フェラーリF1 小規模アップグレードで布石 バルセロナの“リセット”に賭ける

マイアミGPでは、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンの“スカーレット・マシン”は7位と8位でチェッカーを受け、首位を独走するマクラーレン勢からはほぼ1分遅れでのフィニッシュとなった。
開幕6戦を終え、スクーデリア・フェラーリはタイトル争いで王者チームから152ポイント差をつけられている。現在は状況を打破すべく戦略的な見直しを進めており、段階的な開発を経て、来月のスペインGPでの抜本的な変化に期待をかけている。
バスールはフェラーリの方針について、以下のように語った。
「バルセロナでは全チームが新しいフロントウイングを投入することになる。それは定義上、規則上そうなるんだ」
「この変更は、各チームのパフォーマンスをリセットする可能性がある。バルセロナまでにイモラとモナコの2戦があるが、そこでは小さなアップグレードを持ち込む予定だ」
これらの改良はSF-25のパフォーマンスを引き出すためのものだ。特にバルセロナでは、FIAによるフロントウイングのたわみ規制が強化されるため、マクラーレンの優位性が薄まる可能性があり、各チームにとって“横一線”の戦いになるとみられている。
スクーデリア・フェラーリにとっては、ギャップを縮め、本来の競争力を取り戻す好機となる。

「眠れるポテンシャルの解放」 バスールのクルマとドライバーへの信頼
フェラーリが苦戦する一方で、バスールはSF-25にはまだ引き出されていない可能性があると信じており、それを最大限に活かしきれていないことが問題だと見ている。
「正直に言って、今の我々の最大の課題は、マクラーレンと比較しても、ポテンシャルを引き出しきれていないことにある。他チームに対してもっと攻めの姿勢でいくべきだと思う」
「次の2戦でのチームの焦点は、すべてをまとめ上げ、クルマの性能を最大限に引き出すことだ」
特に重視しているのが、予選での“一発の速さ”の改善だ。現在のSF-25は予選パフォーマンスに難があり、ルクレールとハミルトンは決勝で後方から追い上げを強いられる展開が続いている。
「シャルルとルイスのことは完全に信頼している。シャルルはこの5年間を見てもわかる通り、ルイスはこの競技で最多勝を誇る記録保持者だ。2人とも予選で仕事ができるドライバーで、それが彼らの特長でもある」
「ただ、今のクルマではそれが実現できていない。我々は改善しなければならないし、この段階でより良い仕事をしなければならない」
イモラとモナコでの“小さなアップグレード”は、スペインでの“大規模な変革”に向けた布石だ。バスールは、改良されたマシンとレギュレーションの変化が、ルクレールとハミルトンの本来の力を解き放つことにつながると信じている。
スクーデリア・フェラーリにとっては、“潜在力”を“表彰台”へと変えるための、時間との戦いが始まっている。
カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ / F1エミリア・ロマーニャGP