2025年F1 オーストリアGP 決勝:トップ3インタビュー&記者会見全文

特にノリスとピアストリのマクラーレン勢による一騎打ちは、序盤20周にわたる白熱のバトルとしてレースのハイライトとなった。ノリスは「カナダからの最高の巻き返し」と語り、プレッシャーの中での勝利に満足感をにじませた。
ピアストリは一時ノリスを抜く場面もあったが、「DRS圏外に出てからは詰め直すのが非常に難しかった」と振り返り、作戦の見直しが必要だと認めた。ルクレールは「今日の3位は現状でのベスト」とし、フェラーリのアップグレードが前進にはつながったものの、マクラーレンとの差を埋めるにはさらなる開発が必要だと語った。
パルクフェルメインインタビュー
Q:ランド、すごいレースだった。大きなプレッシャーがかかっていたと思うけど、どう乗り切った?外から見ていても本当に壮絶だった。
ランド・ノリス:そうだね、タフなレースだったよ。ずっとプッシュし続けなきゃいけなかったし、コンディションも厳しくて暑くて疲れた。でもチームにとっては完璧な結果だった。1-2フィニッシュは僕たちが求めていたもので、またそれが実現できた。すごくうれしいよ。カナダのあと、最高の巻き返しだったと思う。
Q:本当に見事な逆転劇だった。最初の20周、オスカー・ピアストリとの戦いはどうだった?ターン3で一度抜かれた場面は壮絶だったね。
ノリス:素晴らしいバトルだった、本当に楽しかったよ。ストレスもすごかったけどね。オスカーといい戦いができた。観客のみんなにも楽しんでもらえたならうれしい。車の中は本当に厳しかった。特に彼がDRS圏内にいるときはね。ここはDRSの効果がとても大きくて、1秒以上のギャップを作るのが大変なんだ。でもそれができてからは、うまくコントロールできるようになった。でも、彼は速かった。楽しいバトルだったよ。
Q:おめでとう。素晴らしいショーだったよ。
ノリス:ありがとう。
Q:オスカー、おめでとう。車の中からはどうだった?最初の20周、ずっとプレッシャーをかけ続けていて、本当にすごかった。
オスカー・ピアストリ:すごくタフだったよ。外から見ても面白かったならいいんだけど、車の中では本当にきつかった。全力を尽くしたし、一度前に出たときにもう少しうまくやれたかもしれない。でも素晴らしいバトルだったよ。限界ギリギリの部分もあったし、ちょっと押しすぎた場面もあった。でもこれがF1だし、僕たちはレースをして勝利を目指すためにここにいるからね。今日はあと一歩届かなかったけど、本当にいいレースだった。チームにも感謝している。あれだけのペースを保ちながらお互いにバトルできたのは、マシンが素晴らしかったからだよ。
Q:昨日や金曜日の状況を考えると、ここまで戦えるとは思っていなかった?
ピアストリ:可能性はあると思っていたよ。昨日の予選はイエローフラッグに邪魔されて運が悪かったけど、今週末のペース自体は良かったと思う。だからDRS圏内にとどまれたときは自信があった。でも最初のピットストップでDRS圏内から外れてしまってからは、ギャップを詰め直すのがとても難しかった。もう少し良くできたかどうか、あとで確認したい。
Q:おめでとう。本当に素晴らしいレースだった。
ピアストリ:ありがとう。
Q:シャルル、表彰台おめでとう。最初は優勝争いをしたかったと思うけど、ペースについてはどうだった?週末全体をどう評価する?
シャルル・ルクレール:チームとしてはすごく良い週末だったと思う。でも、今日のペースは残念ながら足りなかった。ターン1では仕掛けようかと考えたけど、ランドに蓋をされてしまって、その結果オスカーに抜かれる隙を与えてしまった。でも、たとえ2番手を保てたとしても、彼らには追いつけなかったと思うから、今日は3位が精一杯だったと思う。今日の戦いには後悔はない。自分たちの力は出し切ったけど、それでも十分じゃなかった。
Q:ターン3の動きは良かったね。後方では接触もあったし、あの判断は冷静だったと思う。それとフェラーリの仕上がりについてはどう感じた?週末を通じて改善して、特にレースの序盤は接近していたように見えたけど。
ルクレール:そうだね。第1スティントでは、彼らに食らいつこうとしてちょっとプッシュしすぎた。その結果、タイヤの劣化が早くなってしまった。でも、それも含めてレースだからね。全力は尽くしたけど、今日は届かなかった。新しいアップグレードを持ち込んで、それで一歩前進できたのは間違いない。でも、マクラーレンとの差を埋めるにはまだまだ足りないから、この方向でさらに進化させていく必要がある。
Q:次のレースについて。まだ今シーズンは勝利がないけど、どんな意気込み?
