F1チーム企業価値が爆騰 フェラーリは約1兆円で世界屈指のスポーツ資産へ

ほとんどのスポーツが毎年1度の選手権イベントで成し遂げることを、F1 は24回繰り返す――毎レース週末が巨大な観客と世界的な放送視聴者を引きつけ、スポーツを世界的なトップクラスのエンターテインメント資産へと変貌させている。
この変化は偶然ではない。2017年にリバティ・メディアが支配権を握って以来、F1 はその魅力を巧みに広げつつ、その排他的な雰囲気を維持し、投資家が求めるまさに理想的な金融環境――世界的なリーチ、限られたチーム数、そして予測可能な利益を生み出すコスト上限を作り出した。
F1チームの平均企業価値は34億2000万ドル(約5310億円) 前年比48%増という異常成長
2025年のF1参戦10チームの平均企業価値は 34億2000万ドル(約5310億円)。前年比 48%増、2023年比では 2倍以上 の上昇となったとSporticoは試算している。
これらの数字は、F1チームを米国のMLB球団よりも上位に押し上げ、世界で最も価値のあるスポーツ資産の中でNBAとNFLに次ぐ位置にまで近づけている。そして、このゴールドラッシュには減速の兆しがまったく見られない。
「10チームは2024年に合計12億7000万ドル(約1968億円)の賞金支払いを分け合い、前年の12億2000万ドル(約1891億円)から増加した」と Sportico は報じた。
「この分配は、コンストラクターズ選手権における前年の順位と、F1の当年の収益の双方を考慮して行われる」
「過去10年でタイトルを獲得したチーム、あるいはトップ3でフィニッシュしたチームは、追加の支払いを受ける資格がある」
「『フェラーリは、スポーツにおける歴史的な立場により、数千万ドルにのぼる追加ボーナスを得る』」

フェラーリは依然としてF1の王冠の宝石
フェラーリは依然としてF1で最も価値のあるチームであり、その評価額は64億ドル。これにメルセデス(58億8000万ドル)が続き、急速に浮上するマクラーレンは評価額47億3000万ドルと、2年で203%もの急騰を見せており、グリッドで最も大きな伸びを記録している。
レッドブル(43億2000万ドル)はマクラーレンの後塵を拝している。成長率は79%と依然として大きいが、フロントランナーのライバルには相対的に追いついていない。
アストンマーティンは30億ドルでトップ5を締め、アルクトスやHPSといったパートナーを通じたローレンス・ストロールの積極的な投資呼び込みに支えられている。
■ フェラーリ:64億ドル(約9920億円)
■ メルセデス:58億8000万ドル(約9110億円)
■ マクラーレン:47億3000万ドル(約7331億円)
■ レッドブル:43億2000万ドル(約6700億円)
■ アストンマーティン:30億ドル(約4650億円)
密集するミッドフィールドでは、2020年にドリルトン・キャピタルが約2億ドルで買収したウィリアムズが現在はその10倍の21億4000万ドルとなり、アルピーヌ(20億8000万ドル)、レーシングブルズ(20億5000万ドル)も20億ドルの大台を突破している。後者は今年初め、この水準のオファーを断ったとも報じられており(Sportico)、需要の急騰を示している。
アウディへのリブランドを控えるザウバーは、カタールの政府系ファンドからの新たな支援を受け、18億8000万ドルに達している。一方、ハースは16億8000万ドルでグリッド最下位だが、この数字ですら1年前ならスポーツのエリートに匹敵していた。
■ ウィリアムズ:21億4000万ドル(約3317億円)
■ アルピーヌ:20億8000万ドル(約3224億円)
■ レーシングブルズ:20億5000万ドル(約3177億円)
■ ザウバー(アウディ):18億8000万ドル(約2914億円)
■ ハースF1チーム:16億8000万ドル(約2604億円)
投資家がF1に殺到する理由:希少性×安定収益×世界規模ブランド
スポーツにおける希少性は強力な経済エンジンであり、F1ではそれがまさにターボチャージャーとして機能している。存在するチームは10のみ――2026年にキャデラックが加わっても11――で、チーム売却の機会はほとんどない。それでも、ほぼすべてのチームに毎週投資オファーが届いている。
市場の自信を支えているのは、スポーツのバジェットキャップによる予測可能なコスト構造、8億2700万人におよぶ世界的ファンベース、そして2026年から始まるアップルの7億5000万ドル(約1兆1625億円)の放映契約といった巨額の放送取引だ。さらに若年層と女性層のファンが増加しており、スポンサーシップの潜在力は莫大だ。
F1 はもはや単なるモータースポーツではない――世界で最も魅力的な資産のひとつになりつつあり、投資家たちはかつてないスピードでパドックへと殺到している。
カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ
