アストンマーティン F1王者アロンソの要望で誕生「ヴァリアント」を発表
アストンマーティンは、公道仕様でありながらトラック走行を強く意識したスペシャル・エディション、ヴァリアント(Valiant)を発表。アストンマーティンのビスポーク・サービスであるQ by Aston Martinが生み出す類いまれなモデルの系譜に新たに加わる、極めて高い希少性、存在感、能力を誇るヴァリアントは、最高出力745PSの5.2リッターV12ツインターボエンジンに6速マニュアル・トランスミッションを組み合わせ、純粋なドライバーズカーにかけるアストンマーティンの献身を体現している。全世界わずか38台のみの限定生産で、グローバルの販売割り当ては既に決定している。
ヴァリアントは、アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームのドライバーであるフェルナンド・アロンソの「軽量で過激さを増した、レーシングカーの要素を取り入れたValourが欲しい」という個人的な依頼をきっかけに生まれた。この依頼と、アロンソの23年に及ぶF1のキャリアと限界走行への情熱に触発され、Q by Aston Martinのエキスパートたちの入念な設計と製作による厳格に台数を限定してヴァリアントが誕生した。究極のビスポーク・パーソナライゼーションを目指すQ by Aston Martinは、きめ細かいキュレーションのヴァリアントやValourなどのスペシャル・エディションを手掛けるほか、Victorのように完全に1台のみのワンオフモデルのスポーツカーの製作にも対応している。
ヴァリアントは、究極のハイパーカーであるヴァルキリー(Valkyrie)、ブランドで最もフォーカスされたスポーツカーであるヴァンテージ(Vantag)eとその“スピードのブラザー”と称されたVantage GT3レーシングカー、そしてもちろん近日発売予定のミッドエンジン・スーパーカーであるヴァルハラ(Valhalla)といった、公道とサーキットの両方で真のドライビング・インテンシティを提供し続けてきたアストンマーティンの系譜を色濃く受け継いでいる。ヴァーラー(Valour)とヴァリアントはいずれもブランドの象徴的な伝統からインスピレーションを得てデザインされている一方で、アストンマーティンの現代的なパフォーマンスの未来に確固たる姿勢で取り組み、クラスをリードするパワーやドライビング・ダイナミクス、最先端テクノロジーを提供して真のドライビング愛好家を間違いなく魅了する。
アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ・1チームのドライバーであるフェルナンド・アロンソは、「ヴァーラーは、アストンマーティンの110周年を華々しく祝うものであると同時に私を奮い立たせ、サーキットを重視しながらもオンロードでもスリリングなドライビングが楽しめるようなレーシングカーにインスパイアされたより過激なバージョンを作りたいと思わせてくれた。ヴァリアントは、限界走行に対する私の情熱から生まれたもので、デザインと技術仕様の両方の観点でQ by Aston Martinチームと密接に協力しながら、楽しむようにして協同した。傑作が誕生したと確信している」と語った。
野性味あるV12エンジンには過ぎ去りし時代の荒々しいスタイルと猛烈なパフォーマンスを残し、華麗なデザインには最先端の現代的なエンジニアリングと軽量素材を取り入れている。この2つが融合したヴァリアントは、パフォーマンスと反応の限界を押し広げ、アストンマーティンの至極のドライバーズカーをさらに進化させ、激化させ、革新した。レーストラックでは本領を発揮し、公道ではスリリングな走行を実現するために誕生した。
新しいヴァリアントについて、アストンマーティンのグローバルチーフブランド&コマーシャルオフィサーであるマルコ・マティアッチは「ヴァリアントは現代の最高傑作です。レースの伝統にインスピレーションを得て、Q by Aston MartinがF1®に刺激を受けた最新技術、異色な素材、徹底的な軽量化を駆使して生み出した。他では得られない、強烈で感動的なドライビングの実現に焦点を絞りました。パフォーマンス、トラック走行重視のダイナミクス、ハイパーカーの激烈さを究極まで融合したヴァリアントは、真のドライバーのために希少で並外れた車両を製作することに対するアストンマーティンの確固たる献身を体現しています」と述べた。
アストンマーティンの獰猛なフロントエンジン・モデルの特別限定エディションにおける新たな最高峰として、ヴァリアントは完全公道仕様を留めつつ、サーキットで最高のパフォーマンスを発揮することを狙い開発された。異彩を放つその仕様には、純粋さを求めるドライバーは歓喜し、最も要求の厳しいドライバーも思わず感嘆の声を上げるだろう。ヴァリアントはアストンマーティンの最高出力745PS、最大トルク753Nmの驚異的な5.2リッターV12ツインターボエンジンと6速マニュアル・トランスミッションを誇り、フェード知らずの強力な制動力を発揮する、フロント410mm x 38mm、リア360mm x 32mmのカーボンセラミック・ブレーキも標準装備する。
ヴァリアントには、本格的なサーキット走行を想定して軽量化やシャシー調整など数々のユニークな技術がちりばめられている。3Dプリンター製作のリアサブフレームを採用することで、剛性を下げることなく3kgの重量削減、同時にマグネシウム製トルクチューブによって車両中央部の質量を8.6kg削減している。フロント275/35、リア325/30のタイヤを装着する21インチの軽量マグネシウムホイールで、ステアリング・レスポンスとホイール・コントロールが向上し、バネ下重量も14kg削減する。さらに、モータースポーツ仕様のリチウムイオン・バッテリーによって11.5kgの削減も実現している。
ヴァリアントの特徴の中でも最も影響力が高いのは、マルチマティック社製アダプティブ・スプール・バルブ(ASV)ダンパーを装着したこと。それぞれのダンパーを32の個別のダンパー・カーブのいずれかに6ミリ秒以内に同時に調整するASVシステムは、アストンマーティンのエンジニアが乗り心地とハンドリング特性をほぼ無限に調整できる最新のサスペンション技術で、これまでモータースポーツの最上位レベルでしか見ることが叶わなかった、モータースポーツ級のダンピング制御およびオペレーション制御の幅が可能になる。マルチマティック社製ASVダンパーは、最上級クラスのダイナミックで、極めて限られたモデルでの装備例しかなく、アフターマーケットでは入手できない。
新しいサスペンションのセットアップの幅広さと、強化したエアロダイナミクスによるダウンフォースを活かすため、ヴァリアントのプリセットのドライビングモード(Sport、Sport+、Track)はそれぞれが再キャリブレーション済みで、ドライバーは車両性能を最大限引き出すことができる。マシンとの一体感、一貫性、信頼感を主な特徴としてマシンと密接な絆を築くことで、ヴァリアントの豊富なパフォーマンスをコントロールしながら、その高い能力を余すところなく探っていくことができる。
アストンマーティン・ビークルパフォーマンス担当取締役のサイモン・ニュートンは「ヴァリアントでは、公道走行も楽しめる使い勝手の良さを残しながら、トラック機能を大幅に引き上げることに重点を置いています。V12の最高出力を745PSに高める、マルチマティック社製ASVダンパーでシャシーのセットアップの完成度をあげる、ボディ形状の変更によりダウンフォースを強化する、軽量素材やプロセスの使用で重量削減を図るなど、主な領域すべてで調整を行いパフォーマンス向上と今まで以上の感動が体験いただけます。とりわけ、あらゆる動きの中心にドライバーを据えています。最大限の満足感が得られるようコントロールウェイトを磨きあげ、マニュアル・トランスミッションのシフト動作を極め、ハンドリングの制限を引き上げてもなお操作性は高く満足感が得られます。このすべてが、他では得られない素晴らしい体験の創造につながります」と述べた。
