ルイス・ハミルトン フェラーリF1のシミュレーター離れ「当たり外れがある」
ルイス・ハミルトンは、F1カナダGPに向けた準備でフェラーリのシミュレーター作業を見送り、データ分析を重視するアプローチに切り替えた。

ハミルトンはフェラーリ加入後、中国GPで初表彰台を獲得した一方、その後はトップ5圏内に届かないレースが続き、前戦マイアミGPでは自ら「どっちつかずの場所にいる」と表現する苦しい週末を過ごした。

今回の舞台であるジル・ヴィルヌーヴ・サーキットは、ハミルトンが2007年にF1初優勝を挙げた場所でもある。そのカナダGPを前に、ハミルトンは従来とは異なる準備方法を選んだ。

シミュレーター作業から距離を置いた理由について、ハミルトンは次のように説明した。

「シミュレーションでは、ゴールポストが常に動いているように感じる」

「昨年は毎週使っていたし、多くの場合、シミュレーターで作業をして、自分が快適だと思えるセットアップを見つける。でもサーキットに行くと、すべてが逆になっていることがあって、学んだことを元に戻す作業をしているような状態になる」

「コーナーへのアプローチの仕方も、変えて調整しなければならないことがある。シミュレーターで良いと感じたセットアップが、実際のトラックでは同じではないことがある。もちろん同じ場合もある。だから、ある意味で当たり外れがある」

そのため、ハミルトンはカナダGPではシミュレーターを使わず、データの深掘りに集中することを決めた。

「今回はそれを見送って、もっとデータに集中しようと決めた。コーナー中のバランス、メカニカルバランス、コーナーへのアプローチ、ブレーキバランス、ブレーキの最適化について、かなり深く掘り下げた。ブレーキはしばらく僕にとって問題になっていた部分だ。それがエンジニアとの非常に良い連携につながった」

ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

フェラーリはマイアミGPでアップグレードを投入したが、ハミルトンはペース不足に苦しみ、シャルル・ルクレールもスピンとその後のペナルティに見舞われた。チームは現在コンストラクターズ選手権で2位につけているものの、直近の内容には満足していない。

ただし、ハミルトンはシミュレーターそのものや担当スタッフを批判しているわけではないと強調した。

「シミュレーターは素晴らしい。本当に素晴らしい作業スペースだ。僕がこれまで見た中で最高のシミュレーターだし、最高の人たちがいる。そこで一緒に働く大きなチームがいて、シミュレーターで過ごす1日は実際かなり素晴らしいものだ」

「とても強力なツールだし、チームとして進化させ続けているものだ。僕が来てから、その進化の一部にかなり意見を出してきたし、彼らはとても反応が早く、多くの変更を加えてくれた」

「もう二度と使わないと言っているツールではない。特にパワーデプロイメントでは、今後も必ず活用していくものだと思う」

一方で、ハミルトンは過去半年間の経験から、シミュレーターと実走行の相関に課題が残っていることも認めた。

「この6か月間やってきたのは、週末の後にシミュレーターに入り、相関作業をすることだった。でも次のサーキットに行くと、少しズレていることがある。だから週末がどうなるか見てみる。例えば中国ではシミュレーターをやらなかったが、それが僕のベストウイークエンドだった」

ハミルトンにとって今回の判断は、シミュレーターの否定ではなく、フェラーリでの適応過程における準備方法の再調整といえる。特にブレーキやコーナー中のバランスといった実走行での違和感を解消するため、エンジニアとのデータ共有を優先した形だ。

中国GPでの成功例が再現されるのか、それともシミュレーターとの相関改善が再び課題として浮上するのか。ハミルトンのカナダGPは、フェラーリでの適応が新たな段階に入ったかを測る週末になる。

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カテゴリー: F1 / ルイス・ハミルトン / スクーデリア・フェラーリ / F1カナダGP