2025年F1 イギリスGP 予選:トップ3インタビュー&記者会見全文
2025年F1イギリスGPの予選は、風の影響と気まぐれな天候に左右されながらも、スリリングな展開となった。

ポールポジションを獲得したのはレッドブルのマックス・フェルスタッペン。Q3最終アタックで全セクターをまとめ上げ、マクラーレン勢を逆転してトップに立った。2番手にはオスカー・ピアストリ、3番手には地元の声援を受けるランド・ノリスが続いた。

上位3名による公式会見とパルクフェルメインタビューでは、風への対応、マシンのセットアップ、決勝への展望が語られた。それぞれが明日のレースに自信を見せつつも、異なる強みを持つマシン同士の接戦、そして雨の可能性がもたらす波乱を警戒する様子もうかがえた。

パルクフェルメインタビュー

Q:ランド、ホームレースで3番手。今日の予選は接戦でしたが?
ランド・ノリス:いい予選だったし、3番手には満足しているよ。もちろん、ここシルバーストンでトップに立ちたかったけど、マックスがいい仕事をした。今日は僕らにはそこまでの速さがなかった。でも楽しい予選だったし、このサーキットでの予選は速さを感じられて本当に楽しい。完璧ではないけど、良い一日だったよ。

Q:あれほど高速コーナーが続く中で、風の強いコンディションでラップをまとめるのは大変だったのでは?完璧なラップに必要なものは?
ノリス:今日は本当に小さな差が結果を分けた。Q1を見ても、あれほどの接戦はかなり驚いたけど、同時に面白かったよ。今日は小さなミスや小さな違いが大きな差になった。ほんの数百分の数秒が勝敗を分ける日だった。風や時折の小雨もあって難しかったけど、それも含めて楽しかったし、3番手に満足してる。

Q:昨年も3番手からスタートし、優勝のチャンスもありました。今回もわずか0.015秒差でピアストリに次ぐ3番手、そしてポールのマックスとの戦いになります。どんなレースになると思いますか?
ノリス:明日はきっと楽しいレースになると思う。僕、マックス、オスカーの3人のバトルになるだろうし、それだけじゃなくてルイスやシャルル、ジョージもいる。日曜日は面白くなりそうだから、すごく楽しみにしてる。

Q:オスカー、Q3最初のランで暫定ポールでした。2回目のアタックでは届きませんでしたが、満足していますか?
オスカー・ピアストリ:最初のラップにはすごく満足してる。正直、「ここからどうやってもっと速くするんだ?」って感じだった。でも2回目はちょっとミスもあって、完璧にはまとめられなかった。週末を通してずっと接戦だったし、チームもいろんなトライをしてくれて、クルマはずっと良いフィーリングだった。だから全体としては満足してる。

Q:ピットに戻った時点で暫定ポールでした。気持ちはどうでしたか?
ピアストリ:最初のラップが良すぎると、2回目に何を改善すればいいかわからなくなるんだよね。あまり無理したくはなかったけど、いくつかのコーナーでちょっと慎重すぎて、それを出口で挽回しようとしてうまくいかなかった。それでもフロントロウに並べるのはうれしいし、明日は楽しいレースになると思う。

Q:最近のマクラーレンはマックスとも好バトルをしています。明日は腕の見せどころになりそうですね?
ピアストリ:そうだね、マックスともランドともいいバトルをしてきたし、明日も面白くなるはず。マシンによって強みが違っていて、レッドブルは直線が速くて、僕らは高速コーナーで強い。各チームに異なる武器があるから、それがどう出るか楽しみだよ。

Q:マックス、最後のラップはすべてのセクターで完璧でした。どうやって決めたんですか?
マックス・フェルスタッペン:今日は本当に風が難しかった。Q1からQ3までずっと風向きが変わってたから、予測がつかなかった。でもクルマをうまくまとめられて、最後のラップはうまく決まった。こういうサーキットで全開アタックをするのは本当に楽しいし、F1マシンの醍醐味だよ。

Q:ダウンフォースを減らしたセッティングだったようですが、それでもポールを獲れたのは驚きです
フェルスタッペン:直線では確かに速かったけど、高速コーナーでは苦労する部分もあった。それでも今日はうまくバランスが取れていた。明日がどうなるかはわからないけど、予選結果には満足してるし、チームにとってもいいブーストになった。

Q:マクラーレン勢とのバトルになります。彼らを抑えられると思いますか?
フェルスタッペン:簡単じゃないと思うけど、ベストは尽くすよ。今はとにかく楽しんで、全力で走るだけだ。

