ホンダF1 「トロ・ロッソは技術的に非常にプロフェッショナル」
ホンダのF1プロジェクト総責任者を務める長谷川祐介が、マクラーレンとの3年間のプロジェクト、そして、トロ・ロッソとの新たなパートナーシップについて語った。
2017年のアブダビGPはホンダのF1史のなかで重大な瞬間となった。マクラーレンとの3年間のパートナーシップが終了し、2018年のトロ・ロッソとの新たなパートナーシップへの幕開けを意味する。
1988年から1992年の5年間でマクラーレン・ホンダは80戦で44勝を挙げてF1界を席巻した。しかし、2015年に誕生した新生マクラーレン・ホンダは、優勝はおろか、表彰台にも手が届くことはなかった。
マクラーレンとの3年間を振り返り、長谷川祐介は「確かに厳しい3年でした」とHonda Racing F1の公式サイトで語った。
「ホンダはほかのマニュファクチャラーに比べて、開発を始めるのがかなり遅かったので、大きなディスアドバンテージを抱えてのスタートとなりました。開発面から見れば、我々は非常にいい仕事をしたと言えますが、競争力という点で見れば、我々が遅れをとっていることは明らかでした」
「それでも、我々が成し遂げたことを誇りに思います。我々は前進し続け、決してあきらめずに、開発を続けてきました。この3年間、常にできる限りのスピードで走り続けてきました。しかし、F1はレースでありスポーツです。傍から見れば、我々が結果を残せなかったことは事実ですし、そのことは非常に残念です」
「その事実は受け入れなくてはいけません。ただ、厳しい状況ではありましたが、マクラーレンには本当に感謝しています。特にサーキットのメンバーたちは、マシンとパワーユニットから最大限のパフォーマンスを引き出そうと努力し続けてくれました。彼らもまた、絶対にあきらめませんでした。エンジンに問題があったときも、メカニックたちは問題を解決し、マシンをサーキットに戻そうと懸命に作業を続けました。彼らはプロフェッショナルで、常にすばらしい姿勢で仕事に臨んでいました」
2017年、ホンダは将来により優れた開発ポテンシャルを提供するために新しいパワーユニットコンセプトを導入した。シーズン前半にはトラブルに見舞われたが、最後の7戦中5戦でポイントを獲得している。
「これは我々にとって必要なチャレンジでした。昨シーズンは、いくつかのレースでまずまずのパフォーマンスを発揮しましたが、表彰台を争える競争力がないことは明らかでした。だからエンジンのコンセプトを変える必要があったのです」と長谷川祐介はコメント。
「正しい方向に向かっていることは確信していましたが、2017年シーズンが始まる前にパッケージを完成させることができなかったのです」
「それはつまり、残された多くの課題をシーズン中に解決しなければならないことを意味しました。もしも我々がパッケージに修正を加えなければ、長期的に見て、さらなる進化を果たす可能性がないことは明らかでした。この判断について、私は後悔していません」
「もちろんシーズン中、マクラーレンからはさまざまな要望が出されました。これも非常によかったと思います。チームとさまざまな開発を繰り返していく中で、技術的にも人間としても、我々は大きく成長できたからです。そこにも疑いの余地はありません」
この3年間でホンダが得た成長は、2018年から新たにパートナーシップを組むトロ・ロッソとともにF1で引き続き生かされていくことになる。ピエール・ガスリー、ブレンドン・ハートレーという新たなドライバーラインナップを迎える2018年はチームにとっても、ホンダのプロジェクトにとっても新鮮なスタートとなる。
長谷川祐介はホンダにとってそれは非常に良いことだと考えている。
「新しいチャレンジと、新しいパートナーシップはいつもエキサイティングなものです。F1に復帰して以来、ホンダがパートナーを変更するのはこれが初めてです。変化することにより、このF1の世界でなにがスタンダードなのかを理解することもできると思います」
「我々は、まだマクラーレン・ホンダとしてのやり方しか知りません。ですからこれは、全く違うやり方について学ぶ、いい機会となるはずです」」
「我々には変化が必要だと思います。技術的な側面から言っても、新しい冷却作用や、異なるマシンのデザインと抵抗力が与えるトップスピードへの影響など、異なることを知るのはチームにとっていいことです。スタンダードがなんなのかを知るのは、非常に重要です」
「トロ・ロッソはすばらしいチームで、我々に対して非常にオープンです。限られたサイズとリソースのチームですが、高い競争力を持っています。私以外のメンバーがどう見ているかは分かりませんが、これまで何回かミーティングを行ってきた経験で言えば、彼らは技術面でも非常にプロフェッショナルです」
トロ・ロッソとのパートナーシップが発表されて以降、最初の作業はすでに進められているが、冬の間は、2月に行われるプレシーズンテストまでに新しいマシンを準備するという課題に取り組むことになる。
「マシンへのエンジンのインストールが、現在の最も重要な仕事です。エンジンをシャシーに合わせるため、多くの変更を施さなければなりません。この限られた期間で行うには大きな仕事ですが、ホンダとトロ・ロッソはどちらもすばらしい仕事をしています」
「現在は、我々の方から多くの要求を出しているところです。しかし、リーダーシップに関して言えば、マクラーレンと組んでいたときよりも、より対等な関係が結べていると言えるでしょう。それはチームのサイズ感だけの話ではありません。ホンダは企業としては巨大ですが、ここ数年のF1に関しては限られた経験値しかありません。その点に関してはマクラーレンが我々をリードしていましたが、トロ・ロッソとはまた違う関係性になるでしょう」
「我々はチームの切り替え作業を迅速に進めています。2月までにマシンの準備を整えなくてはならないので、非常に忙しい冬になります。パワーユニットの開発も進めています。コンセプトは今年と変わらないので、今シーズン使用したものをベースに開発することができます」
マクラーレン・ホンダのパートナーシップからは、現実的な目標を設定するのには時間がかかることがわかった。トロ・ロッソ・ホンダでは、ドライバーもチームもキャリアが浅いのであまり楽観的な予測を立てることはしない。
目標が立てられるのはまだ先のこととなりそうだ。チームに関わるすべてのメンバーはホンダを再びグリッドの最前線に戻すことを目標としており、しばらくはチームにとって忙しい時間が続く。
「我々が最も検討するべきなのは、どこに目標を置くかです。トロロッソの代表であるフランツ・トストは、チャンピオンシップ争いはドライバーの肩にかかっていると繰り返し言っています。我々は、ピエールとブレンドンに必要なパフォーマンスを提供することに集中します。もちろん彼らは優秀なドライバーですが、F1の世界ではまだルーキーで、コンストラクターズチャンピオンシップの面から見ても、具体的な目標を設定するにはまだ早いと考えています」
「トロ・ロッソとのパートナーシップは、これまでよりも周囲かからのプレッシャーが少ないはずだと皆さんに言われますが、それは違います。我々の仕事はただ一つ、とてもシンプルで、最高のエンジンを開発することに集中していますし、周囲からの影響によりそのスピードが変化するとは考えていません」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / トロロッソ
2017年のアブダビGPはホンダのF1史のなかで重大な瞬間となった。マクラーレンとの3年間のパートナーシップが終了し、2018年のトロ・ロッソとの新たなパートナーシップへの幕開けを意味する。
1988年から1992年の5年間でマクラーレン・ホンダは80戦で44勝を挙げてF1界を席巻した。しかし、2015年に誕生した新生マクラーレン・ホンダは、優勝はおろか、表彰台にも手が届くことはなかった。
マクラーレンとの3年間を振り返り、長谷川祐介は「確かに厳しい3年でした」とHonda Racing F1の公式サイトで語った。
「ホンダはほかのマニュファクチャラーに比べて、開発を始めるのがかなり遅かったので、大きなディスアドバンテージを抱えてのスタートとなりました。開発面から見れば、我々は非常にいい仕事をしたと言えますが、競争力という点で見れば、我々が遅れをとっていることは明らかでした」
「それでも、我々が成し遂げたことを誇りに思います。我々は前進し続け、決してあきらめずに、開発を続けてきました。この3年間、常にできる限りのスピードで走り続けてきました。しかし、F1はレースでありスポーツです。傍から見れば、我々が結果を残せなかったことは事実ですし、そのことは非常に残念です」
「その事実は受け入れなくてはいけません。ただ、厳しい状況ではありましたが、マクラーレンには本当に感謝しています。特にサーキットのメンバーたちは、マシンとパワーユニットから最大限のパフォーマンスを引き出そうと努力し続けてくれました。彼らもまた、絶対にあきらめませんでした。エンジンに問題があったときも、メカニックたちは問題を解決し、マシンをサーキットに戻そうと懸命に作業を続けました。彼らはプロフェッショナルで、常にすばらしい姿勢で仕事に臨んでいました」
2017年、ホンダは将来により優れた開発ポテンシャルを提供するために新しいパワーユニットコンセプトを導入した。シーズン前半にはトラブルに見舞われたが、最後の7戦中5戦でポイントを獲得している。
「これは我々にとって必要なチャレンジでした。昨シーズンは、いくつかのレースでまずまずのパフォーマンスを発揮しましたが、表彰台を争える競争力がないことは明らかでした。だからエンジンのコンセプトを変える必要があったのです」と長谷川祐介はコメント。
「正しい方向に向かっていることは確信していましたが、2017年シーズンが始まる前にパッケージを完成させることができなかったのです」
「それはつまり、残された多くの課題をシーズン中に解決しなければならないことを意味しました。もしも我々がパッケージに修正を加えなければ、長期的に見て、さらなる進化を果たす可能性がないことは明らかでした。この判断について、私は後悔していません」
「もちろんシーズン中、マクラーレンからはさまざまな要望が出されました。これも非常によかったと思います。チームとさまざまな開発を繰り返していく中で、技術的にも人間としても、我々は大きく成長できたからです。そこにも疑いの余地はありません」
この3年間でホンダが得た成長は、2018年から新たにパートナーシップを組むトロ・ロッソとともにF1で引き続き生かされていくことになる。ピエール・ガスリー、ブレンドン・ハートレーという新たなドライバーラインナップを迎える2018年はチームにとっても、ホンダのプロジェクトにとっても新鮮なスタートとなる。
長谷川祐介はホンダにとってそれは非常に良いことだと考えている。
「新しいチャレンジと、新しいパートナーシップはいつもエキサイティングなものです。F1に復帰して以来、ホンダがパートナーを変更するのはこれが初めてです。変化することにより、このF1の世界でなにがスタンダードなのかを理解することもできると思います」
「我々は、まだマクラーレン・ホンダとしてのやり方しか知りません。ですからこれは、全く違うやり方について学ぶ、いい機会となるはずです」」
「我々には変化が必要だと思います。技術的な側面から言っても、新しい冷却作用や、異なるマシンのデザインと抵抗力が与えるトップスピードへの影響など、異なることを知るのはチームにとっていいことです。スタンダードがなんなのかを知るのは、非常に重要です」
「トロ・ロッソはすばらしいチームで、我々に対して非常にオープンです。限られたサイズとリソースのチームですが、高い競争力を持っています。私以外のメンバーがどう見ているかは分かりませんが、これまで何回かミーティングを行ってきた経験で言えば、彼らは技術面でも非常にプロフェッショナルです」
トロ・ロッソとのパートナーシップが発表されて以降、最初の作業はすでに進められているが、冬の間は、2月に行われるプレシーズンテストまでに新しいマシンを準備するという課題に取り組むことになる。
「マシンへのエンジンのインストールが、現在の最も重要な仕事です。エンジンをシャシーに合わせるため、多くの変更を施さなければなりません。この限られた期間で行うには大きな仕事ですが、ホンダとトロ・ロッソはどちらもすばらしい仕事をしています」
「現在は、我々の方から多くの要求を出しているところです。しかし、リーダーシップに関して言えば、マクラーレンと組んでいたときよりも、より対等な関係が結べていると言えるでしょう。それはチームのサイズ感だけの話ではありません。ホンダは企業としては巨大ですが、ここ数年のF1に関しては限られた経験値しかありません。その点に関してはマクラーレンが我々をリードしていましたが、トロ・ロッソとはまた違う関係性になるでしょう」
「我々はチームの切り替え作業を迅速に進めています。2月までにマシンの準備を整えなくてはならないので、非常に忙しい冬になります。パワーユニットの開発も進めています。コンセプトは今年と変わらないので、今シーズン使用したものをベースに開発することができます」
マクラーレン・ホンダのパートナーシップからは、現実的な目標を設定するのには時間がかかることがわかった。トロ・ロッソ・ホンダでは、ドライバーもチームもキャリアが浅いのであまり楽観的な予測を立てることはしない。
目標が立てられるのはまだ先のこととなりそうだ。チームに関わるすべてのメンバーはホンダを再びグリッドの最前線に戻すことを目標としており、しばらくはチームにとって忙しい時間が続く。
「我々が最も検討するべきなのは、どこに目標を置くかです。トロロッソの代表であるフランツ・トストは、チャンピオンシップ争いはドライバーの肩にかかっていると繰り返し言っています。我々は、ピエールとブレンドンに必要なパフォーマンスを提供することに集中します。もちろん彼らは優秀なドライバーですが、F1の世界ではまだルーキーで、コンストラクターズチャンピオンシップの面から見ても、具体的な目標を設定するにはまだ早いと考えています」
「トロ・ロッソとのパートナーシップは、これまでよりも周囲かからのプレッシャーが少ないはずだと皆さんに言われますが、それは違います。我々の仕事はただ一つ、とてもシンプルで、最高のエンジンを開発することに集中していますし、周囲からの影響によりそのスピードが変化するとは考えていません」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / トロロッソ