エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティンF1で“フル稼働”の毎日

デザイン界の“巨匠”ニューウェイは、先日のイギリスGPで再びチャンピオンシップをリードするマクラーレンMCL39を視察する姿が目撃された。
66歳のニューウェイは、ウィリアムズ、マクラーレン、レッドブルといった名門チームで合計200勝超、ドライバーズおよびコンストラクターズタイトル計26冠に関与してきたF1史上最も成功した技術者である。
今年3月、シーズン開幕2週間前にアストンマーティンに「マネージング・テクニカル・パートナー」という新設ポストで電撃加入。現在はホンダやアラムコ、バルボリンらパートナーと共に、2026年の新レギュレーションに対応する初のマシン開発を指揮している。
ニューウェイは5月のモナコGPで初めてアストンマーティンの一員としてサーキットに姿を現し、その際にはオスカー・ピアストリのマシンを入念に観察。さらに今月初旬のイギリスGPでもマクラーレンのMCL39をじっくりと視察する姿が報じられた。
また、先週末に開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでは、アストンマーティンF1のレーシングスーツ姿で登場し、往年のF1マシンをドライブ。精力的な活動が続いている。

独F1-Insiderの報道によれば、ニューウェイは次のように語っている。
「最近ようやく1週末だけ休めた。でもそれ以外は、ほぼフル稼働だったよ」
「集中モードに入ると、周囲のことはほとんど見えなくなる。全ての“計算能力”は、速いマシンを作るという目標に向けて注がれる」
2026年に向けたアストンマーティンの新車(AMR26と見られる)について、現時点ではシーズン中に変更できない根幹部分の設計作業に集中しているという。
「いま取り組んでいるのは、フロント/リアサスペンションのレイアウト、燃料タンクの容量、ホイールベースといった基本設計だ」
「時間が足りないというのが一つ。加えて、我々のシミュレーションツールはまだ弱い面もある」
「だからこそ、できる限り正確な予測をしなければならない。シーズン中に調整可能なボディワークやウイング類で補うことは可能だ」
ニューウェイは今回のアストンマーティン加入を、1997年にマクラーレンへ移籍した当時の状況と重ねている。マクラーレンは彼の加入1年目(1997年)にコンストラクターズ4位だったが、翌1998年にはミカ・ハッキネンと共にチャンピオン獲得を果たした。
「当時も翌年に大きなレギュレーション変更を控えていた。今ほど複雑ではなかったが、プレッシャーはあった」
「今回のレギュレーションを初めて見たときの第一印象は『ああ、自由度がまるでない』だった」
「でも細部を見ていけば、ある程度の柔軟性があることも分かってくる」
「とはいえ、F1ではいつもそうだが、3〜4年も経てば各チームの設計は似通ってくるものだ」
アストンマーティンは、ニューウェイの加入により2026年以降のタイトル争いに本格参戦すると広く予想されている。彼の手腕が再びチームを頂点へと導くことができるか、注目が集まる。
カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム