2025年F1 オーストリアGP 予選:トップ3インタビュー&記者会見全文

予選後にはトップ3ドライバーがパルクフェルメでのインタビューに応じ、その後の記者会見ではマクラーレンの強さの理由や、フェラーリとレッドブルの現状、そしてシーズン後半に向けた展望が語られた。
パルクフェルメインタビュー
(インタビュアー:デビッド・クルサード)
Q:ランド・ノリス、非常に接戦が予想されるこのサーキットで、圧巻のラップでした。どのようにあのタイムを出したのでしょう?
ランド・ノリス:すごくいいラップだったのは確かだね。少しずつ積み重ねていった感じで、Q3の1回目の走行も良かったけど、あと少し詰められる場所があるのも分かってた。それをそのまま実行できたんだ。やろうと思ってたことがその通りに決まると、だいたいすごくいい結果になるんだよ。だから、今日はとても満足してる。今のところいい週末になってるし、この流れを続けられたらいいね。
Q:FP1に出られなかったにもかかわらず、それ以降は常にトップ。あなた自身より僕のほうが興奮してる気がするよ。今週末は何か新たな集中力を持って臨んでる?
ノリス:どうだろうね、もちろんすごくうれしいよ。でもシーズンは長いからね。特に予選で苦戦してきた分、今日みたいなラップを決められたのは自分としても嬉しかった。この週末ずっといいパフォーマンスができてるし、自信にもなる。でも明日は長いレースがあるし、これを何度も自分に証明していきたい。これがその始まりであってほしいね。
Q:素晴らしいラップだった。おめでとう!
ノリス:ありがとう!みんなありがとう!
Q:シャルル、カナダでは平均的な予選結果だったけど、今日はフロントロウ、2番手だ。満足している?
シャルル・ルクレール:とても満足してるよ。最後にフロントロウからスタートしたのはモナコだったと思うし、シーズンを通して厳しい展開が続いてた。でもチームはずっとプッシュし続けてくれた。今週末は新しいパーツを投入して、それが明らかに差を生んでくれた。特に今回は全体が接戦だったからね。ラップには満足してるし、週末としてもいいスタートが切れた。僕たちは普段、レースでのほうがクルマが強いから、マクラーレンにもっとプレッシャーをかけられるように頑張りたい。
Q:ランドとの差がコンマ5秒。どんなラップだったと思う?
ルクレール:まだ彼のラップは見てないけど、きっと信じられないくらい素晴らしいラップだったと思う。僕たちのクルマでは今のところそこまで出せないけど、もちろん彼の仕事は称賛されるべきだ。明日は何とか彼にプレッシャーをかけていくよ。
Q:オスカー、感情をあまり表に出さない君だけど、クルマを降りたとき少し落胆しているように見えた。何があった?
オスカー・ピアストリ:問題はそのラップをスタートすらできなかったことだよ。最後のコーナーでガスリーがスピンして、2回目のアタックを始められなかった。ランドは今週末ずっと速かったから、ポールを獲るのは簡単じゃなかったけど、前列には並べたと思う。チャンスがなかったのは残念だけど、3番手スタートからまだいいレースはできるはず。そういう日もあるよ。
Q:このサーキットはDRSが効くから、まだまだチャンスはあるね。
ピアストリ:もちろん。マシンのペースは今週ずっと良かった。フェラーリも意外と良かったけど、まだ僕たちにもチャンスがある。3位で終わるつもりはないよ。
記者会見
Q:Q3の1回目でトップタイムを出しましたが、最後のラップは少しリラックスして挑めましたか?
ランド・ノリス:いや、全然そんなことはなかったよ。フェラーリやシャルルはすぐ後ろにいたしね。予選を通して他のマシンとのギャップは予想以上に大きかったけど、FP3ではそれほどでもなかったし、予選に入ってから僕たちは一段上のペースがあったんだと思う。ただ、左隣にいる彼(ピアストリ)も速いからね。Q3では彼も強いラップを決めてくると分かってたから、プレッシャーは常にあったし、改善できるポイントもあった。ターン1、3、4を確実に決めて、高速区間で少しずつプッシュを増やしたんだ。
Q:ここ数戦は予選で苦戦していましたが、今回のポールはどれほど満足感がありますか?
ノリス:とても満足してる。でも大事なのは一貫性だからね。誰だって1戦だけヒーローになることはできる。これは進歩の証だし、今日の仕事には満足してる。でもこれで過去のことが帳消しになるわけじゃない。今日はやるべきことをやった、それが重要だった。だから満足してるし、必要なときにきちんとまとめられたことがうれしいよ。
Q:フリー走行から速さを見せていましたが、決勝に向けてどれだけ自信がありますか?