ルクレール:僕も勝ちたいと思っているよ。一番上に立つために全力を尽くす。それが一番の目標だし、チーム全体も勝利にふさわしい働きをしてくれている。次のシルバーストンで勝てることを願っているし、全力で挑むつもりだ。

記者会見
Q:おめでとう、ランド。今日の勝利で一番うれしかった瞬間は?
ランド・ノリス:やっぱり、チェッカーフラッグを受けた瞬間だね。それが一番良かった。でもその前にも、特にオスカーとのバトルは楽しかった。第1スティントでは接近戦もあったし、すごく良いバトルができた。ターン1からターン3まで、ずっとミラーを見ていた感じで、ストレスはあったけど本当に面白かった。その後のレースは、ギャップを広げることもできなかったし、オスカーがずっと迫ってきていたから、気を抜けなかったけど、うまくマネジメントできたレースだったと思う。
Q:今日のように、長時間にわたってオスカーとホイール・トゥ・ホイールで戦ったのは初めてだと思うけど、彼について新たに分かったことはあった?
ノリス:いや、特にはないよ。僕たちはすでにいくつかのバトルを経験しているしね。確かに、今日のように長く続いたことはなかったかもしれないけど、お互いがどんなスタイルでレースするかは理解していた。僕たちはハードに、でもフェアに戦いたいと思っている。それはお互いに共有している価値観だよ。もちろん、モントリオールでの件は水に流す必要があったし、僕自身もう過去のこととして受け入れている。あれは起きてほしくなかったことだけど、今日はちゃんとしたバトルができて良かった。限界まで攻める場面もあったけど、アンドレア(ステラ)やピットウォールが冷や汗をかくようなことはなかったと思う。
Q:今日のレースはとてもハイペースだったけど、全スティントでプッシュしていた?
ノリス:うん、特に第1スティントはね。レースが始まって10周くらいの時点で、オスカーとのギャップはもう5秒くらいになっていたと思う。その時点でピットウインドウに入れるか疑問だったし、「このままだとタイヤもたないな」と思った。でもオスカーもプッシュしていたし、明らかに今日はフェラーリとは戦っていなかった。前だけを見ていた感じだよ。あと、最初のスティントではバッテリーの回収がうまくいかなくて、それが戦略的に厄介だった。ピットストップの後は、ようやくバッテリーをしっかり回収できて、少し余裕が持てたかな。
Q:シルバーストンは君のホームグランプリだし、今回のアップグレードが高速コーナーにも合っているなら期待が持てるんじゃない?
ノリス:ここでの強さは高速コーナーにあると思っているから、来週も同じような傾向が出ればいいなと思っている。でもレイアウトは全然違うし、過信は禁物だよ。今日のアップグレードがちゃんと機能してくれたのは本当に良かったし、それはMTC(マクラーレン・テクノロジー・センター)で頑張ってくれたみんなのおかげだ。開発にも時間がかかったし、ようやくクルマに載せられる状態になったからね。期待通りの効果が出たし、チームも喜んでると思う。僕にとっても、マクラーレンにとっても、シルバーストンは1年で一番のレースだと思っている。僕自身のグランドスタンドもあるし、ファンのみんなが応援してくれるのが本当に楽しみなんだ。
Q:ありがとう。そしておめでとう。次はオスカー。ランドとのバトルについて、彼から学んだことや、その接近戦の感触は?
オスカー・ピアストリ:うん、これまでもいくつかバトルはしてきたけど、今日みたいに長く続いたのは珍しかったね。すごくタフなバトルだったよ。限界ギリギリの場面もあって、自分でもちょっと攻めすぎたかなという瞬間もあった。でも、F1で勝利を争うっていうのはそういうことだし、簡単なものじゃない。1回目のピットストップのあと、ランドに少しギャップを与えてしまったのは正解じゃなかったかもしれないけど、最初の20周は本当に白熱したよ。楽しかった。
Q:なぜランドより4周遅れてピットインしたの?
ピアストリ:あの状況では自分が2番手でピットすることは分かってたんだ。問題は、DRS圏外に出ると、そこから1秒以内に戻るのがすごく難しいっていうこと。過去にもそれで苦しんだ経験があるから、少し違う作戦を試してみたかった。タイヤを新しめにして終盤に勝負する、そんな感じ。でも思ったほど効果は出なかった。あとでまた見直してみるよ。少なくともあのときは、どうせ遅れるなら違う作戦を取ってみようと思ったんだ。
Q:オスカーとのバトルは見応えがありました。レース序盤でシャルルをターン1で抜いたのは、どれくらい重要な瞬間だった?
