2026年F1ドライバーラインナップ決定 新レギュレーション元年の最新布陣
2026年のF1グリッドがついに出揃い、レギュレーション大変革を迎える来季の各チームの布陣が決定した。

レッドブル・レーシングおよびレーシングブルズのラインナップ決定をもって、11チーム全22名の体制が正式に確定。各チームがどのような判断を下したのか、またどのような戦略意図があるのか、大きな注目が集まっている。

今季の不振から抜け出したいチーム、安定を選んだチーム、大胆な若手起用に踏み切ったチームなど、その判断は実に対照的だ。マクラーレンやフェラーリのように継続路線を選ぶチームがある一方で、レッドブルやレーシングブルズは大幅な入れ替えを敢行。新時代の波にどう備えるのか―2026年の戦いの行方を左右する重要な布陣を詳しく見ていく。

■ マクラーレン:ランド・ノリスとオスカー・ピアストリ
マクラーレン F1
マクラーレンはノリスとピアストリという不変のドライバー体制を継続し、4年連続で同じペアを採用する。両者は2025年、2年連続となるコンストラクターズタイトルをマクラーレンにもたらし、アブダビで迎える最終戦までドライバーズタイトル争いに残り続けている。

ノリスは2026年、F1グリッド参戦以来マクラーレン一筋で7年目のシーズンを迎える。2025年にはチーム在籍150戦のデイビッド・クルサードの記録を抜き、マクラーレンで最も多くレースを戦ったドライバーとなった。

一方ピアストリは、2025年シーズンを通してノリスと互角に競い合い、2026年も同様の戦いが予想される。チームは明確なナンバー1・ナンバー2制度を設けず、両者を自由に戦わせる方針だ。オーストラリア出身の彼は、2025年のシーズンで身体的にも精神的にも試される経験を積み、新シーズンに向けて多くの学びを持って臨む。

チーム代表:アンドレア・ステラ
ステラは2022年末からマクラーレンを率いる。それ以前は2015年に加入し、2017年には最下位争いをしていたチームを復活させ、王者へと引き上げた立役者だ。

ステラは20年以上F1パドックで活動しており、フェラーリ時代にはミハエル・シューマッハ、キミ・ライコネン、フェルナンド・アロンソらとも共に仕事をしている。

マクラーレンは2026年、ステラの指揮のもとで3年連続のコンストラクターズタイトルを狙う。

■ メルセデス:ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリ
メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ
メルセデスは2026年のラインナップ発表をシーズン後半まで引っ張り、マックス・フェルスタッペンとの会話があったとも報じられていた。しかし最終的には、チームに長年所属するラッセルと若き才能アントネッリを継続起用する決断を下した。

ラッセルは2025年に2勝を挙げ、ドライバーズ選手権4位でシーズンを終えている。アントネッリはデビューイヤーながら、マイアミのスプリントでポールポジション、カナダ・ブラジル・ラスベガスで表彰台を獲得するなど大活躍だった。

シルバーアローは、2021年以来手にしていないコンストラクターズタイトルを、新レギュレーション導入を機に取り戻すことを目指す。

チーム代表:トト・ヴォルフ
ヴォルフは2013年からメルセデスを率いており、2014〜2021年にかけて8連覇という支配的時代を築いた。しかし2022年のレギュレーション変更以降は不振が続き、ここ4シーズンでわずか7勝しか挙げていない。

2026年に向け、ヴォルフは巻き返しを狙う。

■ レッドブル:マックス・フェルスタッペンとアイザック・ハジャー
レッドブル・レーシング
レッドブルは2026年に向けラインナップを変更した。フェルスタッペンは残留し、相棒にはレーシングブルズから昇格したアイザック・ハジャーを迎える。ハジャーはデビューイヤーで好印象を残し、ハイライトはザントフォールトでの表彰台だ。

フェルスタッペンはチーム加入11年目を迎える。彼は2016年に当時のトロロッソから昇格して以来、レッドブル一筋だ。ハジャーはフェルスタッペンの7人目のチームメイトとなり、前任の角田裕毅はリザーブドライバーに回る。

フェルスタッペンとハジャーが協力し、さらなる成功をチームにもたらせるかは未知数だが、レッドブルとしては2025年に苦戦した角田裕毅とリアム・ローソン以上の結果を期待している。

