ハースF1の2026年シミュレーター投入を延期 小松礼雄「進化の途中」
ハースF1チーム代表の小松礼雄は、2026年マシンの開発において、ドライバーへのシミュレーター投入を「まだ時期尚早」として見送っていることを明かした。

小松礼雄は、2026年マシンの開発が依然として流動的であるため、現段階でのドライバー入力が実質的な意味を持たないと説明した。

「開発は順調に進んでいますが、コンセプトが常に進化しています」と小松礼雄は語った。

「ドライバーがトレーニングできるような安定した基盤がまだありません。2カ月後にはまったく違う挙動になる可能性のあるクルマに慣れても意味がないと思います」

シーズン残り6戦を迎える中で、小松礼雄はチームの焦点を現行マシンでの戦いに維持していると強調した。現在ハースは、アルピーヌに僅差の46ポイントでコンストラクターズランキング9位につけている。

「ミッドフィールドは本当に僅差なんです」と小松礼雄は続けた。「だからこそ、ドライバーたちには今シーズンに全力で集中してもらいたいと思っています」

「アブダビ後には2026年プロジェクトの開発もさらに進むはずです。ですので、シミュレーターでの準備を始めるのはそのタイミングが理にかなっていると考えています」

2026年からは、アクティブ・エアロダイナミクスと次世代ハイブリッドパワーユニットを組み合わせた、F1史上最大級の技術レギュレーション改革が実施される予定だ。

2026年マシン開発の現状と意図
小松礼雄が強調する「進化の途中」という言葉が示すように、ハースは現在、2026年型マシンの基本コンセプトを固める段階にある。空力とパワーユニットの仕様が大きく変わるため、現時点でのシミュレーター投入はまだ「意味を成さない」時期だ。

一方で、チームとしては現行シーズンでのポイント争いを最優先としており、わずか1ポイント差でアルピーヌを上回る位置を守ることが重要視されている。小松礼雄の発言は、リソース配分と開発タイミングを慎重に見極める姿勢の表れでもある。

分析:現実的かつ戦略的な判断
小松礼雄の判断は、限られた開発リソースを持つハースとしては極めて現実的だ。まだ仕様が固まっていない段階でドライバーに初期仕様を体験させても、無駄な学習コストが発生するだけでなく、誤ったフィードバックを生むリスクもある。

また、2026年規則の複雑さを考えれば、チームとしての開発基盤を整えることが先決であり、シミュレーター投入の遅れは必ずしもマイナスではない。現行マシンの戦いに集中することで、今季ランキングを少しでも上げ、オフシーズンに安定した環境で2026年開発に移行できる体制を整える狙いがあると考えられる。

Source: GMM

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カテゴリー: F1 / ハースF1チーム