アストンマーティンF1に“最初の笑顔” 振動問題改善で「1000の問題が100に」

2026年シーズン開幕から苦しみ続けてきたアストンマーティンは、F1マイアミGPで今季初めて2台揃って完走。依然として下位争いから抜け出せてはいないものの、チーム内部では「状況が変わり始めた」という感触が生まれている。
“1000の問題”から“100の問題”へ
F1ジャーナリストのホルヘ・ペイロがスペイン『autonocion.com』で報じたところによると、アストンマーティン内部では現在の状況を象徴するような言葉が交わされているという。
「以前は1000の問題を抱えていたが、今は100の問題になった」
この表現は、2026年型マシン「AMR26」がどれほど深刻な状態に陥っていたかを物語っている。
シルバーストンとさくらの施設では、開幕直後からトラブル対応に追われ続けていた。記事では、チーム内部が“火消しを続けながら走っている状態”だったと表現されている。
オーストラリア、中国、日本GPではいずれも両車完走を果たせず、マイアミGPが初めて2台揃ってレース距離を走り切った週末となった。
しかし、チームが前向きに捉えているのは、単なる完走ではない。
振動問題の改善が大きな転機
開幕からAMR26を苦しめてきた最大の問題のひとつが、深刻な振動だった。
エイドリアン・ニューウェイが開幕前テスト段階から危機感を示していたこの問題は、ドライバーにとって危険なレベルに達していたとも伝えられている。
だが、F1日本GP後の4週間のブレイク期間が、状況を大きく変えた。
ホンダとアストンマーティンは共同で対策を進め、マイアミGPに改良を投入。ホンダF1の折原伸太郎は、マイアミのパドックで次のように語った。
「信頼性に関して問題なくレース距離を走り切ることができました。これは良い進歩です」
「次の焦点は、エネルギーマネジメントのためのデータシステムやドライバビリティの最適化です。我々のパワーユニットには、まだ改善の余地が多く残っています」
また、マイク・クラックもレース後に、ホンダとアストンマーティンが日本GP後に“非常に懸命に作業した”と説明。折原伸太郎も「持ち込んだ対策が機能していることを確認できました」と語っている。
記事によれば、振動対策はシャシー側とパワーユニット側の両面から進められたという。

シルバーストンとホンダの連携改善も効果
今回の改善は、単純なアップデートだけではない。
4週間のインターバル中、シルバーストンとさくらの施設では、内部プロセスやコミュニケーション体制そのものの見直しも進められたという。
特に記事では、「コミュニケーションには改善の余地があった」と指摘されている。
2026年から本格化したアストンマーティンとホンダのワークス体制は、立ち上げ初年度ということもあり、現場では予想以上に複雑な問題が噴出していたとみられる。
その意味で、今回の“振動改善”は単なる技術問題の解消ではなく、チーム体制がようやく機能し始めた兆候とも受け取れる。
アロンソ「本当の改善はまだ先」
もっとも、アストンマーティンが競争力を取り戻したわけではない。
フェルナンド・アロンソは、実質的なパフォーマンス改善については「夏休み後まで期待していない」と語っており、大きな空力アップグレードが投入されるのは数か月先になる見通しだ。
記事でも「今後数戦は厳しいものになる」と伝えられている。
それでも、少なくとも現在のアストンマーティンには“前進している感覚”がある。
マイアミではフェルナンド・アロンソが15位で完走し、キャデラックF1勢を上回るペースも示した。
まだグリッド後方に沈んでいる状況は変わらない。
だが、“レースを完走できるようになった”こと自体が、現在のアストンマーティンにとっては大きな意味を持つ。
そして内部では、ようやく「最悪の時期は脱したかもしれない」という空気が生まれ始めている。
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