F1、“新しい生活様式”での運用でエンジン交換にかかる時間は倍増?
2020年のF1世界選手権でF1チームのメカニックたちは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにソーシャルディスタンスを守るといった“新しい生活様式”で仕事をしていく必要がある。

今シーズン、新型コロナウイルスへの対応としてサーキット入りできるF1チームのスタッフは通常よりもかなり少ない最大80名に制限される。また、その結果としてこれまでとは異なる方法で仕事をする必要がある。

そして、レース週末にF1マシンにダメージを負うと、あらゆる面で代償を支払う可能性がある。10週間で3連戦が2回開催される序盤8戦はスペアパーツ不足という潜在的な問題がすでに懸念されているが、F1チームスタッフの人数が少なく、さらにソーシャルディスタンスを保る必要があるため、修理には時間がかかる。

レーシング・ポイントF1のテクニカルディレクターを務めるアンディ・グリーンは、ソーシャルディスタンスと安全プロトコルは今年のガレージの仕事に影響を与え、多くのタスクに関連するリードタイムが大幅に増加すると語る。

レーシング・ポイントF1は、6月17日(水)にシルバーストンでフィルミングデーを利用して2020年F1マシン『RP20』での走行を実施。目的はドライバーとスタッフのウォームアップとシーズン再開後に実施される新型コロナウイルス対策の手順を練習することだった。

ソーシャルディスタンスから手袋やマスク、フェイスガードといった個人用保護具(PPE)を着用しての作業に至るまで、レーシング・ポイントF1は、ガレージ内の様々なタスクに適用されるプロトコルを試し、多くの知識を得た。

「非常に異なっており、今後は本当の挑戦になるだろう」とアンディ・グリーンは語った。

「基本的には、エンジニアが車で作業しているときのエンジニア同士の距離と、身に着けなければならない個人用保護具の種類を尊重することだ。それは事実上マシンで仕事をする際にかかる時間を変えることになる」

「通常3時間かかる作業が今では6時間くらいかかってしまう。車内での作業が深ければ深いほど、修理にかかる時間は伸びてしまう。効率的に仕事をするためにはもっと要領の良くやっていかなければならないが、ソーシャルディスタンスのルールを尊重する必要がある」

「特定の仕事は今ではかなり時間がかかるし、それを管理する必要がある。レース環境にいるとき、我々はトラックサイドでマシンで作業するための特定の時間しかなく、適所にカーフュー(門限)がある」

「そこで、通常、我々が行うマシンのパーツを変更および修正するのにかかる時間を調べ、それらを再スケジュールして、レース週末に必要なことを実行していること、カーヒュー規則に違反していないことを確認する必要がある。それが我々が昨日学ぼうとしていたことの大きな部分だ」

リードタイムが大幅に増加した現在、予期しない問題(パワーユニットの変更など)がメカニックに挑戦をもたらし、ドライバーのセッションを危険にさらす可能性がある。修理時間が2倍になると、特にフリー走行3回目にマシンのクラッシュやエンジントラブルが発生した場合には予選に出走できなくなる可能性がある。通常、フリー走行3回目から予選までは2時間の作業時間となるが、新しいガイドラインで作業をすれば時間切れになる可能性がある。

「急いでそれをする必要がないことを願っている。それは確かだ!」とアンディ・グリーンは語った。

「現在、エンジンを変更すれば、以前の2倍の時間がかかると思う。一度にマシンに取り組むクルーは特定の数だけのため、実際、パワーユニットの交換を行うスピードは制限されている。パワーユニット交換が必要な時期によっては非常に困難になる」

「今、やりたくないことは、週末にそれをやり過ぎてしまうことだ。それは、私たちがそれから得た明確なメッセージだ」

「我々は週末の重要な部分に焦点を合わせ、それを正しく実行し、それを効率的に実行し、それから他のすべての領域を確認するように本当に注意深くいる必要がある」

「通常であれば変更したくないものを変更する必要がないようにしっかりと構築されていることを確認しなければならない」

「したがって、信頼性は物事をスムーズに実行し続ける上で重要な要素となる。大きな信頼性の問題が発生した場合、それはパーツを時間内に修理または変更しなければならないという負担をチームにかけ始めることになる」

しかし、アンディ・グリーンはは、不測の事故は多大な努力を要する作業の困難を増すだけなので、ドライバーがトラブルにできるだけ近づかないように注意することの重要性も強調した。

「2人のドライバーがいるので、プラクティス中にコースオフしてマシンに大きなダメージを与えれば、修理に時間がかかる可能性があることを認識しておく必要がある。彼らはそれをよく知っていると思う」

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カテゴリー: F1 / F1マシン