2019年 F1プレシーズンテスト:総合タイム&周回数・走行距離
2019年のF1世界選手権にむけた8日間にわたるプレシーズンテストが終了した。
テストの舞台となったのはF1スペインGPの舞台となるカタロニア・サーキット。前半4日間は降雪を含めた悪天候に見舞われた昨年とは異なり、今年は前半・後半とも好天に恵まれ、全体の走行距離は8774周(40842.970km)と昨年の8018周(37323.790km)を大きく上回った。
2019年のF1世界選手権では、後続マシンの乱気流を抑えてオーバーテイクを改善することを目的にフロントウイング、リアウイング、バージボード、ブレーキダクトの重要な空力エリアに変更が加えられ、ダウンフォースが失われることで大幅なスピード低下が予想されていた。しかし、実際には昨年までの最速タイムを上回ることになり、さらにはF1スペインGPの予選で記録されたコースレコードにも迫ることになった。
好調だったのはフェラーリ。初日から新車SF90は“オンザレール”と評される優れたパフォーマンスを発揮し、最終日にはセバスチャン・ベッテルがこれまでのプレシーズンテスト記録を更新する1分16秒221をマーク。昨年のスペインGPの予選でルイス・ハミルトンが記録したコースレコードの1分16秒173に0.048秒まで迫った。しかし、最終日にはホイールリムの故障によってセバスチャン・ベッテルがクラッシュ、3日目には冷却系のトラブルが見つかるなど、チームとしての周回数としては2番手となる997周でテストを終えた。
フェラーリとは対照的に最初の7日間はロングランに焦点を当てたプログラムを消化していた不気味がられていたメルセデスだが、最終日にそのパフォーマンスを解放。ルイス・ハミルトンがセバスチャン・ベッテルから0.003秒差となる1分16秒221をマーク。第2週のテストでは新車W10に早くも大幅な空力アップデートを投入。第2週の初日には油圧系のトラブルに見舞われたものの、ルイス・ハミルトンが638周、バルテリ・ボッタスが552周と走行距離では1-2を達成。チームとしても走行距離では1位となる1190周を走り込んでおり、堅実な信頼性を築いたことでシーズンにわたって安定した進歩が予想される。
ルノーもまずまずのポテンシャルを示した。ニコ・ヒュルケンベルグがフェラーリとメルセデスに次ぐ1分16秒843を記録。昨年はシャシーとパワーユニットの両方で期待通りのパフォーマンスを示せなかったルノーだが、今季は両方を新設計。信頼性でも3位となる961周を走り込んで、改善を示した。
トロロッソ・ホンダは、今回のテストのサプライズかもしれない。ルーキーのアレクサンダー・アルボンがニコ・ヒュルケンベルグから0.039秒差、ダニール・クビアトが0.055秒差というパフォーマンスを示し、“ベスト・オブ・ザ・レスト”争いを予感させるポテンシャルを示した。走行距離でも3位のルノーと26周差の4位につけており、STR14はパフォーマンスと信頼性の両方で堅実なテストとなった。
マクラーレンも近年のなかでは最も有望な冬季テストを過ごした。カルロス・サインツがダニール・クビアトから0.015秒差となる1分16秒913を記録。テストでのラップタイムは参考にならないかもしれないいが、1分16秒台に入れることができたのはマクラーレンまで。決してポテンシャルが低くはないことを示した。
最も残念だったのがレッドブル・ホンダ。パフォーマンスではフェラーリ、メルセデスに次ぐ3番手に位置していると予想されつつも、3日目にピエール・ガスリーが不用意なミスで大クラッシュ。最終日に旧仕様パーツを混ぜてマシンを組み立てたがギアボックストラブルが発生。マックス・フェルスタッペンがアタックラップを走ることができず、ポテンシャルがわからないまま開幕戦を迎えることになった。周回数も全チームで8位。その後ろにはレーシングポイントとウィリアムズしかいない。
その影響もあり、ホンダはエンジンメーカーの中で最も少ない周回数となる1768周でテストを終えた。しかし、ホンダのF1エンジンのトラブルではなく、トロロッソが示したように逆に信頼性とパフォーマンスは大きなステップを果たしている。
次に全てのマシンが揃って走るのは、2週間後に迫ったオーストラリア・メルボルンでの開幕戦になる。
カテゴリー: F1 / F1マシン
テストの舞台となったのはF1スペインGPの舞台となるカタロニア・サーキット。前半4日間は降雪を含めた悪天候に見舞われた昨年とは異なり、今年は前半・後半とも好天に恵まれ、全体の走行距離は8774周(40842.970km)と昨年の8018周(37323.790km)を大きく上回った。
2019年のF1世界選手権では、後続マシンの乱気流を抑えてオーバーテイクを改善することを目的にフロントウイング、リアウイング、バージボード、ブレーキダクトの重要な空力エリアに変更が加えられ、ダウンフォースが失われることで大幅なスピード低下が予想されていた。しかし、実際には昨年までの最速タイムを上回ることになり、さらにはF1スペインGPの予選で記録されたコースレコードにも迫ることになった。
好調だったのはフェラーリ。初日から新車SF90は“オンザレール”と評される優れたパフォーマンスを発揮し、最終日にはセバスチャン・ベッテルがこれまでのプレシーズンテスト記録を更新する1分16秒221をマーク。昨年のスペインGPの予選でルイス・ハミルトンが記録したコースレコードの1分16秒173に0.048秒まで迫った。しかし、最終日にはホイールリムの故障によってセバスチャン・ベッテルがクラッシュ、3日目には冷却系のトラブルが見つかるなど、チームとしての周回数としては2番手となる997周でテストを終えた。
フェラーリとは対照的に最初の7日間はロングランに焦点を当てたプログラムを消化していた不気味がられていたメルセデスだが、最終日にそのパフォーマンスを解放。ルイス・ハミルトンがセバスチャン・ベッテルから0.003秒差となる1分16秒221をマーク。第2週のテストでは新車W10に早くも大幅な空力アップデートを投入。第2週の初日には油圧系のトラブルに見舞われたものの、ルイス・ハミルトンが638周、バルテリ・ボッタスが552周と走行距離では1-2を達成。チームとしても走行距離では1位となる1190周を走り込んでおり、堅実な信頼性を築いたことでシーズンにわたって安定した進歩が予想される。
ルノーもまずまずのポテンシャルを示した。ニコ・ヒュルケンベルグがフェラーリとメルセデスに次ぐ1分16秒843を記録。昨年はシャシーとパワーユニットの両方で期待通りのパフォーマンスを示せなかったルノーだが、今季は両方を新設計。信頼性でも3位となる961周を走り込んで、改善を示した。
トロロッソ・ホンダは、今回のテストのサプライズかもしれない。ルーキーのアレクサンダー・アルボンがニコ・ヒュルケンベルグから0.039秒差、ダニール・クビアトが0.055秒差というパフォーマンスを示し、“ベスト・オブ・ザ・レスト”争いを予感させるポテンシャルを示した。走行距離でも3位のルノーと26周差の4位につけており、STR14はパフォーマンスと信頼性の両方で堅実なテストとなった。
マクラーレンも近年のなかでは最も有望な冬季テストを過ごした。カルロス・サインツがダニール・クビアトから0.015秒差となる1分16秒913を記録。テストでのラップタイムは参考にならないかもしれないいが、1分16秒台に入れることができたのはマクラーレンまで。決してポテンシャルが低くはないことを示した。
最も残念だったのがレッドブル・ホンダ。パフォーマンスではフェラーリ、メルセデスに次ぐ3番手に位置していると予想されつつも、3日目にピエール・ガスリーが不用意なミスで大クラッシュ。最終日に旧仕様パーツを混ぜてマシンを組み立てたがギアボックストラブルが発生。マックス・フェルスタッペンがアタックラップを走ることができず、ポテンシャルがわからないまま開幕戦を迎えることになった。周回数も全チームで8位。その後ろにはレーシングポイントとウィリアムズしかいない。
その影響もあり、ホンダはエンジンメーカーの中で最も少ない周回数となる1768周でテストを終えた。しかし、ホンダのF1エンジンのトラブルではなく、トロロッソが示したように逆に信頼性とパフォーマンスは大きなステップを果たしている。
次に全てのマシンが揃って走るのは、2週間後に迫ったオーストラリア・メルボルンでの開幕戦になる。
2019年 F1プレシーズンテスト 総合タイム
順位 | ドライバー | チーム | Day | ベストタイム | タイヤ |
---|---|---|---|---|---|
1 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 4 | 1分16秒221 | C5 |
2 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 4 | 1分16秒224 | C5 |
3 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 3 | 1分16秒231 | C5 |
4 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 4 | 1分16秒561 | C5 |
5 | ニコ・ヒュルケンベルグ | ルノー | 4 | 1分16秒843 | C5 |
6 | アレクサンダー・アルボン | トロロッソ | 3 | 1分16秒882 | C5 |
7 | ダニール・クビアト | トロロッソ | 4 | 1分16秒898 | C5 |
8 | カルロス・サインツ | マクラーレン | 4 | 1分16秒913 | C5 |
9 | ロマン・グロージャン | ハース | 4 | 1分17秒076 | C5 |
10 | ランド・ノリス | マクラーレン | 3 | 1分17秒084 | C5 |
11 | ピエール・ガスリー | レッドブル | 3 | 1分17秒091 | C5 |
12 | ダニエル・リカルド | ルノー | 4 | 1分17秒114 | C5 |
13 | キミ・ライコネン | アルファロメオ | 4 | 1分17秒239 | C5 |
14 | ランス・ストロール | レーシングポイント | 3 | 1分17秒556 | C5 |
15 | ケビン・マグヌッセン | ハース | 4 | 1分17秒565 | C5 |
16 | アントニオ・ジョビナッツィ | アルファロメオ | 3 | 1分17秒639 | C5 |
17 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | 4 | 1分17秒709 | C3 |
18 | セルジオ・ペレス | レーシングポイント | 4 | 1分17秒791 | C5 |
19 | ジョジ・ラッセル | ウィリアムズ | 3 | 1分18秒130 | C5 |
20 | ロバート・クビサ | ウィリアムズ | 4 | 1分18秒993 | C5 |
順位 | ドライバー | チーム | 周回数 | 距離 |
---|---|---|---|---|
1 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 638 | 2969.890km |
2 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 552 | 2569.560km |
3 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 534 | 2485.770km |
4 | ニコ・ヒュルケンベルグ | ルノー | 509 | 2369.395km |
5 | キミ・ライコネン | アルファロメオ | 497 | 2313.535km |
6 | アレクサンダー・アルボン | トロロッソ | 489 | 2276.295km |
7 | カルロス・サインツ | マクラーレン | 473 | 2201.815km |
8 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 463 | 2155.265km |
9 | ダニエル・リカルド | ルノー | 452 | 2104.060km |
10 | ダニール・クビアト | トロロロッソ | 446 | 2076.130km |
11 | ピエール・ガスリー | レッドブル | 439 | 2043.545km |
12 | アントニオ・ジョビナッツィ | アルファロメオ | 425 | 1978.375km |
13 | ロマン・グロージャン | ハース | 407 | 1894.585km |
14 | ケビン・マグヌッセン | ハース | 403 | 1875.965km |
15 | ランド・ノリス | マクラーレン | 400 | 1862.000km |
16 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | 394 | 1834.070km |
17 | ランド・ノリス | レーシングポイント | 336 | 1564.080km |
18 | ジョージ・ラッセル | ウィリアムズ | 299 | 1391.845km |
19 | セルジオ・ペレス | レーシングポイント | 289 | 1345.295km |
20 | ロバート・クビサ | ウィリアムズ | 268 | 1247.540km |
21 | ピエトロ・フィッティパルディ | ハース | 61 | 283.955km |
マシン別 周回数&走行距離
順位 | チーム | マシン | 周回数 | 走行距離 |
---|---|---|---|---|
1 | メルセデス | W10 | 1190 | 5539.450km |
2 | フェラーリ | SF90 | 997 | 4641.035km |
3 | ルノー | R.S.19 | 961 | 4473.455km |
4 | トロロッソ | STR14 | 935 | 4352.425km |
5 | アルファロメオ | C38 | 922 | 4291.910km |
6 | マクラーレン | MCL34 | 873 | 4063.815km |
7 | ハース | VF-19 | 871 | 4054.505km |
8 | レッドブル | RB15 | 833 | 3877.615km |
9 | レーシングポイント | RP19 | 625 | 2909.375km |
10 | ウィリアムズ | FW42 | 567 | 2639.385km |
エンジン別 周回数&走行距離
順位 | メーカー | エンジン | 周回数 | 走行距離 |
---|---|---|---|---|
1 | フェラーリ | 064 | 2790 | 12987.450km |
2 | メルセデス | M10 EQ Power+ | 2383 | 11092.865km |
3 | ルノー | E-Tech 19 | 1834 | 8537.270km |
4 | ホンダ | RA619H | 1768 | 8230.040km |
カテゴリー: F1 / F1マシン