キャデラックF1 2026年マシンの年内ファイアアップ&1月初走行を宣言

チームプリンシパルのグレアム・ロードンはブラジルGPで取材に応じ、セルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスが駆るフェラーリ製PU搭載マシンについて「50日以内に初めてのファイアアップを行う」「初走行は1月に実施する」と説明した。
キャデラックF1、初走行は1月予定 “50日以内”に初ファイアアップ
キャデラックの初代F1マシンは、年明け前に初ファイアアップを済ませ、1月にプロモーションイベント規定に基づくシェイクダウン走行を行う計画だ。走行距離は最大200kmになる見込み。
ロードンは次のように語った。
「すべて順調に進んでいる。実際、50日以内に初めてエンジンに火を入れ、来年1月には初走行を行う。その後、1月末のバルセロナテストに向かう」
しかしその一方で、キャデラックが直面するスケジュールの厳しさも強調した。
「こうしたプロジェクトでは“時間”こそ最大の敵だ。2026年3月第1週のメルボルンでレースをするという期限は絶対に動かない。我々のエントリーが確定したのは2025年3月で、時間的な余裕は非常に小さい。その間に、マシンの設計、製造、人員登用、施設の整備など、すべてを完了させなければならない。本当に大きな挑戦だ」
2026年の大規模レギュレーション変更が“追い風”に?
キャデラックF1は、アンドレッティ体制から始まった長年のプロジェクトを経てFIAとF1から参戦承認を受けたものの、そのデビューは偶然にも2026年の大規模レギュレーション変更と重なった。ロードンはこれについて「メリットとデメリットがある」と語る。
「ルールが安定している年なら、目指すべき基準がはっきりしている。たとえば今なら、マクラーレンやフェラーリが速いと把握している。しかし2026年については誰も速さの予測ができない。基準がはっきりしないのは不利だが、それこそがスポーツであり、ファンが魅了される部分でもある」
「有利な点は、レギュレーション大変更により既存チームも同じく新たな挑戦を強いられることだ。どのチームも自分たちの立ち位置を読めていない。そこがエキサイティングなところで、我々のチャンスでもある」
キャデラックは経験豊富な人材を集めつつも、チームとしてはまだ結成から1年に満たない。ロードンはその点を次のように説明した。
「我々には合計で“数千年分”のF1経験が集まっているが、チームとして一緒に働いてきた期間は1年未満だ。まず最初の挑戦は、チームとして円滑に機能すること。そしてどんな位置からスタートしても、どれだけ速く改善できるかが重要になる」
「だからこそ、レギュレーション変更の年に参入できるメリットは大きいと考えている」

キャデラックF1へ追い風か、さらなる試練か?
キャデラックの参入は“時間との戦い”である一方、2026年の技術規則刷新が追い風になる可能性もある。既存チームが築いてきた優位性がリセットされ、勢力図が大きく変動する可能性が高いためだ。
特に以下の点がキャデラックの強みになる。
■ 規則変更により、全チームが“ゼロから”の開発となる
■ 既存チームとのギャップが小さくスタートできる
■ ペレス、ボッタスという経験豊富なドライバーを擁する
一方で、マシン製造・人員採用・ファクトリー構築を同時並行で進める負荷は莫大であり、初年度は信頼性確保に全リソースが割かれる可能性が高い。
それでも、ロードンの言う通り「どれだけ速く改善できるか」が参入初年度の鍵を握る。シェイクダウン → バルセロナ5日間テスト → メルボルン開幕戦という超タイトスケジュールの中で、キャデラックF1がどこまで戦闘力を引き上げられるか注目だ。
カテゴリー: F1 / キャデラックF1チーム / F1マシン