イギリスGP F1 イギリスグランプリ 2025年のF1世界選手権

予選後公式記者会見

Q:マックス、あらためておめでとうございます。最終ラップはどれくらい自信のある出来でしたか?
フェルスタッペン:かなり良かったと思う。風が強くて、ストレートでもマシンが揺れたりして予測しづらかったけど、最終ラップはうまくいった。特にダウンフォースが少なめのセッティングだったから、高速コーナーでは思い切りが必要だった。

Q:Q3の最初のアタックからどこを改善したのですか?
フェルスタッペン:第3セクター以外、ほとんど全部のコーナーで少しずつタイムを削った。1回目のアタックは、Q2と比べてフィーリングが全然違って、アンダーステアとオーバーステアが入り混じってた。でも2回目はすべてがうまく噛み合った。

Q:昨日からどれくらいマシンは変わりましたか?
フェルスタッペン:かなり違った。昨日はアンダーステアがひどくてリアも安定しなかったけど、今日はそのバランスがだいぶ改善された。それによって攻め込めるようになったし、F1ではそれがタイムに直結する。

Q:明日のレースに向けて、直線スピードは武器になりそうですか?
フェルスタッペン:そうだね、でもタイヤマネジメントが鍵になると思う。ここは高速コーナーが多くてタイヤに厳しい。明日は雨の可能性もあるし、戦略次第で展開が大きく変わるかもしれない。とにかくベストを尽くすよ。

Q:オスカー、Q3の1回目のアタックは素晴らしかったですね。あの時点でポールを狙えると思っていましたか?
ピアストリ:すごく良いラップだったけど、トラックが毎回少しずつ改善していたから、まだ足りないとは思っていた。2回目は少し荒れたラップで、いくつか驚かされたポイントもあったし、ミスもあった。それでも全体としては満足してる。

Q:この予選は上位5台が0.2秒以内という大接戦でした。驚きましたか?
ピアストリ:正直、それ自体はそんなに驚いてない。むしろ驚いたのは、各車が全く違う方法でタイムを出していること。スピードトレースを見ると、全然違うライン、違う速度だけど、最後のタイムはほぼ同じだった。特にフェラーリが昨日と今朝すごく速かったのは意外だった。

Q:シルバーストンでは鈴鹿のようなバトルは見られそうですか?
ピアストリ:日本よりはオーバーテイクが多くなることを期待してる。タイヤのデグラデーションも影響するだろうし、各チームの強みの違いが出ると思う。1回でもオーバーテイクできたら満足かな。

Q:ランド、今日の予選全体の流れはどうでしたか?
ノリス:全体的にスムーズだったと思う。Q1だけはちょっと神経を使ったけど、それ以外はすべてのラップで改善できた。最後のアタックではもう少し欲しかったけど、グリップやバランスが完璧ではなかった。それでも3番手には満足してる。

Q:ピレリが今年は1段階柔らかいタイヤを持ち込んでいます。明日のレースで影響はありそうですか?
ノリス:あると思う。昨日はすごく暑くて、今日と明日でまた状況が違う。雨の可能性もあるし、戦略は大きく変わるかもしれない。クルマによってラップタイムの出し方も違うから、明日はチャンスが巡ってくる可能性もある。面白いレースになると思うよ。

記者からの質疑応答

Q:マックス、週末のスタートは難しかったと思いますが、金曜から予選まででマシンのパフォーマンスをここまで仕上げるには、どれほどの作業が必要でしたか?

マックス・フェルスタッペン:週末によって違うけど、今回はかなり手こずった。昨日は想定していなかったほど強いアンダーステアが出て、それをどうにかする必要があった。そこから持っているツールを使って対処していったけど、今回はうまくいったと思う。

Q:マックス、今回投入された新しいフロアは今日のパフォーマンスにどれほど貢献したと考えていますか?そして今後のシーズンへの期待も高まりましたか?

フェルスタッペン:どれくらい効果があったかは正確にはわからないけど、間違いなく何かしらの改善にはなっている。どんなアップグレードでも嬉しいし、僕たちは常に学びながら進化していく。これからも1戦1戦、全力で取り組んでいくよ。

Q:マックス、低ダウンフォースのセットアップを選んだ理由をもう少し詳しく教えてください。直線スピード、レースでの扱いやすさ、タイヤ摩耗、ウェットコンディションなど、さまざまな要素がある中での判断だったと思いますが?

