アストンマーティン・ホンダF1 クラックが明かすアップデート開発の舞台裏
アストンマーティン・ホンダF1は、ハンガリーGPで大規模な空力アップデート、続くオランダGPでホンダ製パワーユニットの改良版投入を予定している。

その舞台裏では、新パーツの投入計画だけでなく、シルバーストンでのデータ収集や作業効率の改善など、アップデートを最大限機能させるための準備が着実に進められている。

イギリスGP後、サーキット責任者のマイク・クラックとホンダF1プロジェクトリーダーの折原慎太郎氏が一部メディアの取材に応じ、アップデート開発の考え方や新パワーユニット投入へ向けた取り組みについて語った。

アップデートは数か月前から準備が始まる
今季のアストンマーティンは、ハンガリーGPで大規模な空力アップデート、オランダGPではホンダ製パワーユニットの改良版投入を予定している。

一方で、フェラーリなどがシーズン中に小規模なアップデートを重ねていることについて問われると、クラックは各チームで開発方針そのものが異なると説明した。

「それは各チームの計画次第だ。最終的には、かなり前の段階で決定されている」

「我々は以前から、毎戦アップデートを投入する計画ではないと説明してきた。フェラーリの計画が違うのであれば、それは単に異なる戦略ということだ」

さらに、レースごとの結果を受けて翌週すぐに新パーツを投入できるわけではないと強調した。

「毎週新しいアップグレードを投入するのであれば、それは何か月も前から計画されていなければならない」

「『オーストリアでうまくいかなかったから、来週のシルバーストンには新しいアップデートを持っていこう』というようなことはできない」

クラックは、設計だけでなく製造や物流、さらに各サーキットの特性まで考慮した長期的な計画の中でアップデートは準備されていると説明した。

「すべては長期間にわたる計画に基づいている。物流や製造、各サーキットの技術的な要求など、多くの要素を考慮しなければならない」

「各チームにはそれぞれ独自の戦略があり、それぞれの制約の中で仕事をしている」

シルバーストンはアップデートへ向けた重要な学習の場
アストンマーティンはシルバーストンが苦戦するサーキットになることを事前に把握しており、今回の週末は結果だけでなく、データ収集や作業効率の改善にも重点を置いていた。

オーストリアGPで改善が見られたドライバビリティやシフトダウンのフィーリングについて問われると、クラックは改善に終わりはないと語る。

「そうした課題が完全に解決することはない。1000回シフトチェンジすれば、そのうち数回は理想通りではない場面が見つかる。トルクの受け渡しも同じだ。常に改善を続けていかなければならない」

さらに、シルバーストンでは高速レイアウトならではの課題が浮き彫りになったという。

「このサーキットは高速コーナーが多く、強いブレーキングが少ないため、ドライバビリティの問題は比較的出にくい。その代わり、今回はエネルギーマネジメントがより大きな課題になった」

「あるサーキットではエネルギー管理が課題になり、別のサーキットではドライバビリティが課題になることもある。時には両方同時に問題になる。これらは今後も改善を続けていかなければならない」

アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

折原慎太郎「新PU投入へ重要な経験になった」
ホンダF1プロジェクトリーダーの折原慎太郎氏も、今回の週末はオランダGPで投入予定の新パワーユニットへ向けた重要な準備になったと説明した。

アロンソは予選後、マシンの一貫性が改善されたと評価していたが、その背景について折原氏は次のように語った。

「その通りです。今週末は初日のフリー走行から、ドライバビリティやエネルギーマネジメントに関する調整が必要だと判断し、週末を通して最適化を進めました」

「その結果としてフェルナンドからポジティブなコメントを得られたことは非常に良い成果でした」

さらに、その成果は新パワーユニット投入時の作業にもつながるという。

「このコメントは私たちにとって非常に前向きなものです。新しいパワーユニットを投入する際には、データ解析とサーキットでの作業効率を高め、短期間で最適化しなければなりません」

「新しいパワーユニットには異なる特性があるため、データパラメータを素早く調整して性能を最大限引き出す必要があります。より効率的な作業方法を学び続けており、フェルナンドのコメントは、その改善が進んでいる証拠だと考えています」

タイヤやチーム運営にも多くの収穫
クラックはシルバーストンで得られた成果は、エネルギーマネジメントだけではないと振り返った。

「チーム内で異なる戦略を試したことで、エネルギー管理や防御の方法について多くを学ぶことができた」

「レース中の社内コミュニケーションについても改善すべき点が見つかった」

また、タイヤについても重要な知見を得られたという。

「今回はソフトタイヤをうまく機能させることが非常に難しかった。以前はより柔らかいコンパウンドでも結果を出せていたので、今後に向けた重要な学習材料になった」

ハンガリーGPで投入されるアップデートへの期待については、慎重な姿勢を崩さなかった。

「シミュレーションと実際のサーキットでは結果が違うことはよくある。まずはコースで走らせ、自分たちがどの位置にいるのか確認するしかない」

一方、折原氏はベルギーGPも新パワーユニット投入へ向けた重要なデータ収集の場になると位置付けている。

「スパはパワーユニットへの負荷が非常に大きく、運用も難しいサーキットです。そのような厳しい条件でデータを蓄積し、最適化を進められることは非常に重要です」

アストンマーティン・ホンダF1にとって、ハンガリーGPの空力アップデートとオランダGPでの新パワーユニット投入は、シーズン後半戦の巻き返しを左右する重要な節目となる。その裏では、数か月前から進められてきた開発計画に加え、シルバーストンや今後のベルギーGPで得られるデータを活用しながら、アップデートの効果を最大限引き出すための準備が続けられている。

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カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム / ホンダF1