ノリス:かなり自信あるよ。まずは最高のポジションからスタートできる。FP2の最初の周回から速かったし、競争力はある。自分自身もマシンに対して快適さと自信を持ってる。それに今週末、今シーズン初めての本格的なアップグレードを投入したんだ。長く待っていたパーツだったし、今日の内容を見る限り、それが正しい方向に進んでいることは間違いない。特にここは実質8つのコーナーしかないサーキットだけど、効果が出ている。明日もいいレースができると信じてるよ。でも長いレースだし、何が起きるか分からないからね。
Q:シャルル、素晴らしい走りでした。フロントロウ獲得ですが、今回の結果はあなたにとってどのような意味を持ちますか?
シャルル・ルクレール:うれしいよ。今年はこれまで予選ではあまり強くなかったけど、レースでは結構いいパフォーマンスができてた。だから今回はフロントロウからスタートできるというだけでも、前にいるドライバーとの距離が少し縮まるし、いいことだね。もちろん、ランドのラップは特別なものだったはずだから、まだそこに届くには至っていないけど。とはいえ、僕たちは日曜のほうがペースがいい傾向があるから、それが希望につながると思ってる。
Q:今回アップグレードを導入しましたが、1周のパフォーマンスにどのような違いをもたらしましたか?
ルクレール:ランドを除けばP2につけられたわけだから、かなりの効果があったと言えると思うよ。このサーキットはギャップが非常に小さいからね。明らかに前進は感じられた。ただ、これは1つのトラックだけで判断すべきじゃない。他の特性を持つサーキットでも見極めていく必要がある。でも、今回期待していた数値的な効果は出ていたし、それはいいスタートだ。つまり、我々が正しい方向に向かって開発を進めているということだね。
Q:まだシーズンは長いですが、明日の勝利に挑戦する現実的な可能性はあると思いますか?
ルクレール:もちろん、できるだけランドたちにプレッシャーをかけたいと思ってる。オスカーはちょっと運がなかったけど、彼も後ろにいるし、まずは前を見て何ができるか探っていくつもりだ。
Q:オスカー、今日は「もしも」がつきまとう展開でしたか?
オスカー・ピアストリ:まあ、ある程度はね。予選を通して、あと1コンマの速さが足りない感覚があったけど、Q3の最後のアタックに出られなかったのはかなり悔しかった。そういうことは時々起きるものだけど、もっと順位を落としていてもおかしくなかった中で3番手に残れたのは良かったかな。ここはオーバーテイクできるサーキットだし、まだ上を目指して戦えると思う。
Q:ランドはFP2から絶好調でしたが、あなた自身はマクラーレンにどれくらい快適さを感じていましたか?
ピアストリ:かなり快適だったよ。FP1はちょっとバタバタしてたけど、練習走行の残りは良かったし、予選もまずまずだった。ただ、このサーキットって一見シンプルに見えるけど、実際にはすごく難しいんだ。多くのコーナーで出口にグラベルが待ち構えているし、ほんの数センチアペックスを外すだけでコンマ2秒簡単に失うこともある。だから、短い割にラップを完璧にまとめるのがすごく難しい。今日はそれが少し足りなかったね。悔しいけど、仕方ない。
Q:今週導入されたアップグレードについてどう感じていますか?
ピアストリ:運転しているときにはそこまで大きな違いは感じなかったけど、タイムシートを見るとしっかり成果は出てる。だから、それが一番大事なことだと思う。今週はペースがとても良かったから、それが明日も活かせるといいね。

記者からの質疑応答
Q:ランド、木曜に「マシンの感触を確かめるならこのサーキットが最適」と話していましたが、今日のQ3でそれを裏付けるような感触はありましたか? 今季のマクラーレンで最もフィーリングが良かったレースですか? そしてそれがQ3にどう影響しましたか?
ランド・ノリス:外から見てもある程度はっきりしてたと思うし、中にいる僕の感覚とも一致してた。マシンはとても強く感じられたし、明らかに速かった。僕たちが弱いと予想していた高速コーナーで、今週末はむしろそこが強みになっていた。
もちろんまだ難しいところもあるけど、全体的には、僕にとっては今年の予選で一番うまくいった内容だった。すべてのラップで安定していて、ミスも少しあったけど、ラップを失うようなものじゃなくて、せいぜいコンマ1秒、もしくはそれ以下。特にQ3でしっかり決められたのは今季ベストのラップだったと思う。モナコのラップよりも、もしかしたら内容は良かったかもしれない。モナコの方が見ていて面白かったかもしれないけど、今回のほうが完成度は高かった。
それはマシンの変化による部分もあるし、アップグレードの影響かどうかは正確には言えないけど、全体的に以前より自分に合ってる感触があったのは確かで、それが今日みたいな走りにつながった。だから自分の中でも気持ちの整理がついたというか、こういう感触があると、やっぱりいい走りができるんだって確認できた。とはいえまだ完璧じゃない。今週末が良かったからといって、あと12~13戦もある中で同じことを繰り返していかないとね。
Q:オスカー、さきほど「FP1は少し混乱していたけど、それ以外は順調だった」と言っていましたが、ランドと比較して自分がタイムを失っているパターンに何か気づいた点はありましたか? それともランドがこのサーキットで特別な速さを見せたというだけ?
