FIA 2年前にグラウンドエフェクトカー規則の修正を検討も「F1チームが反対」

FIA(国際自動車連盟)でシングルシーター部門を統括するニコラス・トンバジスは、この周期を振り返り、一定の前進はあったものの、すべての面で十分だったとは言えないとの見解を示した。
「多くの目標において、正しい方向に大きな一歩を踏み出したとは思っているが、すべてで完全な成功だったとは言えない。A評価は付けられない。BかCといったところだろう」とトンバジスはメディアに対して語った。
うまく機能した分野として、主に財政面での持続可能性を挙げている。トンバジスは、コストキャップの導入によってFIAの規制業務は複雑化したと認めつつも、F1全体としては以前よりも安定し、健全な状態になったと評価した。
「いまや財政規則なしのF1など想像もできない。それだけでも成功だったと言える」
一方、レース内容の改善という点では、評価はやや異なる。
「技術面では、確かにマシン同士がより接近してレースできる段階までは到達した。特に2022年と2023年はそうだった」
ただし、満点を与えられない理由も明確だという。
「抜け穴とまでは言わないが、規則の一部にやや許容範囲が広すぎる部分があった。その結果、アウトウォッシュを生み出すソリューションを採用できてしまった」
具体的な箇所について問われると、トンバジスは次のように説明した。
「主な部分は、まずフロントウイングのエンドプレートだ。本来はインウォッシュを強く意識した設計になるはずだった。しかし、プロファイルがどのように回り込み、エンドプレートと接合されるかに関する規定が十分に厳しくなかった。そのため、結果的に強いアウトウォッシュを生む形状が可能になってしまった」
「もう一つは、フロントホイール内側のドラム形状、つまりフロントホイール内部の構造物だ。さらに言えば、フロアエッジも同じカテゴリーに入る。これらが、規則の意図から見た性能劣化を招いた主な領域だった」
こうした要素が重なり、2022年初期に比べるとダーティエアが増加し、後続車が追走しにくくなったとFIAは見ている。規則周期の途中でルール変更を検討したかどうかについて問われると、トンバジスはその可能性が議論されたことを認めた。
「私が挙げたこれらの問題は、いま突然出てきたものではない。2年前にも同じ状況だった。なぜ規則を変更しなかったのかと言えば、試みはしたが、チームの十分な支持を得られなかったからだ」
「周期途中で規則を変更するにはガバナンス上の手続きが必要で、多くのチームの賛成が求められる。我々だけが何かをしたいと思っても、それだけでは進められない」
もっとも、トンバジスは来年以降については、ダーティエアの影響は再び軽減されると考えている。新レギュレーションでは、この点が改めて重要な焦点となっているからだという。
「アウトウォッシュについては、確実に改善されると考えている。ただ、この話は2年後にもう一度しよう。その時に、すべてうまくいっていて、皆が笑顔でいられることを願っている」
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