ホンダF1:2021年 開幕戦 F1バーレーンGP 決勝レポート
フェルスタッペンが2位に入り、ホンダとしては通算200回目の表彰台登壇。デビュー戦の角田裕毅は9位入賞を果たす
2021年の開幕戦バーレーンGPの決勝は、首位争いが最終ラップまで続く激しい戦いとなり、レッドブル・レーシング・ホンダのマックス・フェルスタッペンが0.7秒差で2位フィニッシュを果たした。これが、ホンダとしては通算200回目の表彰台登壇となる。

フェルスタッペンは前日の予選でポールポジションを獲得。一方でチームメートのセルジオ・ペレスは、フォーメーションラップ中にマシンの電源がシャットダウンし、ピットレーンスタートで最後尾から追い上げる展開となる。

さらに、オープニングラップでクラッシュが発生し、セーフティカー(SC)が出動したが、このSC明けのリスタートでスクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーは、ダニエル・リカルド(マクラーレン)と接触し、フロントウイングを失うダメージを負った。

これによってコース上にはバーチャルセーフティカーが導入され、ガスリーはその間にピットインしてウイングを交換。しかし、レース復帰後もダメージの影響に苦しみ、残り4周時点でリタイアとなった。

ペレスも序盤でピットストップを行い、タイヤを交換。これによってさらに後方へと下がるが、ここから追い上げを開始し、オーバーテイクを繰り返して順位を回復していった。

フェルスタッペンは、首位を守りながらレースを進めたが、2番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)が早めのピットストップを行う作戦を採ったため、リードを明け渡す。フェルスタッペンは17周目にピットインすると、2度目のスティントでも力強い走りで首位を追いかける。

F1デビュー戦を迎えた角田裕毅は、スタートでややポジションを下げたものの、ターン1とターン4で見事なオーバーテイクを披露し、順位を取り戻していく。15周目に最初のピットストップを行い、ミディアムタイヤからハードに交換。続いて33周目に2度目のタイヤ交換で、再びハードタイヤを装着した。

フェルスタッペンは、残り17周となったところで2度目のストップを行い、ハードタイヤに交換。これより13ラップ早くピットインしていた首位のハミルトンを、8.8秒差で追撃する。残り4周で追いついたフェルスタッペンは、ターン4でオーバーテイクに成功。しかし、コーナー出口で膨らんでしまい、コース外走行となったため、直後に順位を譲り、再度の追い上げを図る。ファイナルラップでハミルトンの背後に迫ったフェルスタッペンでしたが、パスするには至らず、0.7秒差の2位でチェッカーフラッグを受けた。

ペレスは39周目に3度目となる最後のピットストップを行い、8番手でコースへ復帰。ミディアムタイヤを履いて好調なペースを見せ、ランス・ストロール(アストンマーティン)、リカルド、シャルル・ルクレール(フェラーリ)をオーバーテイクし、5位入賞を果たした。

角田は最終ラップまで攻め続け、最終コーナーでストロールをオーバーテイク。9位入賞を手にして、デビュー戦でのポイント獲得を果たした。日本人ドライバーがデビュー戦でポイント獲得を果たすのは史上初めて※となる。

第2戦は、イタリア・イモラでのエミリア・ロマーニャGPで、4月18日(日)に決勝レースが行われます。

※日本人ドライバーのデビュー戦最高位は、中嶋悟氏、中野信治氏の7位(当時は6位までがポイント対象)

