2025年F1サンパウロGP:インテルラゴス・サーキット&タイヤ解説
前戦から2週間を経て、F1は再びアメリカ大陸に戻り、サンパウロ・グランプリが開催される。今回のブラジルGPは、シーズン最後から2番目のスプリント実施週末であり、最終スプリントはカタールで行われる予定だ。

ブラジルはモータースポーツと強いつながりを持ち、数々の偉大なチャンピオンを輩出してきた地でもある。彼らはフォーミュラ1の歴史に消えることのない足跡を残してきた。

インテルラゴス・サーキットは、ストレートと多彩なコーナーの組み合わせにより、例年エキサイティングなレースを生み出す。また、突然の豪雨が最終結果に不確実性をもたらすことも多い。

今週のピレリ・ポディウムキャップはブラジル国旗をイメージしたグリーンとイエローで彩られている。この特別仕様モデルはデザイナーのデニス・デコヴィッチのクリエイティブな発想を取り入れ、ピレリ・デザインによって製作されたもので、専用のECサイト(https://store.pirelli.com
)で購入可能だ。

ブラジルグランプリ

コンパウンド
今年のサンパウロGP用タイヤ選択は2023年に回帰しており、ハードにC2、ミディアムにC3、ソフトにC4が使用される。つまり、昨年使用された組み合わせよりも1段階ハードな構成となる。

昨年は決勝でドライタイヤが使用されることはなかったが、金曜および土曜午前中に使用された際には、特にリアアクスルにおいて高い摩耗とグレイニング(表面のささくれ)が見られた。サーキットは全面再舗装が行われており、以前より滑らかで摩耗が少ないものの、依然として多くのバンプが残っていた。

もし今年も同様のコンディションとなれば、アスファルトの経年変化による違いはあるにせよ、よりハードなコンパウンドを持ち込む決定は、タイヤの性能寿命を延ばす狙いがある。2025年仕様のタイヤは2024年型よりもデグラデーション(劣化)耐性が高いため、ソフトコンパウンドが実戦で使用可能となるかもしれない。昨年のソフトはスプリント予選でのみ使用された。

サンパウロGP(ブラジルグランプリ)

2024年の状況
昨年は予選と決勝がともに日曜日に実施された。悪天候が予想されたため、レースディレクターは予選を午前7時30分に、決勝のスタートを12時30分にそれぞれ前倒しした。結果として、ドライタイヤは一度も使用されなかった。

全ドライバーがインターミディエイトでスタートし、レース中盤に雨が激しくなったため赤旗中断となった。その時点でフルウェットを装着していたのはわずか5名だった。再開後は全員がインターミディエイトで完走し、そのうち新品を使用したのは4名のみだった。もしレースがドライで行われていれば、前日のデータから判断して、摩耗レベルを考慮したうえで2ストップ戦略が最も現実的であったと見られる。

ブラジルGP(サンパウロGP)

サーキット
ブラジル人レーサー、ジョゼ・カルロス・パーチェの名を冠したこのサーキットは全長4.309km。1938年から1940年にかけて建設され、設計のインスピレーションはイギリスのブルックランズ、アメリカのルーズベルト・レースウェイ、フランスのモンレリーの3つのクラシックコースから得られている。

インテルラゴスのレイアウトは反時計回りのオーバルを思わせるもので、決勝では71周を走行する。15のコーナーは横方向・縦方向の負荷がバランスよくかかり、タイヤへの負担は前後軸でほぼ均等に分散される。

ストレートとテクニカルな中低速区間が組み合わされているため、オーバーテイクの機会は多いが、同時にセーフティカーやアクシデントの発生リスクも高い。

この時期の天候は非常に変わりやすく、雨が降りやすいため、ウェットタイヤの使用が避けられない場合も多い。

また、インテルラゴスは不安定な地盤の上に建設されているため、路面が非常にバンピーであることも特徴のひとつだ。これはセットアップやタイヤマネジメントの観点で、ドライバーとチームにさらなる課題を与える要素となっている。

ブラジルグランプリ(ブラジルGP)

キーワード:カラー
世界的に有名なブラジルのカーニバルは、華やかな色彩と衣装で知られ、国の祝祭的精神と文化的アイデンティティを象徴している。実は、ピレリがタイヤのサイドウォールにカラーラインを導入したのも、ここブラジル・リオデジャネイロだった。以来、これはフォーミュラ1におけるピレリの象徴的な特徴となっている。

1986年シーズン開幕戦、リオのジャカレパグア・サーキットで行われたレースにおいて、ベネトンチーム(同名の衣料ブランドが所有し、色彩の革新的な活用で知られていた)は、完全に色づけされたサイドウォールを持つピレリタイヤを初めて投入した。ゲルハルト・ベルガーとテオ・ファビがドライブしたB186がその先陣を切り、観衆を驚かせた。それまでタイヤはほぼ例外なく黒一色だったのだ。

ピレリが2011年にF1の単独サプライヤーとして復帰した際、タイヤ識別を容易にするためロゴ横にカラーラインを導入した。このアイデアは2018年に頂点を迎え、7色ものバリエーションが用意された「レインボー」システムとなったが、この試みは同年限りで終了し、現在のホワイト・イエロー・レッドの3色体制へと落ち着いた。

2025年のF1世界選手権 ブラジルグランプリ

統計コーナー
これまでにブラジルでは計51回のF1世界選手権グランプリが開催され、そのうち47回は「ブラジルGP」、直近4回は「サンパウロGP」として行われている。インテルラゴスでは1973年から通算41回のレースが行われた。1978年と1981年から1989年まではリオ・デ・ジャネイロのジャカレパグア・サーキットで開催された。

ジョゼ・カルロス・パーチェ・サーキットで最も成功したドライバーはミハエル・シューマッハで、4勝および10回の表彰台を記録している。もしマックス・フェルスタッペンまたはルイス・ハミルトンが今年勝利すれば、このドイツ人チャンピオンの記録に並ぶことになる。

チーム別では、スクーデリア・フェラーリが9勝でトップに立ち、マクラーレンがわずか1勝差で続いている。インテルラゴスは、2022年にジョージ・ラッセルが初優勝を飾った場所としても記憶されている。

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カテゴリー: F1 / F1ブラジルGP / ピレリ