エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティンF1再建へ「転機は近づいている」
アストンマーティンは2026年シーズン前半の苦戦について、その原因と再建計画を明らかにした。チーム代表兼マネージングテクニカルパートナーのエイドリアン・ニューウェイは、ハンガリーGPから投入予定の「Bスペック」マシンを再建の第一歩と位置付け、「困難な時期の終わりは近づいている」と語った。

シルバーストンの最新ファクトリーで国際メディアの取材に応じたニューウェイは、シーズン序盤の開発凍結を決断した理由や2027年を見据えた開発方針、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールへの説明、そしてローレンス・ストロール体制への信頼について詳しく語った。

2026年マシンの問題は開幕直後に判明
ニューウェイによると、アストンマーティンは開幕前テストの段階で深刻な問題を抱えていたという。

「状況はかなり早い段階で明らかになった。実際にはメルボルンのフリー走行3回目まで正常な状態で走らせることができなかった」

バーレーンテストから開幕戦までの短期間で問題が顕在化し、シーズン序盤は競争力を発揮できないことを悟ったと明かした。

「プレシーズンテストで発生した問題によって出遅れることになり、学習曲線も遅れてしまった。非常に早い段階で、序盤のレースでは競争力を持てないことが明らかになった」

開発停止という苦渋の決断
その結果、チームはシーズン前半の開発を事実上止めるという大胆な判断を下した。

「だからこそ痛みを伴う決断だったが、正しい判断だったと思っている。シーズン前半はマシン開発を進めないことを選んだ」

当然ながら、その間もライバルはアップデートを続けるため、差がさらに広がることは覚悟していたという。

「他チームが進化を続ける一方で、差は縮まるどころか広がっていくことは分かっていた。しかし、その犠牲によって組織を立て直し、新しいシステムを導入し、2026年マシンをより深く分析する時間を得られた」

ニューウェイは、自身がプロジェクトへ本格的に加わったのが2025年4月だったことにも触れ、「他チームより1年近く遅れた状態で2026年マシンの設計を始めなければならなかった」と説明した。

ハンガリーGPから再建が本格始動
アストンマーティンはハンガリーGPで大規模アップデート第一弾を投入し、その後ザントフォールトで第二弾を導入する予定だ。

「中期的な目標だったアップグレードパッケージは、ハンガリーで第一段階、ザントフォールトで第二段階を予定している」

「以前は中期計画だったものが、今ではほぼ短期目標になっている。そして長期的には2027年シーズンへ向けて、より強固な基盤を築くことが目的だ」

ニューウェイは、このアップデートは単なる今季用ではなく、2027年マシンの土台となる開発でもあることを示唆した。

「痛みはやがて過去のものになる」
苦戦が続く現状について、ニューウェイはチーム全体の責任として受け止めている。

「ここまでのパフォーマンスを見るのは、我々にとってもパートナーにとっても、そしてチーム全員にとって非常につらいことだ」

それでも将来には強い自信を示した。

「近いうちに、これは遠い過去の記憶になることを願っている。痛みを伴う記憶ではあるが、それでも過去のものになるはずだ」

フラットな組織体制を維持
ニューウェイは現在の組織体制についても説明した。

チーム代表という肩書きを持つ一方で、実際にはテクニカルディレクターのエンリコ・カルディレ、COOのポール・フィードラー、Chief People Officerのジャネット・マッギー、Managing Director兼CFOのロバート・イオワートらと共同でチーム運営を行っているという。

「我々の組織は非常にフラットだ。結果はまだ伴っていないが、この体制は維持すべきだと思っている」

一方で、その特徴を独特な表現で説明した。

「フラットな組織は社会主義にも少し似ている。そして社会主義が抱える問題は誰もが知っている。しかし重要なのは適切な人材を集め、うまく協力できる環境を作ることだ」

ニューウェイは現在、その環境が着実に整いつつあるとの認識を示した。

エイドリアン・ニューウェイとローレンス・ストロール(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

ローレンス・ストロールを高く評価
最新設備を備えたシルバーストンのテクノロジーキャンパスについても絶賛した。

「この建物は素晴らしい。必要なものはすべて揃っており、各部門のコミュニケーションもしやすい。風洞やシミュレーターも含め、本当に素晴らしい施設だ」

さらに、オーナーのローレンス・ストロールについては、かつてともに仕事をしたフランク・ウィリアムズやロン・デニスになぞらえて評価した。

「ローレンスは昔ながらのF1チームオーナーそのものだ。チーム運営に深く関わり、心血を注いでいる」

「私が以前一緒に仕事をしたフランク・ウィリアムズやロン・デニスのような存在だ。意思決定が速く、とても機動力がある」

アロンソとストロールには計画を直接説明
ニューウェイは、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールがここ数カ月味わってきたフラストレーションにも理解を示した。

「ドライバーはマシンの挙動を感じ取り、サーキットで起きていることも理解している。信頼性やパフォーマンス不足によって、彼らが非常にフラストレーションを感じてきたことは当然だ」

そのため約2週間前には両ドライバーへ時間をかけて今後の計画を説明したという。

「私はフェルナンドとランスに対し、何を進めているのか、このアップデートで何を目指しているのか、そして2027年へ向けた計画について詳しく説明した」

さらに、ドライバーの声をより積極的に取り入れる姿勢も強調した。

「彼らの意見を注意深く聞き、それを反映しようとしている」

ニューウェイは、これまで十分に説明する時間を取れなかったことがフラストレーションにつながった可能性も認めた。

「人は自分の話を聞いてもらえていないと感じれば不満を抱く。それは当然のことだ。我々も十分な時間を割いて説明できなかったのかもしれない」

そのうえで、新パッケージ投入まで残りわずかとなった現在の状況について前向きな見通しを示した。

「その時はもうすぐやって来る。彼らはこの困難な時期が終わるまでのカウントダウンを始めている。そして我々は大きく前進できることを期待している」

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カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム / ホンダF1