ニューウェイ 「失敗への恐怖がアストンマーティンF1マシン開発の原動力」

今年アストンに合流したニューウェイは、空力とパワーユニットの両面で大変革となる2026年新規則のマシン設計を主導しており、チームの変革期におけるプレッシャーと没入状態、そして設計哲学を語った。
ニューウェイを突き動かす“失敗への恐れ”
アストンマーティン公式サイトに掲載されたインタビューで、ニューウェイはこう告白した。
「モチベーションの一部は、失敗への恐怖なんだ」
「その恐怖を建設的に使う方法を学んできた。管理を誤ればミスにつながるが、うまく扱えば集中し、トンネルビジョンのような状態に入ることができる」
アストン加入後、彼は膨大な作業量の中で完全に設計に没頭しているという。
「この3~4か月、妻は僕が“デザイントランス”に入っていると文句を言うよ。左右も見えていないし、あまり社交的じゃないと言われる」
「限られた処理能力のすべてが、この締め切りの厳しい作業に費やされている。でもこの状態を長く続けるのは良くないし、少し自己中心的にも聞こえるね」
そしてニューウェイは、成功は個人ではなく“チーム”によるものだと強調した。
「結局のところ、すべてはチームでどう働くかなんだ」
変革期のアストンで進む2026年プロジェクト
アストンマーティンは2026年に向けて急速に規模拡大を進めており、技術部門は現在“定着期”に入っているとニューウェイは語る。
「正直に言えば、2026年の初号機がどうなるか、僕にはまったく分からない。我々はいま変革の真っ只中なんだ」
「チームは急速に大きくなった。今はその規模が落ち着きつつあり、みんなをうまく機能させなければならない」
「“こうなる”“こう成し遂げる”と言いたいタイプではない。満足は、チームとして前進できたと感じられたときに得られる。2026年にそれができれば、それが最初の合格点だ」
“会議より1対1” ニューウェイ流の創造性
ニューウェイは、自身の仕事の進め方についても語る。
「我々は約300人のエンジニアの集団だ。最も大事なのは協力であり、個々の才能よりも“どう協力するか”の方が重要だ」
「僕自身について言えば、今は1日の約50%を他のエンジニアと過ごしている。CADステーションの前で1対1で作業したり、会議に出たりね」
「正直に言えば、僕は1対1の方が好きだ。そこでブレインストームが生まれることが多い」
「大きな会議は、気をつけないと“手続き的な情報交換”だけで終わってしまい、新しいアイデアが生まれない。だから両方が必要だ」

迫る1月テスト、設計リリースとの時間との戦い
2026年マシンは1月末の非公開テストを控えており、主要コンポーネントの設計確定は待ったなしだ。
「ギアボックス、シャシー、前後サスペンションといった主要な構造部品を、1月のテストに間に合わせてリリースするため、我々は非常に厳しいプレッシャーの中にいる」
「実際のところ、CFDやビークルダイナミクス、設計コンセプトの作業にこれまで以上に多くの時間、50%ほどを費やしている」
「みんなの関与と合意がある状態で進めたいという思いは変わらない」
ニューウェイの“失敗への恐れ”は、これまでもF1最強マシンを次々と生み出してきた原動力だった。そしてその執念と集中力は、アストンマーティンの2026年プロジェクトでも大きな力となる。
アストンの未来を左右する“恐怖と執念”のデザイン哲学
アストンマーティンは2026年に向けて大規模な転換期を迎えており、ニューウェイの到来はチーム内部でも“歴史的転機”として捉えられている。彼の語る“恐怖”“没頭”“協働”の哲学は、急成長を続けるチームにとって貴重な指針となるはずだ。
2026年の新時代に向け、ニューウェイの執念はアストンマーティンをどこまで引き上げるのか。“恐怖”が再びF1を動かす瞬間が近づいている。
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