ラッセル F1モナコGPで“壁”になったアルボンに「夕食の会計は彼持ち」

予選Q2ではマシンが電力を失ってストップし、ラッセルはここで敗退。同僚のアンドレア・キミ・アントネッリもQ1でクラッシュしており、メルセデスにとって厳しい展開だった。
14番手と15番手からスタートしたラッセルとアントネッリは、今大会から導入された「義務的2回ピットストップルール」を活かし、入賞圏内を狙っていたが、サインツとアルボンの“壁”によってその戦略は阻まれた。
序盤はサインツの後ろに、後半はアルボンの背後に張り付くかたちとなり、ラッセルは次第にフラストレーションを募らせる。ついにはヌーヴェルシケインでショートカットしてアルボンを追い越し、そのポジションを戻すことを拒否した。
スチュワードは、コース外走行によって得たアドバンテージを返さなかったとして、ラッセルにドライブスルーペナルティを科した。ラッセルは無線で「ペナルティを受けた方がマシだ」と語っていたが、最終的に彼は11位でフィニッシュし、ポイントには届かなかった。
ラッセルは「今までで一番フラストレーションの溜まった周回だったか」と問われると、こう答えた。
「そうだね。でもそうなるってことは最初から分かっていたよ。僕たちもキミと一緒にそれを計画していたんだ。僕がピットに入って、キミが後続を抑え、その後ポジションを交代して僕が同じことをやるってね」
「でもそれをやったのはレーシングブルズとウィリアムズだった。1周目にピットに入ってもポイント圏外、引っ張ってもポイント圏外。ある時点で『もうどうでもいいや』って思ったんだ。モナコを楽しみたかったし、予選ではそのチャンスがなかったからね」
「だから25周にわたって、まるで予選のようなアタックラップを連続で走れたのは少なくとも楽しかったよ。皮肉だけど、あのドライブスルーペナルティを受けたことで、受けなかった場合よりも順位が上がったんだ。システムに欠陥があるってことだよね」

ペナルティを受けるのが最初からチームの計画だったのか問われると、こう続けた。
「それが計画だったわけじゃないよ。計画はあくまでオーバーテイクを狙うことだった。チームは木曜日にこう言ってたんだ。前のクルマとの差が3秒未満なら、追い抜きの可能性は0%、4.5秒あれば50%って。
「カルロスとアレックスは頭がいいから、守りやすいポジションにクルマを置いていた。特にアレックスは、ブレーキングの仕方がちょっと危険だった時もあった。あのシケインをカットするつもりはなかったし、そんな計画でもなかったけど、77周もずっと誰かのリアウイングの後ろで走るのは嫌だったし、自分自身を危険にさらすことにもなる。直線でブレーキ踏まれたり、チームプレイの犠牲になるのも避けたかった」
モナコに住むF1ドライバーも多い中、ラッセルは最後に笑顔を見せてこう締めくくった。
「今夜はアレックスと夕食を一緒にする予定なんだ。だから彼にお会計をお願いするつもりだよ」
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