エステバン・オコン、F1テストで広まった“松葉杖負傷説”を一蹴「侮辱だ」

バルセロナで行われた非公開テストは、メディア取材が限定されたクローズド形式で実施された。
そのため、断片的な情報や写真が独り歩きしやすい状況にあり、マシンの挙動や技術的解釈だけでなく、ドライバー個人を巡る噂も生まれやすかった。
そのひとつが、オコンがサーキット・デ・バルセロナ=カタルーニャのスタンドにいる姿を捉えた写真だった。ターン10付近のスタンドで、父親とともに走行を見守っていたオコンの手元に松葉杖が写り込んだことで、SNS上では「負傷を抱えたままテストに参加しているのではないか」という憶測が一気に広がった。
記者会見でこの件について問われたオコンは、まずその噂自体をユーモア交じりに振り返った。
「みんなが、僕が松葉杖で運転していたなんて言っていた。最高だよ。あの写真を見たか分からないけどね。実際には父がひざの手術を受けていて、僕たちはブレーキングポイントやマシンの挙動、ターン10でフロントウイングのフラップがどう閉じているかを一緒に見ていただけなんだ」
しかし、噂はそれだけにとどまらず、次第に話が膨らんでいったという。
「いつの間にか、僕がひざの手術を受けたけど問題なくて、チームのメディカルからOKをもらって走っている、なんて話になっていた。どうやって松葉杖をついてF1カーを運転できるっていうんだい?」
オコンは、負傷した状態でF1マシンをドライブすること自体が現実的ではないと強調し、その点で噂に強い違和感を覚えたと語っている。
「正直、あれはちょっとした侮辱だと思った。ケガをしていたらF1カーなんて絶対に運転できない。それは明らかだ」

一方で、スタンドからマシンを観察した経験そのものについては、非常に有意義だったとも振り返った。
「外から見るのはとても興味深かった。ラインの違いや、ターン10の立ち上がりで各ドライバーがエンジンをどう使っているかがよく分かった」
さらに、バルセロナの重要なセクターについても言及している。
「10コーナーから12コーナーにかけては、とても繊細で重要な区間だ。メーカーごとに違う戦略が見られたし、ウエットコンディションでもそれがはっきりしていた。テストというのは、まさにそういう点を見るためのものだ」
オコンにとって、こうした外部視点での観察は限られた機会でもある。
「テストはそのためにあるし、僕が外からマシンの走りを見ることができるのは、基本的にこのタイミングだけだからね」
結果的に、松葉杖を巡る負傷説は完全な誤解だったことが明らかになった。オコン自身は問題なく2026年F1シーズンに向けた準備を進めており、今回の一件は非公開テストという特殊な環境が生んだ、象徴的な“噂話”として収束している。
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