ホンダ F1
創立から現在に至るまで、実に500名を超える生徒を迎え入れ、幾多のレーシングドライバー・ライダーを輩出してきた鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)。2016年の2輪部門に続き、2019年は4輪部門が新たに生まれ変わった。

1993年に開校したSRS-Kart(カート。以下「SRS-K」)と、その2年後に設立されたSRS-Formula(フォーミュラ。以下「SRS-F」)は、四半世紀以上にわたって中嶋悟が校長を務めてきたが、2019年からは佐藤琢磨がPrincipalに、中野信治がVice Principalに就任し、体制が刷新。

世界で通用するドライバーの育成に向けて、“世界の今”をよく知る2人がSRS-KとSRS-Fを牽引していくこととなった。

しかし、変革はそれだけにとどまらない。これまでは独自にカリキュラムを模索・展開してきたSRSだが、2019年からフランスのASN(Autorite Sportive Nationaleの略称。国際自動車連盟によって公認された各国のモータースポーツを統轄する団体。日本の場合はJAF)であるフランス・モータースポーツ連盟FFSAと提携して、今まで以上にプログラムの内容充実に努めることになった。

FFSAは“モータースポーツのプロ”を養成するための『FFSAアカデミー』を運営している。本拠地であるフランスのル・マンに専用の設備を構え、「ドライバー」のほか「インストラクター」や「メカニック」に至るまで、モータースポーツに関わる人材を幅広く育成している。また、その中の「ドライバー」一つとってもサーキットレース、ラリー、カートとカテゴリーごとにプログラムが用意される充実ぶり。

FFSAアカデミーの出身ドライバーは数えあげればキリがない。ラリーで言えばセバスチャン・ローブ(世界ラリー選手権WRCで前人未到の9連覇チャンピオン)、セバスチャン・オジエ(同選手権6連覇中の現役最強チャンピオン)が、サーキットレースではロマン・グロージャン、ピエール・ガスリー、ストフェル・バンドーン、ブノワ・トレルイエ、ロイック・デュバル、ジャン-エリック・ベルニュらが卒業生。いまなお世界を舞台に活躍する、そうそうたるメンバーが名を連ねている。

2019年は、このFFSAアカデミーのノウハウが、海を超えて鈴鹿へやってくることになる。また、視点を変えて眺めると、30年弱の歴史と実績を持つSRSが「世界で通用するドライバー」の育成に向けて、よりよいカリキュラムを求めて、いまだ進化を続けていると見ることもできる。

あらゆる面で生まれ変わったSRS-KとSRS-F。この卒業生のなかから日本人初となるF1ウイナー、F1世界チャンピオンが誕生する日は、そう遠くないかもしれない。

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カテゴリー: F1 / ホンダF1