ハースF1代表 「ミック・シューマッハの解雇は鈴鹿での事故が決定打」
ハースF1チームのギュンター・シュタイナーは、2022年末にミック・シューマッハを解雇したことに後悔はないとし、若いドイツ人の事故の多いシーズンが、彼が去るべき理由であったと明かした。

シュタイナーは、鈴鹿で行われた日本GPのプラクティス終了直後にマシンを潰したシューマッハの事故が最後の砦だったと語った。

「インラップで起こったんだ!」とシュタイナーは事件から時間が経った今でも信じられない様子だ。

「確かにサーキットはとても濡れていたが、ピットに戻るまでの間にクルマを全損させた人など見たことがない」

「5分後にマシンを失い、そこからもう1台作らなければならない。スローラップで安全にクルマを走らせる自信のないドライバーを運転させることはできない。バカバカしい話だ」

「70万ドル(約9250万円)あれば、何人雇える? そして、私はそのお金を見つけなければならない」

報道によると、シューマッハの事故は合計でチームに200万ドル(約2億5000万円)の損害を与え、シュタイナーがよく口にする「無駄なことを繰り返すことはできない」という言葉につながった。

「あれは、その場の勢いで出た言葉だと思う」とシュタイナーは認めた。

「レース中はとても感情的になっているので何かをいったかなど忘れてしまうものだ。そういうものだ」

ミック・シューマッハ ハースF1チーム

シュタイナーは今週末、Times紙のインタビューに応じ、新刊『Surviving to Drive:A Year Inside Formula 1』のプロモーションを行っている。この本は4月20日に出版される予定で、「F1での1年間の爽快な記録」と説明されている。

シュタイナーは、当時は本業が忙しかったため、この本が代筆されたことを率直に認めている。しかし、彼は「オーディオブックは自分でナレーションした!」と指摘した。

Netflixの人気番組『Drive To Survive』でのF1の舞台裏ドキュメンタリーで、彼の無防備なコメントが話題となり、パドックで最も恩恵を受けたのは、間違いなくシュタイナーの個人的なプロフィールだろう。

しかし、シュタイナーは、そのような瞬間が本当は好きではなく、そのために番組を見ないという。

「もう仕事がないときに一度くらいは見るかもしれない」とシュタイナーは肩をすくめた。

「自分自身を観ると、自分の行動に対して批判的になってしまうので、観たくない」

「私は俳優ではない。私の仕事はチームプリンシパルだ。それが私がする必要のあることだ」とシュタイナーは説明した。

「見てたら影響されてしまう。カメラを見ると、違う行動をとってしまい、変なことになる。変になりたくないんだ」

シュタイナーが新たに有名人になったことで、スポーツ全体におけるハースF1チームの知名度も上がっている。同チームは2016年にF1のラインナップに加わったばかりのチームだが、いまだに予算は非常に限られており、フェラーリとの技術提携に頼っているのが現状だ。

「もし、あなたがメルセデスやフェラーリにゲストとして行くなら、あなたの世話をする人たちがいるはずです。一方、ハースにゲストとして来た場合は、オーバーオールを渡したり、洗濯をさせたりするんだ!"

「ゲストとしてメルセデスやフェラーリに行けば、あなたの世話をする大勢の人々がいるだろう。一方、ハースにゲストとして来れば、オーバーオールを渡されるか、洗濯をさせられる!」

ギュンター・シュタイナー ハースF1チーム

しかし、2021年にルーキードライバーのニキータ・マゼピンを起用したことからも、お金の必要性は明らかだ。これは、ロシアのオリガルヒ、ドミトリー・マゼピンが経営する肥料輸出大手ウラルカリのスポンサーシップによるところが大きい。

シュタイナーは、近年F1に昇格する準備ができていない「ペイドライバー」の最もひどい例のひとつと多くの人に思われる批判をかわした。

「レースに行くにはもちろんお金が必要だ」とシュタイナーは言った。

「ルイスはその完璧な例だ。マックス・フェルスタッペンは、彼の父親がF1でレースをしていたことは知っているが、彼はお金を持っていなかったし、父親の評判もよくなかった。

「マックスに才能がなかったら、彼にとって助けにはならなかっただろう」

「だから、才能はまだ出てくると思う。明らかに、お金はサッカーよりもキャリアに大きな影響を与える」

「それを否定してしまったら、私はピノキオになってしまう。しかし、最終的にはやはり才能が必要だ」

「ルイスがチャンピオンになったのも、マックスがチャンピオンになったのも、やはり才能の問題だ。誰もチャンピオンを買ってはいない。まだね」

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カテゴリー: F1 / ハースF1チーム / ミック・シューマッハ