ピアストリ:あれは大きかったね。あのおかげでスタートからDRS圏内にとどまれたし、このサーキットではDRSが非常に強力だから、それが序盤のバトルで助けになった。結果的に、あの時点でもうランドとの一騎打ちになるのが明らかになっていたから、あの瞬間はレースの鍵だったと思う。
Q:今日は2人のバトルだったけど、シルバーストンでも同じように2台の争いになると思う?
ピアストリ:そうなってほしいね。でも、どうなるかは分からない。カナダでは良いと思っていたのに実際はそうでもなかったし、今回は予想以上に良かった。だから、今回の結果には自信を持っていいと思うけど、次もどうなるかはまだ分からない。
Q:ありがとう、オスカー。ではシャルル、あなたに移りましょう。ここ4戦で3度目の表彰台です。今日のレースで重要だった場面は?
シャルル・ルクレール:うーん、あまり「重要だった場面」はなかったと思う。スタートはもう少しうまくやって、ランドの横に並べていれば少し違った展開になったかもしれない。でも3〜4周くらいの差しかなかったと思うし、結局は彼らのほうがペースが上だったから、前にいても維持は難しかったと思う。正直に言って、ターン1以降はずっと単独走行だったし、いくつかのマネジメントもしなければならなかった。あまり詳しくは言えないけど、「リフト・アンド・コースト(アクセルオフで燃費・冷却管理する走法)」はちょっとフラストレーションがたまったね。そのせいで第1スティントは少し代償を払ったけど、2回目以降のスティントはだいぶ良くなったよ。
Q:今回のアップグレードは1レース分走ってみて良い進化だったと思う?
ルクレール:間違いなく進歩したよ。そして、それが今回の表彰台につながったと思う。チームはできるだけ早く導入できるように必死に努力してくれたし、今も次のアップグレードを一刻も早く投入できるように全力で取り組んでくれている。それがさらに差を縮めてくれることを期待しているよ。マクラーレン、それからレッドブルやメルセデスが調子良い時には、まだ後ろにいるけど、少しずつ近づいていければと思う。
Q:今日のマクラーレンのペースには驚いた?
ルクレール:驚いたというより、「最初のスティントは自分たちのほうが悪かった」という感じかな。2回目、3回目のスティントでは悪くなかったと思う。でもレース中は自分のことで精一杯だったから、全員のラップタイムまでは見ていないんだ。終盤のギャップを見て、「あまり見たくない数字だな」と思ったけど、それが今の現実なんだと思う。残念ながら今季は開幕からずっとそのくらいの差がある。だから僕たちは相対的な進歩を目指しているし、今回のステップは間違いなく前進だった。次もまたステップアップできるよう願っている。
質疑応答:記者からの質問
Q:ランド、カナダの件を過去のものにしたいと話していたけど、今週末はすべてのセッションでトップタイムだったね。この週末は完璧なリカバリーになったと思う? 何かを証明できた?
ノリス:うん、自分にとってはすごく満足できる週末だったし、自信にもつながった。誰かに対して何かを証明したいわけじゃないけど、自分自身には証明したいことがある。今回はFP2以降すごく快適にクルマを操れたし、思い通りのパフォーマンスができた。やっとクリーンな週末を過ごせた感じかな。もちろん、こういう結果は簡単には得られないし、サーキット外でも以前より多くの作業をしている。シミュレーターだったり、自分のチームと一緒にだったり、あらゆる面で改善を目指して取り組んでいる。今回はその成果がすぐに表れたのが良かったし、これからも前進し続けたい。
Q:オスカー、ランドと同じタイミングでピットしていれば、勝てた可能性はあったと思う?
ピアストリ:それはまだ分からない。あとでちゃんと確認しないとね。さっきも言ったけど、僕はあの場面で2番手で入ることが確実だったし、そのままピットしても少し時間を失うと思っていた。過去にDRS圏外に出てしまって戻れなかった経験があって、あれはもう繰り返したくなかった。だから、タイヤを新しくして終盤に勝負をかけるのが良い作戦かもと思ったんだ。でもうまくいかなかったね。あとになればいろいろ言えるけど、あのときはそれがベストだと思っていたよ。
Q:ターン4の動きについて、チームは無線で「少しやりすぎだった」と言っていたけど、自分ではどう受け止めた?アンドレアも、ゴール直後に君がやりすぎたことを認めていたと言っていたけど。
ピアストリ:うん、チームの評価はもっともだと思うよ。あのときはロックアップして、ランドのリアにかなり近づいてしまった。ああいうのは確かに境界を越えかけていたと思う。たとえ何も言われなかったとしても、自分でも「これは繰り返しちゃいけないな」と思った場面だった。
Q:シャルル、金曜はかなり苦しんでいたけど、土曜にはペースが上がったように見えた。それはセッティング変更によるもの?
