デンマークF1開催構想が再始動 約790億円サーキット計画
デンマークで、再びF1開催構想が動き出した。

かつて頓挫したコペンハーゲン市街地レース計画に代わり、今度は南ユトランド地方パドボーに新サーキットを建設する「Circuit of Denmark」プロジェクトが浮上。製薬大手ノボ・ノルディスク創業家の資金支援を背景に、総額5億ドル(約790億円)規模とも報じられる大型計画だ。

F1開催を最終目標に掲げる一方で、関係者からは“立地問題”や“国家レベルの規制”を懸念する声も上がっている。

頓挫したコペンハーゲン計画から6年
2020年には、デンマーク首都コペンハーゲンでのF1市街地レース構想が大きく報じられた。当時はFIAの支援もあり、著名サーキットデザイナーのヘルマン・ティルケもレイアウト案を承認していた。

しかし、政治的支援を失ったことで計画は崩壊。元デンマーク閣僚ヘルゲ・サンダーが主導していたプロジェクトは、実現目前で消滅した。

今回浮上した「Circuit of Denmark」は、その失敗とは異なるアプローチを取る。

舞台となるのは、ドイツ国境に近いパドボー。元F1ドライバーのアレックス・ブルツが設計を担当する近代的サーキット建設構想であり、将来的なF1招致を視野に入れている。

英『Ekstra Bladet』紙は、「すべてが順調に進めば、数年以内にパドボーでF1開催の可能性がある」と報じている。

“北欧に足りないもの”を埋める計画
現時点では、計画はまだ初期段階にある。ただし、すでに政治家へのプレゼンテーションは行われているという。

プロジェクトディレクターのレベッカ・スティーラは、デンマークサッカー協会やFCコペンハーゲンでの経歴を持つ人物だ。

「北欧に欠けているのは、ヨーロッパ全体を引き寄せる国際的な推進力です」

「我々には、国内の莫大な才能を解き放つ“モータースポーツの本拠地”がありません」

「私たちは、その空白を埋めようとしているのです」

当初のサーキット仕様はF1開催基準(ホモロゲーション)を満たさない見通しだが、長期的にはF1開催可能な施設への発展を目指している。

“市長が前向きでも建設できるとは限らない”
かつてのF1計画責任者ヘルゲ・サンダーも、新プロジェクトに期待感を示した。

「この記事を読んだとき、私は小躍りしたよ。実現してほしいと思っている」

一方で、実現までの困難さも熟知している。

「ただ、自分の経験から言えば、これは非常に大きなプロジェクトだ。完成までの道のりは長い」

サンダーは今後、F1側へ直接コンタクトを取り、現時点でどれほど本気の関心があるのか確認する意向も示している。

さらに彼は、サーキット建設には自治体だけでなく国家レベルの厳しい規制が存在すると警告した。

「完全新設なのか、既存アスファルトを利用するのかで、まったく別のプロジェクトになる」

「モータースポーツ施設には、自治体だけでなく国からの厳しい制限も存在する」

「市長がどれだけ前向きでも、どこにでも建てられるわけではない」

F1が求める“デスティネーション都市”とのズレ
現在のF1は、単なるレース開催地ではなく、“都市型エンターテインメント”としての価値を重視している。

ラスベガス、マイアミ、シンガポールのように、観光・ナイトライフ・高級ホスピタリティを組み合わせた「デスティネーション都市戦略」が近年のF1拡大路線の中心だ。

その視点で見ると、パドボーという立地には疑問符も残る。

サンダーも、「世界最高の場所とは言えないかもしれない」と認めている。

「願わくば、“良い話だけ”で終わらないことを祈っている」

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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟)