F1の象徴的な「火花ショー」に終止符か?スキッドブロック素材見直しへ

約10年前、FIAはスキッドブロックの素材としてチタンを義務化。これにより、レース中に発生する火花の量が大幅に増え、当時のレースディレクターである故チャーリー・ホワイティング氏も「よりスペクタクルな演出になる」と期待を寄せていた。
しかし昨年の上海GPでは、その美しい火花が思わぬ事態を引き起こす。コース脇の乾いた草地に火が移り、小規模な火災が発生。さらに同イベント中に別のセッションでも火災が確認された。
そして今年の鈴鹿では、火花による火災が原因で、なんと5回もの赤旗中断が発生。これを受けて、FIAは問題が深刻であると認識した。
先週行われたF1コミッションの会合後、FIAは「代替素材の検討および一部サーキットでの安全対策について議論された」と発表。
ドイツのAuto Motor und Sportは、「チタン製の火花は見た目には美しいが、非常に長く高温を保つ特性があり、乾いた草に引火する危険性がある」と報じている。
現在、スキッドブロックの素材として有力視されているのは鋼鉄(スチール)。ただし、この変更により、夜間レースなどで観客を魅了してきた“火花ショー”の迫力が損なわれる可能性があると、ジャーナリストのトビアス・グルナー氏は指摘している。
F1における安全性の向上と視覚的魅力のバランス。その舵取りが、今後の焦点となりそうだ。
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