ルクレール:そうだね、マシンのセッティングを大きく変えたよ。FP1は走れなかったから、FP2は状況を把握することが主目的だった。FP3に向けて大きく方向性を変えて、ようやく自分たちの位置を再確認できたという感じ。FP3ではすぐにマシンの感触が良くなったし、レースでもロングランに悪い驚きはなかった。1回のセッションだけでマシンをしっかり仕上げられたのは、チームの素晴らしい仕事だったと思う。
Q:ランド、今日のレースでは無線でウィル(レースエンジニア)と細かくやり取りしていたけど、特定のコーナーでの助言を求めたりしていたね。これも最近取り組んでいる改善の一環?
ノリス:そういう面もあるけど、具体的には違うかもしれない。今回のはより一般的な改善の話かな。レースで勝つためにはこういう情報も必要になるんだ。無線なしで自分の感覚だけで走りたい気持ちもあるけど、後ろや前に速いドライバーがいるときに、必要なら助けを求めるのは全然問題ないと思ってる。自分の周りには優秀なエンジニアがいるし、彼らは僕より多くのデータを見ているからね。だから、少しでも速くなるための情報があれば、それを活用したいんだ。ただの合理的な判断だよ。
Q:ランド、シルバーストンでは14万人のファンが君を待っているし、グランドスタンドもある。それがプレッシャーになることはある?そして、それを有利に働かせたいと思う?オスカー、君は今チャンピオンシップ争いの当事者でもあるけど、イギリスのファンから何か特別なリアクションがあると感じてる?
ノリス:敵対的な反応は起こらないと思うよ。イギリスのファンは基本的にすごくオープンで、マクラーレンの両方のドライバーを応援してくれてるしね。僕自身には大きなプレッシャーは感じていないよ。もちろん、勝ちたい気持ちは一番強いけど、それがプレッシャーになるわけじゃない。むしろ、毎朝目覚めるのが楽しみになるような、ポジティブな刺激になっているよ。自分のグランドスタンドもあるし、応援してくれるファンがいるのは、やっぱり特別なことだと思う。すごく楽しみなんだ。今すぐにでも行きたい気分だけど、まずはちゃんと寝たい(笑)。
ピアストリ:特に心配してないよ。数年前はイギリスのファンが僕の名前をチャントしてくれたこともあったし、ちょっとびっくりしたよ(笑)。今年のファンは、全体的に僕たちに対してすごく優しいと思う。今日はフェルスタッペンのファンからのブーイングもなかったしね。それに、僕もマクラーレンというイギリスのチームで走っているから、パパイヤカラーが好きな人たちは2人とも応援してくれているはず。もちろんランドのファンのほうが多いとは思うけど、それは当然だし、全く問題ないよ。
Q:3人に質問です。レース中にまだ多くのトラックリミットによるラップタイム抹消が見られました。一方で、オーストリアGPは今後もカレンダーに残ることが決まっています。このサーキットは今のF1に適していると思いますか?
ノリス:驚いたよ、正直。ターン3くらいかな?でも、僕たちはただのミスでコース外に出てるだけなんだ。ロックアップしてはみ出したら、それだけで警告される。つまり、ミスしたことに対してペナルティを受けてるんだよね。
ルクレール:もう問題にはなっていないと思う。最近このサーキットに加えられた変更は良い方向に働いているし、以前のような問題はほとんどない。今日誰かがペナルティを受けたかは分からないけど、今のルールでも十分にペナルティとして機能しているよ。実際、コース外に出た時点でタイムを失うから、もうそれ以上の議論はいらないと思う。
ノリス:その通り。今はグラベルが主要なコーナーの外にあるから、コース外に出たとしてもタイムは稼げない。僕も今日は一度はみ出して、すごくタイムを失った。去年はオーバーテイクしようとして外に出て5秒ペナ食らったけど、ああいうのは正直ばかげてると思う。でも全体的には、数年前と比べて本当に良くなった。昔は200件くらいオフがあったけど、今日はたぶんゼロだよね。
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