アストンマーティン・ホンダF1低迷の理由 「半分はシャシー」BBC記者が指摘

これまでホンダ製パワーユニット(PU)への批判が集中してきたが、実態はそれほど単純ではない。ベンソンの分析が示しているのは、「PUかシャシーか」という二項対立ではなく、両者が絡み合う構造的な問題だ。
「半分以上はシャシー」発言の根拠
「アストンマーティンの遅れの半分以上はシャシーによるものだ」とベンソンは指摘する。
「この情報は日本GP週末に、非常に高いレベルで事情を知る人物から得たものだ」
さらにこの見方は、全チームが共有するGPSデータとも一致している。
「各チームがアクセスできるGPSデータからも、コースの異なる区間における速度差として確認できる」
実際、アストンマーティンは高速コーナーで顕著に遅く、加えて車重の問題も抱えている。予選では平均してトップから3.6秒遅れ、トップ10圏内との差は約2.3秒。その大部分がシャシーによるものだとされている。
それでも「ホンダだけの問題ではない」理由
ただしベンソンは、この問題を単純に切り分けることを否定する。
「車体とエンジンのどちらにどれだけの損失があるかを正確に分けることはできないし、おそらく不可能だ」
その理由は、PUの挙動そのものがマシンの運動性能に影響するためだ。
「エンジンの挙動はコーナリング性能にも影響を及ぼす」
さらに振動問題が、その複雑さを増している。
「その振動がエンジンに起因するのか、それともシャシーへの取り付け方によって増幅されているのかは明確ではない」
つまり問題は、どちらか一方ではなく、PUとシャシーの“組み合わせ”として発生している。

“メルセデスPUなら変わる”が示す構造
ベンソンは、現状を理解するための分かりやすい仮説も提示している。
「仮にこのマシンにメルセデスのエンジンを搭載すれば、アルピーヌやハースと同じ位置には来るだろう」
これは、シャシーが完全に機能していないわけではなく、一定のポテンシャルを持っていることを意味する。一方で現状は、そのポテンシャルがPUとの組み合わせによって十分に引き出されていない。
設計責任者エイドリアン・ニューウェイも、シャシーの不足を認めている。
「シャシー面ではQ3争いができるポテンシャルはあるが、現時点では不足している」
開発遅延が生んだ“未完成の統合”
この問題の背景には、マシン開発の遅れがある。
「ニューウェイ加入後、事実上ゼロからやり直す形となり、風洞投入も遅れたことで開発プログラムは圧縮された」とベンソンは説明する。
本来であればシャシーとPUは並行して最適化されるべきだが、アストンマーティンはその統合が不十分なままシーズンに突入した。
その結果、個別の性能以前に「組み合わせとして機能しない」状態に陥っている。
問われているのは“責任”ではなく完成度
ベンソンは最終的にこう強調する。
「重要なのは、どこにどれだけの遅れがあるかではない」
「アストンマーティンもホンダも、どちらもまだ競争力には遠く、多くの作業が必要な状態にある」
アストンマーティンF1の低迷は、単一の原因では説明できない。シャシーとPUが絡み合う“未完成のシステム”として捉える必要がある。
カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム / ホンダF1
