2025年F1 カナダGP 決勝:各チーム代表が語る勝因・敗因と今後への手応え
2025年F1カナダGPの決勝レース後、各チームの代表者たちがそれぞれの週末の成果と課題を語った。勝利を収めたメルセデスのトト・ヴォルフはジョージ・ラッセルの完璧な走りとアントネッリの初表彰台を称賛し、前進への手応えを強調した。

レッドブルのクリスチャン・ホーナー、フェラーリのフレデリック・バスール、マクラーレンのアンドレア・ステラらも、それぞれの立場から現状と課題を分析。全チームが次戦オーストリアに向けて改善の余地と希望を語った。

トト・ヴォルフ(メルセデス)
「今日はチーム全体にとって素晴らしいレースだった。ジョージは最初から最後まで完璧だった。レースを完全にコントロールして一切ミスがなかったし、今季これまでにも見せてきた安定感ある走りだった。どちらのタイヤでも速さがあって、スタート以降は一度も脅かされることはなかった。キミも自分自身の素晴らしいレースをした。スタートでうまく順位を上げて、そこからしっかりとポジションを守り切った。2位も狙えそうな場面があったし、終盤はマクラーレン勢をしっかりと抑え込んで初表彰台を獲得した。これからさらに多くの表彰台を手にするだろう。今週末はチームとして明確に一歩前進できた。今日の路面温度は50℃近くまで上がっていたが、タイヤのマネジメントもうまくいったし、マシンのペースも良かった。とはいえ、毎戦このレベルを維持するにはまだやるべきことが多い。引き続き改善に努めて、今後も勢いを持って戦っていく」

アンドリュー・ショブリン(メルセデス)
「今季初勝利とダブル表彰台は、週末を通して力強いパフォーマンスを見せたチームへの素晴らしいご褒美だ。ジョージは一切ミスのない走りでレースを完全に支配した。本当に見事な内容だった。キミにとっても初表彰台は大きな節目だし、それをチャンピオンシップリーダーのプレッシャーの中で達成したのだからなおさら価値がある。金曜のロングラン走行から期待はしていたが、実際に決勝でもそのペースを維持できた。ミディアムとハード両方のタイヤで競争力があり、レッドブルやマクラーレンに対して重要な場面でギャップを築くことができた。3連戦で苦しんだ後だけに、今回の結果はマシン改善に懸けてきた両拠点の努力が実った形だ。もちろん今のマシンにもまだ改善すべき弱点は残っているが、確かな前進を感じている。今後も先頭集団で戦い続けられるよう取り組んでいく」

クリスチャン・ホーナー(レッドブル)
「今日はマックスが素晴らしいレースをしてくれた。スタートからフィニッシュまで一貫して競争力を発揮していたし、ドライバーズ選手権を考えても良いポイントが獲れたと思う。最終スティントでは特に良いペースを見せていたし、もしかしたらレース中にもう少し強気に攻めるチャンスもあったかもしれないが、総合的には最大限の結果を持ち帰ったと考えている。マクラーレンは終盤に不運な展開になったが、そういった時に備えて我々は自分たちの仕事をしっかりこなす必要がある。チームメイト同士がここまで10戦も無事故だったこと自体がすごいことだし、今回のようなこともモータースポーツにはある。大事なのはその隙をついてポイントを拾うことだ。メルセデスはこの週末本当に良い仕事をしたし、ジョージも素晴らしかった。我々も次のレースで巻き返していく。チーム全体としては今日できる限りのことはすべてやり切ったと思う。角田もワンストップ戦略でいい走りを見せたし、あと少しでポイントという惜しい内容だった」

アンドレア・ステラ(マクラーレン)
「パフォーマンス面でも結果の面でも、チームにとっては厳しい週末だった。MCL39の競争力はドライバーとチームの働きによって徐々に改善していたが、今回は過去数戦ほどの優位性は見せられなかった。それでも表彰台争いには加われていたし、いくつか確認すべきことはあるにせよ、次戦に向けてしっかりと立て直す。今季初めて1台のみがポイント獲得という結果になった。ランドは力強い走りで順位を上げていたが、オスカーとのバトルで接触しリタイアとなった。チームとしては、この接触がランドの判断ミスによるものであることをすぐに認めた姿勢を評価している。今回の出来事を糧にしながら、今季ここまで続けてきた好調な流れを維持していきたい」

