山本尚貴、今後のF1挑戦は「ホンダや様々な関係者と議論する必要がある」
山本尚貴は、今後のF1への挑戦については“ホンダや様々な関係者と議論していく必要がある”と語った。

31歳の山本尚貴は、F1日本GPのフリー走行1回目でトロロッソ・ホンダのF1マシンを始めて走らせて、チームメイトのダニール・クビアトから0.098秒という僅差でセッションを終えた。

セッション後、メディアのインタビューを受けた山本尚貴は「今は終わった直後ですし、こんなに記者の人の近くで会見するのが初めてなので、ちょっと圧倒されています(笑)」とコメント。

「F1をシミュレータしか経験していない中で、できるだけの準備はしてきましたけど、正直、自分の力と準備が本当に十分なのか不安でいっぱいでしたが、トロロッソのチームの皆さんやホンダのサクラのメンバーも助けてくれたので、大きなミスもなく走ることができました」

「順位は残念ながら上の方ではなかったですし、ダニーと比べても負けてはしまいましたが、良い結果は出せたのかなと思っています。それは準備と皆さんが助けてくれたおかげだと思っています。F1カーを初めてドライブする最初の一歩を楽しむことができましたし、皆さんに感謝しています」

ダニール・クビアトと0.11秒差という結果について「正直、レーシングドライバーとしての自分はこの順位に満足はできません。常にトップを目指していますからね」と山本尚貴は語る。

「でも、F1では性能が違う車両が走っており、結果を出すことは容易ではありません。だが、ダニーとの差は小さいですし、それは自分にとってもチームにとってポジティブな点だと考えています。チームメイトと差が大きいとデータの意味がなくなってしまいます。0.1秒差は大きくないですし、自分のFP1のデータは今週末のチームに有意義なものになると思っています」

「当然、自分の習熟をかねての走行が大半ではありましたし、もちろん今週末レースを控えているチームなので、チームが用意しているプログラムに沿ってやっていきました。僕は本当にF1を知らないので、正直、F1で何ができるのかを評価するには経験が少し足りていません。なので、新しいエアロパーツなどのテストはダニーが担当し、僕はスタンダードな車両で走りました」

「その結果、新しいエアロで走ったダニーと、ベースセットで走っている僕との比較でどこが改善されているかを見ることが一番の仕事でした。5秒も6秒も遅いドライバーのデータは参考にならないですからね。ドライバーとして0.1秒負けてしまいましたが、最終的に同じくらいのタイムで走ることができたので、僕のデータを少し有効に使えるのかなと思いますし、そういう意味では、FP1自分の仕事はまずまず合格点をあげていいのかなと思っています」

スーパーフォーミュラのマシンとの違いについて質問された山本尚貴は「一番大きな差はパワーでした」とコメント。

「F1は950馬力~1000馬力で、スーパーフォーミュラは600馬力ぐらいですからね。2番目はパワーウェイトレシオです。スーパーフォーミュラは650kgですが、F1は100kg程度重い。それが車両のバランスに大きな影響を与えている。いずれにしろ、初めてF1を運転できて本当に嬉しいです」

「尋常じゃないパワーですね。言葉にすることはできません。ロケットに乗ってるみたいです。ロケットには乗ったことはないありませんが(笑)。ジェットエンジンに乗ってるみたいで、こんなパワーでレースをやっているのだと思うとあらためてF1ドライバーに対する尊敬の念が湧いてきました」

「このマシンを一から作り上げたトロロッソ、そして、かなり苦労していたと思うのですが、ここまで戦えるパワーユニットを作って初めて乗ったドライバーでも扱いやすいパワーユニットを用意してくれたホンダの努力を改めて感じました。本当に今まで憧れの舞台だったでしたが、F1をものすごく身近に感じることができたし、もっともっとF1を知りたいなと感じました」

今回のF1での経験は今後どのように生かされていくのか。「もちろん、より速いマシンをコントロールする技術が芽生えたということは、スーパーフォーミュラやSUPER GTといったF1以外のカテゴリーに乗ったとしても有効になると思うし、何よりも初めて乗るマシンに対してここまでやってきた努力は裏切らなかったと思います。改めて努力することの大切さを感じました。やはり日本のレースでもどのレースでも、常に努力することを忘れではいけないなと感じました」とコメント。

「僕の年齢を考えても、様々な意見があることを重々承知の上で、今回の挑戦をお願いしました。本当は100人いたら、100人が祝福してくれるようなことが幸せなのかもしれませんがね。応援してくれる人はもちろん良いことを言ってくださいますが、ネガティブなコメントも自分の成長につながります。日本で走ることによって、多くの人がFP1を見てくれたと思うし、これが海外のサーキットなら現地で見るのも大変だし、日本で走ることに大きな意味があると思います」

「今回、パドックにもスーパーフォーミュラを戦っているライバルたちが来ていて、当然レーサーので、僕がうまくやってることは面白くないかもしませんが、『山本がやれるなら自分もやれる』と少しでも思ってくれることができたとしたら、31歳の僕がここで乗ることの意味は大きいと思います」

「母国グランプリのFP1だったけれど乗ることができ、本当に多くのファンの皆さんが各スタンドで旗を振ったり、手を振ったりしてくれていたのをインラップでは見ることができて感動の瞬間でした。まだまだ続くレース人生に向けてもっともっと努力したいなと思いました」

「常に準備する姿勢は変えてないですし、覚えないといけないことがたくさんあるのがF1なので、そこは大変でしたが、クリアできたかどうかはチームだったり、ホンダだったり、レッドブルが評価することなので。僕が満足してもレーサーとしてはダメなのでいい評価をしてくだされば幸いです。大きなミスなく自分の仕事を着実に落ち着いてこなすことができて、たくさんの人に助けてもらってFP1を走り切ることができた。本当に今週末のトロロッソとこれからのトロロッソ、今週末に走るホンダパワーユニットを搭載した4台のクルマがいい結果を残せるように祈っています」

来年や再来年にF1を目指す可能性について山本尚貴は「FP1を終えたばかりの今の時点で言えることは、まずはチームとFP1についてよく話をする必要があります。その後、ホンダや様々な関係者と議論していく必要があります」と語った。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / ホンダF1