ロブ・スメドレー「フェラーリF1の95%は王座の獲り方を理解していない」

そうしたなか、元フェラーリのレースエンジニアであるロブ・スメドレーが、現在のフェラーリには「タイトルを勝ち取る方法を理解している人間がほとんどいない」と厳しい見解を示した。
「勝ち方を知る人間」が減ったフェラーリ
ロブ・スメドレーは2004年にフェラーリへ加入し、2006年から2013年まではフェリペ・マッサのレースエンジニアを務めた。
在籍期間中、フェラーリはコンストラクターズタイトル3回、ドライバーズタイトル2回を獲得している。
しかし2008年以降、フェラーリは長期的にタイトル争いを制することができず、メルセデス、レッドブル、そして現在はマクラーレンにも主導権を奪われる状況が続いている。
スメドレーは『ハイ・パフォーマンス・レーシング』ポッドキャストで、こう語った。
「ワールドタイトルから遠ざかれば遠ざかるほど、それを取り戻すのは難しくなる」
「だからこそ、2021年以降のレッドブルの復活や、これから起きるであろうメルセデスの復活が理解できる。彼らには“どうやって勝つか”という比較的新しい記憶が残っているからだ」
「フェラーリの中にも、我々が圧倒的に勝っていた時代を知る人間は5%か10%はいる。そういう人たちは勝ち方を理解している」
「でも、1勝や2勝しか経験していない人たちばかりになると難しくなる。これは終わりがなく、非常に厳しい世界なんだ」
フェラーリ内部に広がる“自己不信”
スメドレーが特に問題視したのは、フェラーリ内部に存在する“自己不信”だった。
「勝ち方を知っている集団が継続して存在しているかどうかは、本当に大きな違いになる」
「フェラーリのように長い間タイトルを獲れていないチームでは、自信が高くない。自己不信が多すぎるんだ」
「外向きには『我々は勝てる』『タイトルを獲れる』といくら話していても関係ない」
「組織の中に2%や3%でも疑念が存在すれば、それだけで勝てなくなる」
この発言は、単なる技術不足ではなく、“勝者の文化”そのものが薄れているという指摘でもある。
マイアミGPのアップグレード失敗が象徴
フェラーリはマイアミGPで11点に及ぶアップグレードを投入したが、結果的には大きな前進にはつながらなかった。
ルイス・ハミルトンは6位、シャルル・ルクレールはレース終盤のペナルティもあり8位に終わっている。
スメドレーによれば、フェラーリ内部では現在も「何が機能し、何が機能しなかったのか」を分析している段階だという。
「数人と話したが、メルセデスについて以前話したのと同じことだ。大規模パッケージを投入すれば、うまくいく部分もあれば、機能しない部分もある」
「問題は、マイアミ後の彼らが“全体として機能した”とは考えていても、期待したレベルには届かなかったことだ。前進できていない」
「風洞では前進するはずだった。だから今は総合的なゲインを検証している段階なんだ」
「実際の向上幅は期待値に遠く及ばなかった。つまり、“逆にマシンを遅くしているパーツを付けてしまったのではないか?”という疑問が出てくる」
2026年F1タイトル争いで問われる“組織力”
2026年のフェラーリF1は、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンという強力なドライバーラインアップを擁している。
しかしスメドレーの指摘は、現在のF1ではドライバーだけではタイトルを獲れないことを示している。
レッドブルやメルセデスが長期政権を築けた背景には、技術だけでなく「勝利を当たり前にする組織文化」が存在していた。
フェラーリは2026年もタイトル争いに踏みとどまっているが、本当に必要なのは新パーツではなく、“勝ち方を知る組織”を再構築することなのかもしれない。
カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ
