まだ結果に表れておらず、僕も学習過程にあることは事実です。なるべくエンジニアと話す時間を多く取り、より多くを学んで、シーズンを通じて成長できるようにしていきたいと思います」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1アゼルバイジャンGP / スクーデリア・アルファタウリ
メインストレートは2㎞以上に及び、スリップストリームを使ったオーバーテイクも頻繁に見られる。一方で、モナコと同様にタイトな低速コーナーの続くセクションもあり、その両方でパフォーマンスを発揮するためには、最適なバランスを見出す必要がある。
最高速度はカレンダー中でも最速を記録するので、パワーユニット側はエネルギーマネージメントを含め、パフォーマンスを最大限に引き出すことが求められる。また、チームもデータを分析しながら空力セットアップを最適化して、好結果を目指す。
田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「昨年はコロナ禍の影響でキャンセルされたアゼルバイジャンで、今週末は2021年第6戦が開催されます。今回のサーキットは、前戦レッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手が優勝を収めたモナコGP同様に市街地コースなのですが、市街地コースといってもその特性は大きく異なります。バクーの市街地コースは、全長6kmあまりと距離が長いことに加え、第1・2セクターは市街地コース特有の狭い道幅と90度コーナーが多く配されている一方、最終セクターには2kmを越えるアクセル全開区間があり、低速コーナーとストレートのパフォーマンスをバランスよく両立させることが重要となります。PUとしては、低速コーナーでのドライバビリティーと長いアクセル全開区間を考慮したエネルギーマネージメントなどが重要となります。以前のアゼルバイジャンでの走行データ、また今期ここまでのデータを参照し、PUの最適設定を準備して臨みたいと思います」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「前回のモナコGPは、とてもいいレースウイークでした。僕はモナコで表彰台登壇がなかったので、優勝できてとてもうれしかったです。チャンピオンシップでのリードもいい気分ではありますが、最終戦が終わった時にこの位置にいることが何よりも重要です。今僕らの立ち位置はいいものですし、シーズンをいい形でスタートできたことを示してはいますが、まだ改善が必要ですし、もっと上手くやれる部分もあるので、プッシュし続けなければなりません。(F1という)スポーツには、完璧な状態というものはないですし、誰も立ち止まることはなく常に進化が続いていきます。ここまで、僕らは小さいミスはしたものの、大きな問題は起こさずに来ているので、それが現状トップにいる理由ですが、状況が変化しやすいことも分かっています。モナコでは、木曜のフリー走行で苦戦していましたが、チームは土曜にマシンが大きく改善するように、多くのことに取り組んでくれました。レースウイークのスタート時点では、マシンが適切な状態になっておらず、厳しかったのですが、みんなでデータを分析して予選に向けてはマシンをかなり競争力のある状態に仕上げてくれて、戦えるようになりました。また、モナコは非常にミスをしやすいので、一周ごとに集中していかなければなりませんが、レースをリードしてコントロールするのはとても気持ちよかったです。モナコでの初勝利を絶対に投げ出さないぞと思っていました。正直に言うと、バクーのコースはまあまあという感じで、お気に入りではありません。ここでもこれまでは表彰台の経験がないので、それを変えるときですね。メルセデスは強さを取り戻してくると予想していますが、自分たちにどのくらいの競争力があるか見ていきましょう」
セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「モナコでは最終的にいい結果が残せて満足しています。土曜は苦戦して予選順位が低かっただけになおさらです。精神的にはタフな戦いでした。モナコではいつものことですが、限界まで攻めた上でマシンをウォールに触れないようにするのは大変です。特に、どこでプッシュすべきで、そうでないのはいつなのかを把握することがカギになります!日曜の結果はチームを大きく前進させましたし、ここからこの位置を維持できるか楽しみですが、まだシーズン序盤の5戦しか終えておらず、先はとても長いことを忘れてはいけません。バクーはとても楽しみで、レースペースはベストの状態にあることが示せているので、予選でもいい結果を残したいですね。予選が向上できれば、好結果につながるはずです。(コンストラクターズランキングで首位に立ったが)なにも変わることはありません。現実的に考え、まだ5戦が終わった時点だということを理解しなければなりません。今、どこにいるかが重要なのではなく、アブダビでの最終戦後の位置が大切です。足元をしっかりと見て、これまで同様にハードワークを続けていく必要があります」
ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「モナコは素晴らしいレースウイークとなり、全セッションでトップ10入りを果たして予選6番手と、今季ベストと言える力強いパフォーマンスができたと思います。決勝でも、ルイス(ハミルトン/メルセデス)を終始抑えて6位でフィニッシュしました。レース中、誰が後ろにいるのかをあまり考えないものですが、もちろんルイスが背後にいることは分かっていました。ただ、彼が前に出る手段はなく、すべてはピットストップ次第ということも理解していました。とにかく自分のドライビングに集中して、チームも戦略面で役割を果たしてくれて、彼を後方に抑えておくことができました。この結果に満足していますし、再び真のパフォーマンスレベルを見出せたこと、そしてトラブルなくレースウイークを進め、それがこの難しいモナコでできたことは、チームにとって重要です。それが上手くいき、今季ベストの結果を達成できました。また、ファンの皆さんの前でレースができたこともよかったです。モナコなのでフランスからも多くの人が来てくれて、普段以上にサポートされていると感じました。まだフルに入っているわけではありませんが、少し触れ合うこともできて、とてもうれしかったです。モナコを終えてからは、UKでシミュレーターを何度か行い、ドバイ経由でバクーへ来ました。長旅でしたが、ここからシーズン序盤の中でも忙しい日程になるので、妥当だと思います。バクーは通常と異なるコースで、中心部の市街地サーキットというモナコとの共通点もあり、一般的なコースの分類には入りません。したがって、マシンのセットアップも少し違うものにする必要があります。モナコよりもかなり低いダウンフォースで走ることになり、バクーのコーナーのほうが低速ですが、グリップやその他の特性は似ていますし、今回も一番柔らかいC5タイヤを使うことになります。路面グリップが少ないのと、ダウンフォースが低いことで、一筋縄ではいかず、最適なマシンセットアップを見つけるのは難しいです。長いストレートではタイヤとブレーキの温度が下がりやすく、ほかにもさまざまな要素を考慮して、1ラップでもレースを通じてもマシンの持つ力すべてを引き出していかなければなりません。このコースは好きな方で、何年か前のGP2では2位でフィニッシュしていますが、F1では競争力はあったものの、いつも不運に見舞われています。今週末はその流れを変えたいと思います。モナコと同じか、それ以上のレベルでパフォーマンスが発揮できればと思っています」
角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「バクーは、僕にとっては引き続き初めての経験になりますが、同じ市街地サーキットなので、モナコで学んだことを活かさなければなりません。モナコでのレースに向けてのプランは、フリー走行でなるべく多くの周回を走ることでしたが、残念ながらFP2ではウォールにヒットしてしまし、それが低調の要因になってしまいました。クラッシュによって自信を失くしたとは感じていませんでしたが、予選では特に高速コーナーなどでわずかな自信の差が非常に重要になるので、こうした市街地コースでは、壁にぶつかってはいけないという重要な教訓を得ました。初めてのモナコはとても楽しくて、素晴らしい経験ができましたし、FP2でのあの瞬間まではとても面白かったです。全体的には、5戦を終えてレースウイークの流れになじんできたと感じていて、驚くようなことも減り、コントロールできるようになってきたと思います。木曜日のメディア対応など、シーズン序盤には驚いていたようなことにも慣れてきました。そうしたことにエネルギーを割かれていましたが、今はすべてが快適になってきていて、いいことです。技術的な面では、まだ課題があり、特に現状はマシンセットアップにやや苦しんでいます。まだ5戦しか経験していないので、これが普通なのだと思っていますが、マシンについて多くを学んできているということが重要です。メンタル面も問題なくいい状態にあると思いますし、正しい方向性に向かっています。プレッシャーはありますが、F1ドライバーとして過ごす時間をいつも楽しんでいますし、新たなコースに来ればいつも新しい課題と出会っています。モナコでは、ファンの皆さんの前で、ドライバーの名前を呼び声が聞こえるというのも新たな体験でしたし、とても熱狂的な感じがしました。今週はバクーで、これまでレース経験はないのですが、もちろんシミュレーターで走行してきました。ほとんどのコーナーが90度で、ほぼすべてのコーナーで速度域が同じくらいなので、面白そうです。ここも市街地コースですが、モナコに適応するよりは少し簡単かもしれません。バクーではもう少しいいレースをできればと思っています。今回も、できるだけたくさん周回をこなし、フリー走行と予選ではウォールに近づきすぎないように意識します。モナコでの経験を活かし、学んだことをすべてアゼルバイジャンで使っていきます。シーズン序盤から、チームがマシンを着実に進化させてくれていることをうれしく思っています。まだ結果に表れておらず、僕も学習過程にあることは事実です。なるべくエンジニアと話す時間を多く取り、より多くを学んで、シーズンを通じて成長できるようにしていきたいと思います」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1アゼルバイジャンGP / スクーデリア・アルファタウリ