オスカー・ピアストリ:正直、セッションごとにちょっと変わってたんだよね。週末の初めに弱かったコーナーは徐々に良くなったし、逆に序盤で良かったところが後になると少し苦戦したりして、常に同じ差が出ていたわけじゃなかった。
このサーキットはラップを完璧にまとめるのが難しくて、それが今日は少し差になったかもしれない。Q3の1回目はちょっとラップが乱れたし、2回目はアタックできなかった。だから今日はもっと引き出せるポテンシャルがあったと思うけど、それを示すことはできなかったという感じかな。
Q:ランド、さきほど話していた「必要なフィーリングが得られたときはより良いパフォーマンスができる」という点について、これは自分の取り組みの成果だと思いますか? それともフロントの感触などマシン側の改善によるものですか?
ノリス:どちらもあると思う。割合までは言えないけど、週の初めにチームと話したときにも「自分はもっとできる」と言ってた。どんなマシンでもしっかり仕事をするのが自分の役目だとは思ってるけど、やっぱり戦ってる相手がトップレベルだからこそ、マシンの感触もベストな状態じゃないと厳しいんだよね。
今回の週末はその感触がより得られていた。これはサーキット特性によるところもあると思うし、マシンだけの要因ではない。今季もいくつかのサーキットでは快適に感じた場所もあった。
たとえばカナダではペースは良かったのに、自分の判断ミスで結果につながらなかった。あれは感触の問題じゃなくて、自分のミスだった。だからマシンだけのせいにするつもりはないし、責任を持って取り組んでる。でも、必要な感触がちゃんと得られたときに、しっかり結果を出せるというのは自分にとっても大きな収穫だよ。
Q:シャルル、今週末アップグレードを導入してフロントロウに戻ってきましたが、マクラーレンと比べてどこで差が出ていると感じますか? そして、次のシルバーストンでさらに差を詰める新パーツの投入予定はありますか?
シャルル・ルクレール:シルバーストンに向けたアップグレードの予定については、まだ確定していないからコメントできない。もちろんいくつか準備中ではあるけど、いつ投入されるかはまだ分からない。
今週末について言えば、高速コーナーでマクラーレンに対して遅れていると思う。これは事前に予想していた通りだった。でも、低速ではもっと差をつけられると思ってたから、そこは思ったほど悪くなかった。だから詳細はまだ分析中だけど、方向性としては悪くないと思ってる。
それに新しいパーツも持ち込んでるから、まだそれがマシンにどう影響しているのかを学んでいる段階だ。でも、今のところ予想していた通りの数値が出ているから、正しい方向に進んでると思ってる。
正直なところ、2番手という結果には満足してる。これまでの予選はP5かP6が精一杯だったし、モナコを除けばここまで前に出るのは久しぶりだった。だから速いクルマたちと最初から戦えるのはうれしいよ。
Q:ランドとオスカーの2人に質問です。昨日は「マックス・フェルスタッペンを軽視することはない」と話していましたが、今日のレッドブルの失速には驚きましたか? そしてシャルルが前に出たとはいえ、今やチャンピオン争いはマクラーレンの2人に絞られてきたという感触はありますか?
ノリス:これまで毎戦、マックスが僕たちの一番のライバルだった。今回は予選で少し後れをとったかもしれないけど、レースでは絶対に侮れない。シーズン全体を通しても同じ。レッドブルはアップグレードを入れてきたけど、それがうまくいかなかったのか、僕には分からない。
ただ、正直僕たちは彼らがもっと速いと思ってたし、実際週末を通して見ればそれなりに良いパフォーマンスをしてたと思う。Q3で何があったのかは分からないけど、まだシーズンは長いし、彼を外すことはできない。
もちろん、チームメイト同士で争っているのは事実だけど、マックスがリタイアでもしない限り、彼をタイトル争いから外すことはないよ。だから、みんなもう少し冷静になったほうがいいかもね。明日を見てみよう。
ピアストリ:僕も同じ意見だよ。今の時点ではマックスを除外するには早すぎると思う。今回は予選でちょっと意外な結果だったけど、フリー走行では彼も近いタイムを出してたしね。
もしかすると彼も黄旗の影響を受けたのかもしれない。いずれにしても、まだ判断するには早すぎるよ。
カテゴリー: F1 / F1オーストリアGP