フレデリック・バスール(フェラーリ)
「今週末の最大の問題は、FP1の時点からあまりにも多くのミスやトラブルが重なったことだ。1台が走れなかったことで、FP2ではロングランのデータが取れず、それが戦略にも響いた。予選でもミスがあったし、決勝ではルイスが動物を轢いてしまってフロアの前側を壊し、大きなダウンフォースを失った。それだけでなく、シャルルも戦略的な判断が結果には結びつかなかった。再びP5とP6という結果に終わってしまったが、ポジティブな要素もある。予選ではシャルルがS1で最速を記録していたし、レースペースも最速勢と大差ない。すべてを噛み合わせることができれば、もっと上位で戦えると確信している。あとはクリーンな週末を迎えること、それが必要だ」

カナダグランプリ

アンディ・コーウェル(アストンマーティン)
「100戦目の節目となるこの週末に、フェルナンドが今季ベストとなる7位でフィニッシュし、チームにふさわしいポイントをもたらしてくれた。戦略通りに走りきり、確実に結果につなげたことは評価できる。ランスにとっては予選の不運もあり難しい週末になった。今後は彼がより自信を持ってクルマに乗れるよう、改善に努めていく。我々は全体のあらゆる面での前進を目指して取り組み続けていく」

ジョナサン・ウィートリー(ザウバー)
「今日のチーム内の雰囲気は最高だった。非常に強力なパフォーマンスだったと思う。ニコはスタート直後の混乱をうまく避けて2つポジションを上げ、そのあとは冷静かつ頭脳的なドライブで完走した。ミディアムからハードへのスティント切り替えも戦略的に完璧で、最終的に8位でフィニッシュ。2023年カナダ以来の連続入賞という大きな成果につながった。ガブリエルも後方から懸命に戦い、グレイニングやトラフィックを乗り越えて14位でフィニッシュ。ヒンウィルのチーム全体が一丸となって進化してきた証だし、マッティアとともにこの流れをヨーロッパラウンドでも継続していく」

小松礼雄(ハース)
「エステバンが14番手スタートから9位でフィニッシュして、チームとしてはすごく良い結果になりました。今回はオリバーとエステバンで戦略を分けていて、オリバーはミディアムタイヤでスタートしたことで、ハード勢の後ろに引っかかる展開になってしまいました。これは予想していたシナリオのひとつではありましたが、実際にそうなってしまって、うまくいきませんでした。エステバンの戦略は紙の上では遅いはずだったんですが、タイヤマネジメントが完璧で、ミスもなく走り切ってくれました。オリバーも今日は悔しい展開だったと思いますが、ペースはしっかりあったので、速さを証明してくれたと思います。チームとしてはレースペースに手応えがあったので、次のレースでは週末全体を通してしっかり準備を整えて、予選からもっと上を狙えるようにしていきます」

ジェームス・ボウルズ(ウィリアムズ)
「カルロスは非常にタフな状況下でも見事なレースをしてくれた。いくつかのマネジメント課題を抱えながらも、冷静な走りでポイントを持ち帰ってくれたことは大きな価値がある。アレックスはスタート直後に後退してしまって難しい展開となり、最終的にPUのトラブルでリタイアした。復帰のチャンスは十分にあっただけに残念だ。今のミッドフィールドは非常に接戦で、ポイントを獲得するにはすべてを完璧にやりきる必要がある。そこに向けて我々はより一層集中していく」

ローレン・メキース(レーシングブルズ)
「ヨーロッパでの3連戦の好成績を経て、今回のカナダには期待を持って臨んだが、このサーキットの難しさと中団の激しさを改めて思い知ることになった。予選ではアイザックがP9と良い走りを見せたが、チーム側の判断ミスによりペナルティを受けることになったのは我々の責任だ。決勝ではアイザックが序盤のミディアムでグレイニングに苦しみ、戦略も厳しい展開になった。リアムはPUの変更によってピットレーンスタートとなり、最終的には冷却系の問題でリタイアせざるを得なかった。中団争いではわずか0.1秒が大きな差になる。これまでも厳しい週末を乗り越えてチームとして前進してきた。今回も同じように学び、次のオーストリアでは力強く巻き返していく」

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カテゴリー: F1 / F1カナダGP