アウディF1、エンジン圧縮比を巡る議論に強硬姿勢「例外は認められない」

問題となっているのは、圧縮比16.0:1という規定上限を、特定の条件下で実質的に上回ることが可能になるとされる設計思想だ。
技術的な検査は、現行規則では常温・エンジン分解状態で行われるが、その条件下では上限内に収まっている一方、実際の走行温度域では圧縮比が大きく上昇する可能性があると指摘されている。
こうした仕組みにより、エンジンの燃焼効率や出力面で有利が生まれるとされ、メルセデスやレッドブル・レーシングが関与しているのではないかとの憶測も広がっている。
一部では「規定どおり常温測定で適合していれば問題ない」との解釈もあるが、別の陣営は「いかなる条件下でも16.0:1を超えてはならない」という文言を重視し、絶対的な制限として適用すべきだと主張している。
アウディはFIAを信頼するが、判断の迅速さを要求
この論点について、アウディのテクニカルディレクターであるジェームス・キーも、2026年シーズン体制発表の場で見解を示した。
「これは非常に大きな影響を持つ問題だ。いつものことだが、我々はFIAが正しい判断を下すことを信頼しなければならない。新しいレギュレーションであり、何より公平な競技環境が必要だ」とキーは語った。
同様の認識は、アウディF1プロジェクトを率いるマッティア・ビノットも共有している。ビノットは、この手法が事実であれば、単なる出力向上にとどまらず、燃焼効率の改善によって燃料搭載量にも影響を及ぼすと指摘した。
「本当かどうかは分からない。現時点では、メルセデスが高温時により高い圧縮比を維持できるエンジンを設計したという噂があるだけだ」とビノットは述べた。
「しかし、それを証明するのは私の役割ではないし、知る立場にもない。すべてはFIAの手に委ねられている。ルールは重要であり、その適用も同様に重要だ。もし事実であれば、性能面でもラップタイムでも大きな差を生むことになる」と続けた。

「年内黙認」という妥協案を否定
議論の中では、この仕組みを持つパワーユニットに対し、シーズン終了まで使用を認め、改修を翌年に先送りする案も取り沙汰されている。しかしキーは、この考え方を強く否定した。
「もし誰かが巧妙なディフューザーを持ち込んで、それが正しくないと判断されたなら、他の誰も使えないのに、そのチームだけがシーズンを通して使い続けられるというのは筋が通らない。我々は決して受け入れない」とキーは語った。
「もしレギュレーションの精神を何らかの形で回避しているのであれば、それは管理されるべきだ。我々はFIAがそうすることを信じている。ホモロゲーションされたパワーユニットで、何も対抗できない明確な優位性を見続けるシーズンを、誰も望んでいない」と続けた。
1月22日の会合で新たな測定手法を模索
圧縮比問題は、1月22日に予定されている技術会合でも主要議題となる。この場では、当面の解釈だけでなく、将来的により実効性のある測定方法を構築することが目的とされている。
「明確な結論や妥協点が出るとは思っていない。この会合は、FIAとともに、実走行条件下で圧縮比を測定できる将来の方法をどう改善・開発するかを議論するためのものだ」とビノットは説明した。
「現在は、エンジンを分解した状態で常温測定を行っているため、チェックはシーズン終了時にしかできない。その結果、シーズンが終わるまで適合しているか分からない可能性がある。我々は、走行中にリアルタイムで圧縮比を測定できる手法を本気で模索している」と締めくくった。
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