アストンマーティンF1 新チーム代表が推進する「効率化のビジョン」
アンディ・コーウェルは10月にマーティン・ウィットマーシュの後任としてCEOに就任し、チームオーナーのローレンス・ストロールが抱くアストンマーティンをチャンピオンシップで優勝できるチームに変えるというビジョンを実現するという任務を託された。
2024年の期待外れのシーズンを終えた後、アンディ・コーウェルはアストンマーティンF1チームのリーダーシップ体制を一新し、チームの空力、エンジニアリング、パフォーマンス部門をトラックサイドとファクトリーに分離した。
チーフテクニカルオフィサーのエンリコ・カルディレがファクトリーベースの部門を管理し、マイク・クラックがトラックサイドチームを率いる。クラックはチーフトラックサイドオフィサーという新しい役職に就く。
両名は、先週発表された組織変更の中でチーム代表の任を引き受けたコーウェルに報告することになる。
アストンマーティンはF1チームのリーダーシップに変更を加えた。アンディ・コーウェルはF1でタイトルを獲得することの意味を理解しており、2013年からメルセデスAMG HPPのマネージングディレクターとして、2014年から2020年にかけてシルバーアローが2連覇を達成するのに大きく貢献した。
10月にアストンマーティンに入社した際、アンディ・コーウェルは明確に定義された役割が成功の鍵であると語った。
「少し時間を取って振り返ってみると、自分が何に興味を持っているかがわかる。私の場合は効率だ」と、コーウェルはメディアに語った。
「私が嫌うのは時間の無駄遣いだ。だから、組織として効率が悪いと、私は不機嫌になる」
「だから、私は4年間の離職期間に他の業界や他のトピックにも同じアプローチを適用してきた」
「アストンマーティンでも同じことを試してみようと思っている。空力効率を検討する」
「組織として、シルバーストーンの900人のスタッフがうまく組織化され、彼らの1日が効率的に過ごせるようにするにはどうすればいいか？」
「責任の重複があると私は不機嫌になる。さらに、ギャップがありコミュニケーションが不足しているともっと不機嫌になる」
「900人のスタッフを効率的に働かせて、ひとつの頭脳のように機能させるにはどうすればいいのか？ 報告書の作成やミーティングなど、私はあまりそういったことが得意ではない」
マイク・クラックは、アストンマーティンのトラックサイドチームを率いる役割を改めた。アストンマーティンは、技術リーダーたちをどのように管理していくのだろうか？
アンディ・コーウェルの組織再編により、クラックとカルディレには明確に定義された2つの役割が与えられた。
カルディレはシルバーストーンで最高のF1マシンを開発する責任者となり、クラックはコース上でのマシンから最大限の成果を引き出す責任者となる。
また、両名ともコーウェルから責任を問われることは明らかだが、テクニカルディレクターのエイドリアン・ニューウェイが3月に着任予定であることから、この4人目の人物が技術的なパズルにどのように組み込まれるのか、また、アストンマーティンでは「料理人が多すぎて台所が混乱する」という事態が起こるのか？
この潜在的な難題に対するコーウェルの対案は、メルセデスでの経験である。
「メルセデス・グランプリには、印象的なテクニカルディレクターたちが集結し、2014年までうまく機能していたと記憶している」とコーウェルは語った。
しかし、注目すべきは、トト・ヴォルフ、パディ・ロウ、ロス・ブラウンからなるリーダーシップチームが、2013年末にロウがメルセデスに加わった数か月後に、3人から2人になったことだ。
エイドリアン・ニューウェイが3月にアストンマーティンのリーダーシップチームに加わる。アストンマーティンでは「膨大な量の作業」が残っている - コーウェル
アストンマーティンでは、2026年のルール変更に先駆け、新たなリーダーシップ体制と新ファクトリー、そして風洞が完成しつつある。
2026年は、アストンマーティンがホンダエンジンを搭載するワークスチームとなる年であり、組織内では「来年こそが成功の時」という声が数多く聞かれる。
しかし、コーウェルはアストンマーティンを勝者にするためには「膨大な量の作業」が必要であることを認めている。
「我々はかなり若い組織だ」とコーウェルは語る。
「ジョーダン時代までさかのぼっても、それは20年ほど前のことだが、トップチームを目指し、そのレベルの施設やリソースを活用して運営するチームへと変化したのはごく最近のことだ」
「やるべきことはたくさんある。独自の風洞や、それを行うために必要なすべての設備を整えること、2026年のホンダ製パワーユニットに搭載するギアボックスの製造、シミュレーションツールの開発、そしてそれらをクラス最高のものにすることなど、やるべきことは山ほどある」
「各リーダーがそれらの大きな課題の1つを受け持ち、それに集中することができれば、私たちはより早く前進できるでしょう」
アストンマーティン成功の鍵は組織改革
アストンマーティンを成功に導く方法について、コーウェルは組織とリーダーシップについて繰り返し言及した。
彼がアストンマーティンのCEOに就任した際には、今まさに実行に移された経営陣の体制変更こそが、アストンマーティンの目標達成の鍵であると確信していたことが明らかだった。
「私がしたいのは、前進するために役立つと私が考える組織改革を行うことだ。そうすれば、オフィススペースや机、椅子、製図板が用意されるだけでなく、彼らの名前が付けられた体制も整うでしょう」
「だから私の野望は、彼らがファクトリーで働く初日が、振り返りや変化のための日ではなく、実働日となることだ。それがCEOとしての私の役割だと考えている」
2024年は、多くの指標から見てアストンマーティンにとっては後退の年だったが、最も重要なのはポイント獲得数で、前年より186ポイントも減少した。
アストンマーティンは2024年のF1で苦戦した。「現状には失望している」とコーウェルは昨年語り、アストンマーティン内の誰もが、あらゆる分野で改善が必要であることを認識していると説明した。
「誰もがそうだ。我々が偉業を成し遂げていると幸せなバブルの中に生きている人には、私はまだ出会っていない」
「改善が必要な部分は至る所にある。ビジネスにおいて、私に『完璧だ。チャンピオンシップを勝ち取る準備ができている』と自信を持って言える分野はひとつもない」
「あらゆる分野で、『ああ、これならできる。あれならもっと良くなる。これならやりたい』と言っている」
「これが、我々が素晴らしいと思う場所に到達するためのロードマップだ。だから、まだ完璧と言える分野はひとつもないし、おそらく完璧に到達することはないだろう。なぜなら、ビジネスのあらゆる部門を改善するより良い方法が常に考え出されるからだ」
「私の仕事はチームを作ることだ。チームでは、誰もが自分の役割を理解している。ピッチ上の位置を把握し、私の仕事は、各選手がどうすれば良くなるかを話し合うことだ」
「指示するのではなく、何かを行い、そこから学び、新しいアイデアを考え、またやり直すという、高い成果を生み出す雰囲気を浸透させることだ」
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