アウディ 2026年のF1参戦に向けてビノットを総責任者に据えた組織再編

マッティア・ビノットは2024年夏に「最高執行責任者(COO)」および「最高技術責任者(CTO)」としてアウディに加入しており、今回の人事によりヒンウィル(スイス)とノイブルク・アン・デア・ドナウ(ドイツ)にある2つの開発拠点に加え、今後設立予定のイギリス技術センターでの開発活動も統括する立場となる。
アウディは現在、F1チーム「キック・ザウバー(Kick Sauber)」を段階的に買収しており、2026年には正式にワークスチームとしてF1に参戦する予定だ。今回の組織再編について同社は、「ビノットのリーダーシップの下で、マシンシャシーとパワーユニットの開発活動の緊密な連携を図ることを目的としている」と述べている。

一方で新たにCOOとして加わったクリスチャン・フォワイエは、2025年5月1日付で「アウディ・フォーミュラ・レーシングGmbH(AFR)」の経営陣に加わり、オペレーション全般を担当する。AFRはF1ハイブリッドパワーユニットの開発を担う法人であり、フォワイエはベイカー前CEOが担当していた業務の多くを引き継ぐことになる。
フォワイエは過去18年間にわたり、F1チームおよび自動車メーカーにおいて運営およびプロジェクト管理の経験を積んできたドイツ人エンジニアであり、プロセス設計や組織構造の構築における専門家として知られている。
アウディAG取締役会会長のゲルノート・デールナー氏は、以下のようにコメントしている。
「アダム・ベイカー氏には、これまでの多大な貢献に感謝申し上げたい。彼はアウディのF1参戦に向けた戦略的ビジョンの構築において決定的な役割を果たし、ノイブルクにおけるパワーユニット開発の立ち上げを成功させた」
「一方で、クリスチャン・フォワイエ氏の就任により、F1におけるパワートレイン開発のプロセス構築に精通した実績ある人物を迎えることができた。彼の経験は、我々が求めるシナジーとスピードの実現に大いに寄与するだろう。」

なお、今回の組織再編に伴い、これまでのCEO職は廃止される。また、パワーユニット開発の責任者であるシュテファン・ドライヤーは、引き続きノイブルク拠点でのCTOを務めつつ、AFR経営陣のスポークスパーソンという新たな役割も担うこととなった。
さらに、2025年4月にはジョナサン・ウィートリーが「ステークF1チーム・キック・ザウバー」のチーム代表およびザウバー・モータースポーツAGの経営陣スポークスパーソンとして着任。アウディF1チームのレースオペレーションを統括する役割を果たしている。
このようにアウディは、F1参戦に向けて技術開発・組織運営両面で体制を着実に整えており、2026年のデビューに向けた準備が本格化している。
カテゴリー: F1 / アウディ / ザウバーF1チーム