フェルスタッペン:昨日、違うリアウイングを使っていたときはとにかく遅く見えたし、アンダーステアもひどかった。だからまずはそのアンダーステアを減らす必要があって、今回の仕様に変えてみた。確かに軽めのダウンフォースだとは思うけど、今日はちゃんと機能してくれた。明日のレースでどうなるかは、また別の話だけどね。

Q:マックス、グリッドにはオスカー、シャルル、そして3人の「非常にハングリーな」イギリス人ドライバーがいます。明日は前を向いてレースしますか?それとも後方の対策がメインになりますか?

フェルスタッペン:当然、全員が後ろにいるから後ろを気にしながら走ることになる。でも本当にバトルになると思う。ロングランでも多くのクルマが速かったし、予選でも差が小さかった。マシンによって速い場所が違うから、明日は誰がタイヤをうまく使えるかが勝負の鍵になると思う。

Q:マックス、鈴鹿とシルバーストンといういわゆる「ドライバーズ・サーキット」でポールを取っています。高速度域でミスが許されないこのようなコースの難しさについて、あなた自身はどう感じていますか?

フェルスタッペン:こういうコースの方が自然に好きなんだ。僕は市街地コースはあまり好みじゃない。こういう高速でフローのあるレイアウトは、F1マシンを本当に活かせる。もちろん、クルマとの相性も大事だけど、こうしたサーキットではそれが際立つ。とはいえ、昨日はバランス的に本当に苦戦していたから、今日あれだけまとめられたのは嬉しいよ。

Q:オスカーとランドに質問です。レッドブルのリアウイング構成は、明日のレースでマックスを追い抜く際に有利になると思いますか?それとも難しくなりますか?

オスカー・ピアストリ:正直なところ、まだわからない。彼らがあのダウンフォース量で高速コーナーをあれだけのペースで走ってくるのは本当に驚異的だよ。もちろん、自分たちの方がいくつかの場所で有利になることを期待しているけど、それが実際どうなるかは明日にならないとわからない。

ランド・ノリス:実際に後ろに付いてみないとわからない部分が多いと思う。今のところ、僕らのDRS時のスピードはマックスの通常速度と同じくらいなんだ。だからDRSで近づいても、抜くのは簡単じゃないはず。たしかに高速域では少し差を詰められるかもしれないけど、抜ききるのは簡単じゃない。レッドブルリンクも高速だけど、ここシルバーストンは本当の意味での高速サーキットだから、僕たちの弱点がより露わになったとも言える。それでもチャンスはあると思っている。

Q:マックス、今日の結果自体は素晴らしいですが、金曜に苦戦したことなどを踏まえると、今シーズン全体としての進歩に不満を感じていますか?

フェルスタッペン:もちろん、シーズンを通して理想通りに進んでいるとは言えない。でもそれが現実だし、変えられるものではない。自分自身もチーム全体も常に全力で改善に取り組んでいる。いくつかのサーキットでは相性が良くて、他では難しい。それが今の僕らの状況だ。もし簡単に解決できる問題なら、とっくにやっている。でも今日の結果はチームにとっても自分にとってもいいブーストになるよ。

Q:ランド、もし明日雨になった場合、前の2人との勝負になりますか?それともフェラーリやメルセデスも加わってより混戦になると思いますか?

ノリス:混戦になると思う。特にフェラーリは今回すごく速いし、ダウンフォースも一番多い。彼らの高速コーナーでのパフォーマンスは僕らよりも一段上だと感じてる。メルセデスも侮れないし、ジョージはこういう荒れた展開で必ず上位に来るタイプ。だから全員にチャンスがあると思うけど、まずはフェラーリに注意が必要だと思っている。

Q:ランド、2021年にアービッド・リンドブラッドが「5年後に会おう」と言ってきたそうですが、実際に彼と走ってみてどんな印象でしたか?

ノリス:彼とはたぶん2回しか話してないけど、そのうちの1回がまさにその時。自分のカートブランドを立ち上げたときだったんだけど、今でも彼に言われたことをはっきり覚えてる。それを思い出すと、初めて自分が「年を取ったな」と感じたよ(笑)。でも若いドライバーが出てくるのはうれしいことだし、F2でも結果を出しているから、このままいけばF1に来ると思う。

フェルスタッペン:彼は僕の親友が運営しているカートチームで走ってたから、前から情報は入ってきてた。すごく速いし、成長していると思うよ。レッドブルがしっかり準備させているのもいいと思う。「次のマックス」とか言われるけど、彼自身の道を進めばいい。本人もそれを分かってると思うし、良い環境にいる。あとは一歩ずつ進めばいい。

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カテゴリー: F1 / F1イギリスGP / F1ドライバー