アストンマーティンF1が2026年にライバルのコピーを拒む理由「基準へ」

アストンマーティンの最高技術責任者エンリコ・カルディレは、フェラーリ時代の経験を踏まえながら、なぜF1ライバル、とりわけ古巣フェラーリのやり方を単純にコピーすることに慎重であるべきかを語った。
カルディレは昨年スクーデリア・フェラーリを離れ、8月からアストンマーティンでの業務を開始した。シルバーストンを拠点とする同チームでは、エイドリアン・ニューウェイを筆頭とする強力な技術陣の一員となっている。
カルディレはマラネロで19年間を過ごし、当初はスポーツカー部門に所属し、その後2016年にF1チームへと移った経歴を持つ。
50歳のカルディレの加入は、アストンマーティンの長期的なマスタープランの一環であり、ニューウェイは2026年型マシンAMR26の設計を担当すると同時に、チーム代表も務めることになる。
この再編により、これまでチーム代表を務めてきたアンディ・コーウェルは最高戦略責任者へと異動し、アストンマーティンのバックルーム体制は流動的な進化を続けている。
アストンマーティンの公式サイトでの社内インタビューにおいて、カルディレはフェラーリとの文化的な違い、そしてチームとして独自のアイデンティティを築きたいという考えを明かした。
「文化には違いがあると思う。目標は同じで、誰もが勝利に集中しているが、フェラーリのF1チームは非常に長く安定した歴史があり、確立されたプロセスやツールが存在している」
「一方で、ここではそれらをまだ構築している段階だ。新しいCoreWeave風洞、新しいシミュレーターがあり、これらのポテンシャルを最大限に引き出すために取り組む必要がある」
「同時に、無駄を排除したスリムな組織を作るため、社内の業務プロセスも整備していかなければならない」
「着任時にチームへ最初に伝えたメッセージのひとつが、我々自身のアイデンティティを見つけ、我々のビジョンで組織を形作る必要があるということだった。他からインスピレーションを得るのは問題ないが、別の場所で行われてきたやり方をそのままコピーするのは違う」
カルディレは、アストンマーティンがフェラーリ時代とは異なる独自の文化を持つべきだと強調している。

強みを基盤に弱点を克服するというアストンマーティンの道
ニューウェイはこれまで、チームが抜本的に改善すべき分野について率直な発言をしてきた。カルディレは、その課題への取り組みにおいて、ニューウェイ、コーウェル、そして共同オーナーのローレンス・ストロールが同じ方向を向いていると説明する。
「我々は、自分たちの強みを土台にしながら、弱点に取り組めるものを築く必要がある。我々は既存の基準のコピーではなく、基準そのものになりたい」
「誰かがどれほど成功していようとも、そのやり方を単純に真似することはできない。それはリーダーではなく、フォロワーになることを意味するからだ。それでは成功への道にはならない」
「これは一歩ずつ前進している進行中のプロジェクトだ。アンディ・コーウェル、エイドリアン・ニューウェイ、ローレンスと合意した明確なビジョンと計画があり、組織を改善するために何をすべきかははっきりしている」
アストンマーティンは2026年の新レギュレーション時代に向け、他チームの模倣ではなく、自らの思想と体制を武器にした独自路線での飛躍を目指している。
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