田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
今日のシーズン開幕戦はレッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手がポールポジションからスタートしたものの、残念ながら勝利を逃し2位表彰台獲得に終わりました。勝利を逃したという悔しい思いの一方で、ポールポジション獲得に加え、レースでも終始トップ争いを繰り広げるパフォーマンスを見せられたことをポジティブに捉えています。レースでは、戦略の違いによりハミルトン選手を追いかける展開になり、最後は1秒差以内まで追い詰めたものの、惜しくも届かず2位となりました。チームメートのペレス選手は、フォーメーションラップ中の電源シャットダウンによりマシンがコース上でストップ。幸運にも電源が復活し、ピットレーンからスタートすることができました。最後尾からの追い上げにもかかわらず、素晴らしい走りで5位まで順位を上げてフィニッシュしています。今日発生した問題については、車体・PU合わせてこの後解析を行い、再発防止に向けて対応をしていきます。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダの角田選手は、デビュー戦でいくつものオーバーテイクを見せて、9位入賞を果たしました。うまくタイヤをマネージし、いいレースをしてくれたと思います。ガスリー選手については序盤の接触が影響し、残念ながら終始後方でのレースになりましたが、アルファタウリの2台は週末を通して速さを見せていました。ホームグランプリとなる次戦もいい走りを見せてくれることを期待しています。今週末は両チームともに競争力があることを見せてくれました。オフシーズンの間に懸命に開発を進め、新しいPUを送り出してくれたHRD-SakuraとHRD-UKのメンバー、それに素晴らしいマシンを開発してくれたレッドブルとアルファタウリにも感謝の言葉を贈りたいと思います。今回のレースでのデータを入念に解析し、PUの最適化をすると同時に、問題点や懸案に対しての対応を進め、次戦に臨みたいと思います。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
今日は大きな前進を実感できたのは事実ですが、勝利を手に入れられなかったのは残念です。レース中はドライブしながらいくつかの問題に対処しなければならなかったので、しっかりと調査していきますが、今日も含め、レースウイークを通じて、ポジティブな点は多くありました。メルセデスはアンダーカットしてきましたが、僕らも自分たちの戦略を貫き、それがうまくいったと思います。問題は、今のF1マシンはオーバーテイクしにくいことで、一度コース上で前に立ってしまえば、かなり有利になります。ルイスに接近してすぐにパスしましたが、ターン4でわずかに膨らんでしまったので、ポジションを返しました。しかし、そこからプレッシャーをかけていけるほどタイヤの状態はよくありませんでした。僕らは、ポジティブな面を見ていく必要があります。メルセデスに勝負を挑むことができたことは素晴らしく、こうした展開でシーズンをスタートできて、ポイント獲得を果たせたこともいいことです。常に改善点はあるものなので、さらなる前進のために分析を進めていきます。ここでホンダの200回目の表彰台を決められてよかったです。ここからは次戦へフォーカスして取り組んでいきます

セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
今日はレースができなくなる状況にあったことを考えれば、結果には満足していますし、ペースがよく、ポテンシャルも見えたので、ポジティブな面が多くありました。フォーメーションラップでは、突然マシンがシャットダウンしてしまいました。マシンを降りる寸前でしたが、そのままとどまったところで再び動き出してくれたのは、奇跡的だと思います。これによってピットレーンスタートになってしまったのは痛かったのですが、追い上げて完走できたことはうれしいですし、このマシンで全開走行をする経験が積めたのでよかったです。結果が残せたことが重要であり、もちろんマックスが勝利できなかったことは残念ですが、その日はきっとくるはずですし、僕らならやれると思います。分析が必要なデータがたくさんあるので、すべてを理解して、次のイモラにはさらに強くなって戻ってきたいと思います。

角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
初めてのグランプリでポイントを獲得できてうれしいです。今日のレースでマシンパフォーマンスの素晴らしさを示せたと思います。1周目で慎重になりすぎてポジションをいくつか下げてしまったのは残念で、レース中は必死で挽回を目指しました。このバーレーンでは多くを学ぶことができてよかったですし、これをもとにイモラへ向かいたいと思います。レース中は力強いオーバーテイクをすることができました。僕にとっては、フェルナンド(アロンソ)をパスしたのが熱く感じた瞬間で、幼いころから見てきたスーパースターだったので、とてもエキサイトしました。今日のパフォーマンスを誇りに思いますし、次もどのくらいやれるのか楽しみです。

ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
今週末は最初からずっと強さを発揮できていたので、とてもがっかりしています。5番手スタートという好条件でしたが、1周目のダニエル(リカルド)との接触で僕のレースはほぼ終わってしまいました。フロントウイングを失い、フロアにもダメージを負ったので、1周目からかなり後方になってしまい、勝負権を失ってしまいました。レースウイークを通じていいペースがあったので、本当に残念です。成果を得ることはできませんでしたが、今週末は多くのポジティブな面があったので、イモラでもそれを発揮できればと思います。

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1バーレーンGP / スクーデリア・アルファタウリ