ジェンソン・バトン F1初勝利20周年「この時間が永遠に続いてほしいと思った」

14番グリッドから逆転優勝を果たしたこのレースは、ホンダにとって約40年ぶりのワークス優勝となり、現在も同社のF1史を代表する名勝負として語り継がれている。
112戦目でつかんだ悲願のF1初優勝
それまで112戦にわたってF1初勝利に届かなかったジェンソン・バトンは、2004年にはBARホンダで10度の表彰台を獲得しながらも優勝にはあと一歩届かなかった。2005年も表彰台には上がったものの勝利は遠く、自身も「一生勝てないのではないか」と感じるほどだったという。
迎えた2006年ハンガリーGP。ハンガロリンクはバトンが「壁のないモナコ」と表現するほど得意とするサーキットであり、Honda RA106も高い競争力を備えていた。
しかし金曜日のフリー走行でエンジン交換を余儀なくされ、予選では4番手相当の速さを見せながらも10グリッド降格ペナルティを受け、14番手スタートとなった。
さらに決勝直前には豪雨がサーキットを襲い、各チームとも十分なウエットデータを持たないままレースに臨むという極めて難しいコンディションとなった。
変化する路面で発揮された真価
現在では2009年のワールドチャンピオンや通算15勝という実績から知られるバトンだが、その真価は変化するコンディションでこそ発揮された。
卓越したマシンコントロールとタイヤマネジメント、そして路面状況を読み取る能力を武器に、14番手スタートからわずか4周で7位、7周目には4位まで浮上した。
レース中盤にはセーフティカー導入時にあえてピットインしないという戦略を選択。さらに2度目のピットストップではタイヤ交換を見送り、中古ウエットタイヤのまま走り続ける大胆な判断が奏功した。
首位を走っていたフェルナンド・アロンソはドライタイヤへの交換後、ホイール装着トラブルによってリタイア。これによりバトンがトップへ浮上すると、その後は圧倒的なペースで後続との差を20秒以上まで広げた。
「この時間が永遠に続いてほしかった」
初優勝へ向かう終盤について、バトンは今でも鮮明に覚えているという。
「よく『初優勝に向けてトップを走っているときは、時間が永遠のように感じる。マシンのちょっとした異音にも敏感になる』と言うけれど、僕にとっては最高だった。ただ、この時間が永遠に続いてほしいと思ったよ」
「自分がトップを走っていて、初めてのレースに勝とうとしていると実感したあの瞬間。それは本当に特別なものだった」
チェッカーフラッグを受けると、ホンダは1967年イタリアGP以来となるワークスチームでのF1優勝を達成。レース後、バトンは「14番手から追い上げて勝てるなんて、これ以上最高の勝ち方はないと思うよ」と喜びを語っていた。

20年経っても変わらないホンダとの絆
バトンは今回、ホンダとの歩みについて改めて振り返り、日本人スタッフへの敬意も口にした。
「これまでのキャリアの中で、僕自身にとって重要であり、同時にホンダにとっても大きな意味を持つ瞬間が数多くあった。だから、ホンダや日本の人々とのつながりはとても大きかったし、今でも強くそう感じているんだ」
さらに、日本のエンジニアたちが昼夜を問わず問題解決に取り組む姿勢を称賛し、初優勝の瞬間をこう振り返った。
「日本人の勤勉さには本当に驚かされる。彼らは自分自身のベストを引き出し、共に働くチームのベストを引き出すために人生を懸けている。だから最後に溢れ出る感情はとても純粋なものになる」
「ハンガリーで僕らが一緒に初勝利を挙げてフィニッシュラインを越えたとき、あんなにたくさんの大人の男たちが泣いているのを見たのは初めてだった。本当に感動的な瞬間だったよ」
20年が経った今も、2006年ハンガリーGPで挙げたホンダF1通算72勝目は、チームワークと忍耐、そして決して諦めない挑戦が生んだ歴史的勝利として、ホンダとジェンソン・バトンを結ぶ特別な一戦であり続けている。
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