F1サンパウロGP スプリント 展開:ランド・ノリスが激戦制す 角田裕毅14位

難しい路面コンディションと赤旗中断を経て、最後までメルセデスのキミ・アントネッリを抑えきり、コンマ7秒差でフィニッシュ。3位にはジョージ・ラッセルが続き、マックス・フェルスタッペンは4位、シャルル・ルクレールが5位で終えた。
母国の声援を受けたガブリエル・ボルトレトが終盤にクラッシュを喫し、レースはダブルイエロー下で終了。オスカー・ピアストリとフランコ・コラピントの接触による赤旗も発生するなど、短距離ながら波乱の展開となった。
フォーメーションラップ:ドライコンディションでの選択分かれる
スタート前の路面は乾きつつあり、全車がスリックタイヤを選択した。トップ8はミディアムとソフトが交互に並ぶ興味深い構成で、ノリスがミディアム、アントネッリがソフト、ピアストリがミディアム、ラッセルがソフトという布陣。
角田裕毅とカルロス・サインツはパルクフェルメ違反によりピットレーンスタートとなった。
気温は25度、これまでより大幅に低く、タイヤの発熱とグリップ管理が重要な要素となった。
スタート:ノリスが先行、アントネッリはポジション死守
スタートでノリスが完璧な蹴り出しを見せ首位を守る。アントネッリはやや出遅れたが、ピアストリとラッセルの挟み撃ちを耐えて2番手を維持。
フェルスタッペンはアロンソをかわして5番手に浮上。ルクレールは7番手、ハミルトンはスタートで8番手までポジションを上げた。
序盤のターン2ではリアム・ローソンとオリバー・ベアマンが接触し、ベアマンがスピン。隊列は早くも乱れた。
序盤(LAP 3〜5):ノリスがリード拡大、メルセデス勢が追う
2周目にはDRSが有効化され、ノリスは1秒以内に迫るアントネッリを振り切りにかかる。3周目以降、ソフト勢のペースが上がりにくい中でノリスは冷静に差を広げ、5周目にはDRS圏外に逃げた。
一方、アロンソはフェラーリ勢に猛追されながらも老練なディフェンスを見せ、6番手をキープしていた。
赤旗発生:ピアストリとコラピントがクラッシュ
6周目、ピアストリがわずかに濡れた縁石に乗り、スピンしてバリアにクラッシュ。直後にフランコ・コラピントとニコ・ヒュルケンベルグも同じ箇所でコントロールを失い、3台が相次いでウォールに激突した。
この影響で赤旗が出され、レースは中断。マクラーレン、アルピーヌ、キック・ザウバーの3チームはマシン修復に追われることとなった。特にピアストリはギアボックスに損傷の疑いがあり、後の予選への影響が懸念された。
再開(LAP 9〜12):ノリスが逃げ、上位は均衡
約20分の中断を経て、レースはローリングスタートで再開。ノリスが絶妙なタイミングで加速し、背後のアントネッリとラッセルを引き離す。
フェルスタッペンは5位をキープ、アロンソはフェラーリ勢を抑え続ける。ここからDRSトレインが形成され、順位は膠着状態となった。
12周目、ルクレールがアロンソに仕掛けるが、ロックアップで失速。直後のハミルトンもブレーキをこらえきれず危うく接触しそうになるなど、緊張感が高まった。
中盤(LAP 13〜18):ノリス優勢もタイヤ劣化進行
路面の乾きが進み、ソフト勢のリアタイヤにグレイニングが見られ始めた。ノリスはリヤの温度上昇を警告されながらも、1.4秒前後の差を維持。
アントネッリとラッセルのメルセデス勢は安定したペースで追撃し、DRS圏内をキープ。
後方ではガスリーがストロールとの8位争いを展開し、久々のアルピーヌ入賞を目指していた。
終盤(LAP 19〜23):アントネッリが接近、ノリスにプレッシャー
残り5周、アントネッリが1.1秒差まで接近。タイヤの持ちと風向きの変化でノリスのマシンが一時不安定になる。
「リヤが限界だ」との無線を受けたノリスは慎重にペースを調整。22周目には再び両者の差が0.5秒に。
後方ではルクレールがついにアロンソを攻略し、5位に浮上。ハミルトンは直後でチャンスを伺うも、前に出るには至らなかった。
最終局面(LAP 24):ボルトレトがクラッシュ、ダブルイエローで終了
最終ラップ、ホームの声援を背に走っていたボルトレトが、アルボンをオーバーテイクしようと濡れたラインに乗り、スピンからウォールに激突。幸い無線で無事が確認され、レースはダブルイエロー下で終了した。
ノリスがアントネッリを0.7秒差で抑え切り、スプリント初優勝。ラッセルが3位、フェルスタッペン4位、ルクレール5位、アロンソ6位、ハミルトン7位、ガスリーが8位で1点を獲得した。
トップ3コメント
ランド・ノリス:「風が強くてかなりスケッチーだった。何度か危ない瞬間もあったが、だからこそこの勝利はより特別だ。タイヤのデグラデーションが想定より大きかったので、まだやるべき宿題はある」
キミ・アントネッリ:「楽しいレースだった。序盤のコンディションは難しかったが、最後までプレッシャーをかけ続けられた。自信は高いし、今日の予選でもう一度挑戦したい」
ジョージ・ラッセル:「僕たちにとって良い結果だった。Kimiも素晴らしい走りをしたし、午後の予選でもこの勢いを続けたい。気温が低いのは僕たちにとって好材料だ」
タイトル争いの行方
この結果、ノリスはドライバーズ選手権でピアストリに対して9ポイントのリードを拡大。フェルスタッペンは首位ノリスから39ポイント差に後退した。
依然としてタイトル争いは三つ巴のままだが、日曜決勝での一戦がシーズン全体の流れを決める可能性がある。
カテゴリー: F1 / F1ブラジルGP
