アストンマーティンF1 AMR26Bに予備シャシーなし 「クラッシュしたら旧仕様」

マイク・クラック(サーキット・トラックサイド責任者)は、新仕様のスペアシャシーは用意されておらず、大きなクラッシュが発生した場合は旧型AMR26のシャシーを使用せざるを得ないと明かした。
新型マシンは2台とも最新仕様でブダペスト入りした一方、スペアシャシーは従来仕様のままという異例の体制となる。アストンマーティンF1はシーズン後半の巻き返しを懸けてAMR26Bを投入するが、その初陣は限られた準備期間の中で迎えることになる。
AMR26Bにスペアシャシーなし 開発スケジュールが影響
クラックは、AMR26B用のsペアシャシーが間に合わなかった理由について、開発日程の制約を挙げた。
「スペアシャシー? もちろん常に必要だ。しかし、残された時間を考えれば、スペアシャシーは当然ながら旧仕様になる」
つまり、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールのレースカー2台はどちらもAMR26B仕様だが、万一大きな事故でシャシー交換が必要になれば、旧型AMR26へ戻さなければならない。
現地では、新型車両が搬入された直後から組み立て作業が進められており、3台目となる新仕様シャシーを製作する余裕はなかったという。
それでもクラックは準備状況に自信を示した。
「計画どおりに作業を進めてきたし、すべて準備できると確信している。2台とも同じ仕様だ」
軽量化と空力改善がAMR26Bの核
クラックは、今回のアップデートの狙いについて「空力性能の向上」と「軽量化」が中心であると説明した。
「今回の進化は、大幅な空力性能の改善と軽量化が柱だ。それが今回のプロジェクトの中心となっている」
これは、エイドリアン・ニューウェイが以前説明していた内容とも一致する。AMR26Bでは新型ノーズを採用し、空力面を全面的に見直すとともに、シャシーやギアボックス構造の軽量化も実施。そのため新たなクラッシュテストと再ホモロゲーションも必要になった。
クラックは、アップデートの目的をこう表現した。
「これを投入する理由は、再び戦えるようになるためだ。ここ数戦は戦えていなかった。その状態から抜け出したい」

まずはデータ収集が最優先
AMR26Bは実戦投入まで一度もサーキットを走っておらず、ハンガロリンクでのフリー走行が事実上のシェイクダウンとなる。
「冬季テストのように何周も走って比較できる機会はない。そのため、データの質とシミュレーション解析の精度が非常に重要になる」
そのため、初日から性能を引き出せるとは考えていない。
「金曜日最初の走行からすべてを引き出せるとは思っていない。まずはこのマシンを理解し、最大限に活用する方法を学ばなければならない」
また、サスペンションの車高やアライメントなど基礎的なセットアップ評価も、まずは基本データを収集してから本格的に進める考えを示した。
ホンダPUとの最適化も重要課題
クラックは、新シャシー導入によってパワーユニット側のセッティングにも影響が及ぶことを認めた。
「コーナリングスピードが上がれば、エネルギーマネジメントやパワーユニットのキャリブレーションにも影響する」
これは、ホンダF1の折原慎太郎チーフエンジニアが説明した内容とも一致する。ザントフォールトで導入予定の新パワーユニットを待たずとも、現行ユニットでもエネルギーマネジメントやアクセル制御の最適化が必要になるという。
クラックは、現代F1ではシャシーとパワーユニットを切り離して考えられないと強調した。
「シャシー性能とパワーユニット性能は密接に結び付いている。以前のように、それぞれを独立して評価することはもはやできない」
アストンマーティンF1は、シーズン前半の不振を覆す切り札としてAMR26Bに大きな期待を寄せる。一方で、新仕様のスペアシャシーを持たないというリスクを抱えながら臨むハンガリーGPは、チームにとって性能だけでなく信頼性も試される重要な週末となる。
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