チーム代表:ローラン・メキース
メキースは2025年シーズン途中にレーシングブルズから昇格し、クリスチャン・ホーナーの後任としてレッドブルを率いるようになった。元フェラーリのスポーティングディレクターである彼は、2025年後半のフェルスタッペン連勝劇を支えた人物でもある。

またメキースはレーシングブルズ時代にハジャーと共に働いており、彼の能力を熟知している。だが2026年は、ドライバー変更とホンダからレッドブル・フォードへのパワーユニット移行という難題に挑むことになる。

■ フェラーリ:シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトン
スクーデリア・フェラーリ
フェラーリのスターコンビは2026年も継続し、ルクレールとハミルトンが再びスカーレットのスーツを身にまとう。チームは新レギュレーションで運勢好転を期待しているが、2025年はまだ1勝も記録していない。

ハミルトンにとってフェラーリでの初年度は厳しいものとなっており、グランプリでの表彰台すらない。ルクレールも2024年にモナコとモンツァで勝利したが、2025年は7年目にしてフラストレーションの多いシーズンとなった。

チームはルクレールとハミルトンという極めて高い実力を持つ2人の才能を、2026年マシンでしっかり開花させたいところだ。

チーム代表:フレデリック・バスール
バスールは2023年にザウバー/アルファロメオからフェラーリへ移籍した人物で、2025年以降の長期契約でハミルトンをチームへ連れてきたキーパーソンだ。

豊富な経験を持つバスールだが、2025年の無勝利シーズンを受け、2026年に向けて難しい再建の任務に臨む。

■ ウィリアムズ:アレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツJr.
ウィリアムズ・レーシング
ウィリアムズもラインナップ維持組だ。アルボンとサインツは2025年、チームをコンストラクターズ選手権5位へ導いた。サインツは初年度で2度の表彰台、アルボンも前半戦で安定した成績を残した。

2人はレッドブル、フェラーリなどトップチーム経験を持ち、2017年以来となる好成績をウィリアムズにもたらした。

チーム代表:ジェームス・ボウルズ
ボウルズは2023年にメルセデスから加入し、2026年は4年目のシーズンとなる。現在のレギュレーション初期に加入したため、2026年が初めて完全にボウルズ主導で設計されたマシンとなる。

ウィリアムズは来季も同じドライバー体制で臨む。

■ レーシングブルズ:リアム・ローソンとアービッド・リンドブラッド
レーシングブルズ/ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム
レーシングブルズは2026年、ラインナップ変更が必須となった。ローソンは残留するが、レッドブルへ移籍したハジャーの後任として、ルーキーのリンドブラッドが加入する。

ローソンは3年目のシーズンだが、フル参戦2年目で、レーシングブルズと共にシーズン開幕を迎えるのは初めてとなる。彼は18歳のリンドブラッドの“先輩”としてシーズンを迎えることになる。リンドブラッドはF2からステップアップし、レッドブルで複数のFP1走行やプライベートテストを経験済みだ。

シーズンが始まる時点で彼はまだ18歳だ。

チーム代表:アラン・パーメイン
パーメインは2025年シーズン途中、メキースがレッドブルへ昇格した際に後任として起用された。彼は2024年にレーシングディレクターとして加入し、以前はアルピーヌで働いていた。

パーメインは2025年、両ドライバーを安定したポイント獲得に導き、チームのコンストラクターズ6位争いを支えた。しかし2026年は非常に若いルーキーを抱える難しい任務が待つ。

■ アストンマーティン:フェルナンド・アロンソとランス・ストロール
アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム
アロンソとストロールは2026年もアストンマーティンのラインナップを維持する。アロンソにとっては23年目のF1シーズンで、多くの記録をさらに更新することになる。アストンマーティンのマシンは2026年、エイドリアン・ニューウェイが一部設計に関わることで注目されている。

アストンマーティンは2025年に苦戦し、表彰台ゼロでシーズンを戦った。ただし非常に早い段階で開発停止を決断しており、2026年マシンへの期待は大きい。

ストロールは2026年、F1で10年目、アストンマーティン(旧レーシングポイント)で8年目を迎える。

チーム代表:エイドリアン・ニューウェイ
ニューウェイは2026年、アンディ・コーウェルの後任としてアストンマーティンのチーム代表に就任する。ニューウェイがチーム代表として本格的に手綱を握るのはこれが初めてだ。コーウェルはチーフ・ストラテジー・オフィサーとしてチームに残る。

