エクソンモービルが語るホンダF1のスペック4に合わせた燃料開発の舞台裏
レッドブル・ホンダの燃料パートナーであるエクソンモービルのグローバルモータースポーツテクノロジーマネージャーを務めるデビット・ツルサキが燃料開発の舞台裏を語った。

レッドブル・ホンダは、F1日本GPでエクソンモービルが開発したホンダのスペック4エンジンに最適化された新燃料による後押しを得た。

鈴鹿サーキットで開催されるF1日本GPは、ホンダにとって重要なレースであり、レッドブルと組んでから初の母国レースでもあった。ホンダF1はスパでスペック4エンジンを投入。いくつかの戦略的なペナルティを含めて鈴鹿で最大限の走りができるようにプロセスを進めてきた。エクソンモービルの新燃料もそのプロセスの一部だった。

「しばらく作業を進めてきたプロジェクトだったが、正直、納期を守れないと思った時期もあった」とデビット・ツルサキは Crash.net に語った。

「燃料を変更する場合は、明らかに多くのテストと開発作業を行う必要がある。単一のシリンダーでいくつかの予備テストを行った後、完全な耐久性テストを行い、それを製造して出荷し、英国から持ち込む必要がある。それはすべて加速的なペースで行われた。非常に短い期間で多くのことを行われなければならなかった」

エクソンモービルは、エンジンをより強力なモードで走らせる燃料など、レッドブル・ホンダにゲインを与えるソリューションを見つけるために日々努力している。

当初はシーズン中盤に燃料アップグレードを投入する予定だったが、より大きなゲインを得るためにシーズン後半に投入されるホンダのスペック4エンジン専用の燃料開発に焦点は移された。

「我々は今年中盤に取り組んでいた別の燃料があった。そして、この燃料の初期テストが行​​われたとき『ここのモードに焦点をシフトしよう』」と考えた。実際、夏中旬の最初のアップグレードの投入を中止してそれに集中しました」とデビット・ツルサキはコメント。

「ホンダがスペック4エンジンの開発を始めたとき、いくつかのアイデアが浮かんだ。単気筒のスペック4に対する設計作業を開始し、いい感じに進んだ。『OK、エンジンを手に入れるにはどのくらいかかる?』『燃料をもっと早く入手することはできないか?』といった感じだった」

「実際、ホンダチームは、彼らが持っている情報に励まされていたし、それを追求したいと考えていたので『やってみよう』ということにあった。実際にこれをやってのけることができるかどうかを確認するのは総力戦だった。そのために準備したエキサイティングな3か月だった」

エクソンモービルは、新燃料でこれまでF1用燃料に投入したことのない化合物を採用した。

「F1では常に新しい革新的なエンジンが絶えず設計されているので、『このエンジンに最適な燃料は何か?』と調べる機会がない。スペック1とスペック2は同じか?そうではない」とデビット・ツルサキはコメント。

「昨年もしくは6か月前に作った燃料ではエンジンに対して同じ反応は見られないので、実際にそのエンジン用に設計している」

「スペック4がターゲットになった。ホンダが多くの時間と労力を費やしたエンジンだったので、そのエンジンのためにできる限りベストな燃料を作ることが我々の目標となった」

デビット・ツルサキは、新しい燃料の開発について説明を続ける。

「燃料に入れる15種類の化学構造、異なる化学構造があるとしよう。それがあり、同じ異なる化学物質を変更するだけで、次のエンジンに最適化できるかもしれない。もしくは変更する必要があるものである可能性もある」

「今回の場合、燃料を改善するためにいくつか異なる化学物質を検討した。それは以前の燃料よりも少し多くのエネルギーを与えた。それが実際の目標だ」

「給油のないF1では何らかの方法でより多くのエネルギーを見つけることが目標であり、それはシンプルな目標だ。2020年に何を始めるにしても、まったく新しいゲームであり、我々は最初からやり直す。しかし、ベースラインは今ある燃料であり、ルールが変更されるまで修正と微調整を続け、最初からやり直す」

燃料のアップデートが完成し、テストが終了すると、車両で走行させるためにFIAで承認を受ける必要がある。だが、鈴鹿で新燃料を準備するには非常にタイトなスケジュールであり、承認プロセスを早め、テスト中に提出するという決定が下された。

「通常、予備テスト、完全なダイナモテストを行ってから、FIAの承認を申請する。今回の場合、デイナモテストを行っている最中にFIAに承認を申請した。ダイナモテストと耐久性テストは期待通りにポジティブな結果になると予想していた。そのため、我々は時間を短縮し、『FIA承認のために送付しよう』ということになった」とデビット・ツルサキはコメント。

「承認を得るには5~7日ほどかかる。同時に我々はすでに出荷の準備を進めていた。控えめに言っても少し神経質になっていた。我々の処方エンジニアさえ、FIAから紙切れを受け取るまでナーバスになっていた」

「幸いなことに我々は両方の燃料を出荷し、それを走らせることが許された。木曜日まで燃料を宣言しないので、他の燃料を使用することもできたかもしれないが、そうなれば、少し失望していただろう」

最終期限の懸念もあったが、新しい燃料は承認を受け、金曜日のフリー走行開始時からマックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンが使用できるように鈴鹿に到着した。

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カテゴリー: F1 / ホンダF1