フェラーリF1 ルイス・ハミルトンに2026年以降の契約延長提示せずとの報道
フェラーリF1が2026年末で現行契約が満了するルイス・ハミルトンに対して、新たな契約延長を提示しない方針を固めたと海外メディアが報じた。複数のチーム関係者がこの情報を認めたと伝えられており、2025年シーズンを通じて苦戦が続くハミルトンの去就が注目を集めている。

ハミルトンは今季、メルセデスからフェラーリに移籍後20戦を終えても表彰台を逃しており、チームメイトのシャルル・ルクレールに対して64ポイント差をつけられている。

唯一の勝利は中国GPのスプリントレースでのもので、決勝では車高超過によるスキッドブロック摩耗が原因で失格。SF-25の根本的な車高問題が露呈した。チームは以降、車高を高めて信頼性を確保したが、結果としてパフォーマンス低下を招いている。

一方でフェラーリは契約時にハミルトンとの契約年数を「マルチイヤー」としか公表しておらず、実際の内容は非公開とされてきた。しかし英『ESPN』や伊『ガゼッタ・デロ・スポルト』の報道によれば、ハミルトンの契約は2026年末までと見られ、さらにドライバー側のみが延長を選択できる“片側オプション”が含まれている可能性があるという。もしこの条項が事実であれば、フェラーリには契約延長を拒む権利がほとんどなく、2027年まで残留できる決定権はハミルトン自身にあることになる。

ただし、今のような成績が続く限り、本人がこのオプションを行使するとは考えにくい。ハミルトンは9月の『レキップ』のインタビューで「今すぐに止めるつもりはない」と語りつつも、「チームを成功に導くために、できる限りのことをしたい」と述べており、結果次第で去就の判断を下す構えを見せている。

ハミルトンはシーズン序盤から技術部門と経営陣に複数の提案書を提出しており、チーム間の連携や作業プロセス、週末運営方法の改善を訴えてきた。第3戦終了後に最初のレポートを提出し、夏休み前にはさらに2件、シンガポールGP後にも1件を追加。予選時に2台をピット出口に並べるフェラーリの出走手順を問題視し、タイヤ温度低下がアタックラップのパフォーマンスを損ねていると主張したという。

苦境に立つハミルトンとフェラーリの現実
フェラーリの内部事情を知る関係者によれば、チームは2026年のレギュレーション変更に向けた長期的な再構築を進めており、「ハミルトンは短期プロジェクトの一環」と捉えられているという。ルクレールが安定したパフォーマンスで表彰台を重ねる一方で、ハミルトンのリズムは上がらず、結果的にチームの戦略的方向性が二分している。

また、オリバー・ベアマンら若手の成長もフェラーリの次期ラインアップに影響を与えている。チームは2026年以降、次世代ドライバーを軸に新時代のマシン開発を進める構想を持っており、ハミルトンの存在がそのロードマップと一致しなくなっているのが実情だ。

ルイス・ハミルトン スクーデリア・フェラーリ

契約延長なしは“期待と現実のズレ”の象徴
今回の報道は、フェラーリとハミルトンの関係が「理想と現実のギャップ」に直面していることを浮き彫りにしている。両者にとって2025年は“挑戦の年”だったが、ハミルトンの技術的フィードバックはチーム文化にすぐには浸透せず、結果としてルクレール主導の開発ペースが続いている。
フェラーリが契約延長を見送る方針を示した背景には、「今後の開発資源を2026年仕様車に集中させたい」という判断があると見られる。

一方で、ハミルトン側には依然として自らのキャリアを決定づけるカードが残されている。ドライバー側の延長オプションが存在するなら、2026年シーズンの結果次第で去就を自らの手で決められる。彼が「アロンソやベッテルのようにはならない」と語った通り、フェラーリでタイトルを狙う夢を完全に捨てたわけではない。

したがって、この“契約延長なし”報道は、決別ではなく試練のサインとも言える。ハミルトンに残された道はひとつ――2026年のマシンで勝利し、再び“跳ね馬”の象徴となることだ。

Source: planetf1.com

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カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ / ルイス・ハミルトン