新レギュレーション初年度をニューウェイが率いることになり、巨額の投資を行ってきたチームとしては大きな期待とプレッシャーがかかる。

■ ハースF1チーム:エステバン・オコンとオリバー・ベアマン
ハースF1チーム
ハースも2026年に向け、2年連続で同じラインナップを採用した。ベアマンはデビューイヤーから好成績を残し、後半戦ではポイント常連となった。オコンは経験豊富である一方、成長するベアマンとの戦いは簡単ではないだろう。

オコンは2026年、F1で10年目を迎え、これまでマノー、フォースインディア、ルノー/アルピーヌなどで走ってきた。

チーム代表:小松礼雄
小松礼雄は2024年初頭、ギュンター・シュタイナーの後任としてチーム代表に就任した。2023年最下位だったチームを立て直し、順位を押し上げることに成功した。

チーム創設者ジーン・ハースが背後から支え続ける中、新レギュレーション期に向け、小松礼雄の安定した手腕が期待される。

■ アウディ:ニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレト
アウディ F1
キック・ザウバーは2026年にアウディへ名称変更するが、ドライバーラインナップはヒュルケンベルグとボルトレトを継続する。2025年は経験豊富なヒュルケンベルグとルーキーのボルトレトの組み合わせが功を奏し、チームはいくつかの“有名な”結果を残した。

最も象徴的なのは、ヒュルケンベルグがついにF1初表彰台を獲得したことだ。ドイツ人ドライバーはシルバーストーンで3位を手にし、238回目の挑戦でついに表彰台に立った。

一方ボルトレトは何度かトップ10入りしたが、母国サンパウロGPではクラッシュでレースを終えたため、2026年はホームレースでの雪辱を期す。

チーム代表:ジョナサン・ウィートリー
ウィートリーは2025年途中、キック・ザウバーのチーム代表に就任した。彼は長年レッドブルのスポーティングディレクターを務め、その後ザウバーに加入した。

彼はマッティア・ビノット(COO)と協力しながら、ザウバーがアウディへ切り替わる移行期を率いている。

■ アルピーヌ:ピエール・ガスリーとフランコ・コラピント
アルピーヌF1チーム
アルピーヌは2025年途中にラインナップを変更し、ジャック・ドゥーハンに代えてコラピントを起用した。その後ガスリーとコラピントが残りのシーズンを戦い、チームは2026年もこのペアを継続する。

ガスリーはシーズン序盤に契約を結んでいたが、コラピントはシーズン終盤まで将来が不確定だった。2025年、彼は唯一まだポイントを獲得していない現役ドライバーで、アルピーヌは非競争力なマシンに苦しんだ。

それでもガスリーはわずかなポイントを積み重ね、2026年はチームの中心となる4年目のシーズンに臨む。コラピントは3年目だが、実際にマシンを本格的にテストしたのはこれが初めてとなる。

チーム代表:未定
アルピーヌは2026年のチーム代表をまだ確定していない。オリバー・オークス離脱後、フラビオ・ブリアトーレがマネージングディレクターのスティーブ・ニールセンと共に役割を担っている。

■ キャデラックF1:バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレス
キャデラック F1
2026年、F1に新加入するキャデラックには2人のベテラン、ボッタスとペレスが加入する。それぞれ2024年末にキック・ザウバーとレッドブルのシートを失って以来の復帰となる。

彼らには、F1の11番目のチームとなるキャデラックを戦えるチームへと育て上げるという任務が託される。また、2024年の厳しいシーズンから気持ちを立て直すことも求められる。

キャデラックは2026年、フェラーリ製のパワーユニットで参戦し、GM独自のPUは2029年導入を予定している。

チーム代表:グレアム・ロードン
元マルシアのスポーティングディレクター、グレアム・ロードンがキャデラックの初代チーム代表を務める。F1にまったく新たなチームが参入するのは2016年のハース以来だ。

ロードンはF1.comに対し2025年初頭、こう語っている。

「我々が直面しているのは非常に大きな挑戦だ。どこまで成功と言えるのか定量化するのは難しいが、我々ができるのは可能な限り全力で物事を実行すること、そして他の競争相手からの尊敬を勝ち取ることだけだ。」

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カテゴリー: F1 / F1ドライバー