アグレッシブで過激、曖昧さのないヴァリアントのドラマチックなボディワークには、強い意思表示が感じられます。軽量カーボンファイバーを全体に使用した、心に訴えかけるシルエットにはまさにヘビー級パンチの威力がある。幅広の筋肉質なボディに刻まれたシャープなラインは、ダウンフォースを発生させて安定性を確保し、スピード低下させる空気抵抗を最小限に抑える。ヴァリアントの完璧な造形は、その隅々に至るまで、美的であると同時に空力性能も実現している。
ヴァリアントの深いフロントスプリッターは、最大限の効率で空を裂きながらノーズを路面に低く張り付かせる。一方、特徴的な多層構造のエンドプレーンはフロントホイール周辺の空気の流れを導き、整える。スプリッターの真上には車幅全体に広がるカーボン製グリルが、エンジン冷却空気の流れを増やすと同時にフロントアクスル前方の重量を削減し、重量を中心部に集中させることでハンドリングを向上させている。
ヴァリアントで最も特徴的な機能パーツは、大きく丸みを帯びたサイドフェンダーと21インチのマグネシウムホイールに装着されたカーボンファイバー製エアロディスク。幅の広いサイドシルとリアホイールの前の上向きに反ったボーテックスジェネレーターは、フロントスプリッターのエンドプレーンと連携し、側面の空気の流れを整えて、乱気流、空気抵抗、浮き上がりを低減する。
伝説的なル・マン・レースカー、1980年登場の RHAM/1「Muncher」に装着されていたホイールカバーにインスピレーションを得て、軽量鍛造マグネシウムホイールに直接装着したエアロディスクは、ホイールの回転から生じる乱気流と空気抵抗を抑える。これに加え、戦略的に配置された6つの吸気口が冷却用の空気をカーボンセラミック・ブレーキに送り込み、カーボンセラミック・ディスクによって生じる高温の空気を排出するホイール外周開口部と共に、トラック走行時に最適なブレーキ性能を維持する。
ヴァリアントのリアデザインも、シャープなヴァリアントカムテールと大胆に上向きに反ったデッキリッド、その上には大きな固定ウイングと、同様に機能的でドラマチック。フロントスプリッターによって発生したダウンフォースとのバランスを取る形状と、パフォーマンス能力に対する疑念を一切抱かせないスタイルで、ヴァリアントの数多くの特徴的なデザインのひとつとなっている。固定一体型クラムシェルのリアはヒンジ開閉のリアスクリーンパネルを備え、レース用ヘルメットやレースウェアの収納にふさわしい積載スペースを提供する。
エアロダイナミクスパッケージの最後のパーツは機能的なリアディフューザー。空気抵抗と浮き上がりを効果的に削減するために数値流体力学(CFD)を用いて設計したリアディフューザーはカーボンファイバー製で、リア部分の重量削減にも一役買っている。また、最大の視覚効果を狙うと同時に745PSのV12エンジンの驚異的なエキゾーストサウンドを生み出すために調整されたヴァリアントの華麗なクアッド・エグジットのチタン製エキゾーストシステムを美しく囲む役割も果たしている。
エクステリア同様、ヴァリアントのインテリアも、レースで培った機能性とアストンマーティンの定評ある完璧な装飾デザインと熟練した素材の扱いを鮮やかに組み合わせている。2シートのコックピットには、ドラマと決意が詰まっている。剥き出しのサテン仕上げのカーボンファイバーの広範囲にわたる使用はヴァリアントが軽量素材を重用する証であり、シートパディングの戦略的な配置と精巧に仕立てられた軽量素材の内装が、的を絞った快適性、ラグジュアリー、手触りを生み出している。
ドライバーとマシンが通じ合う箇所には、細心の注意を払っている。これは新しいステアリングホイールから始まる。車両の随所に見られる純粋さと絆を反映するデザインのヴァリアント独自のステアリングホイールは完璧な円形で、直感的な操作と集中力維持のため、細めのリムとスポークにはスイッチ類が一切ない。
マニュアル・ギアボックスの機械的な面にスポットライトを当てるため、トランスミッション・トンネルは内部が一部見える構造で、6速トランスアクスルに後方に向かうギア連結を見ることができる。ギアシフトの重みと感触を完璧にすることに重点を置いて開発された新しいビスポークの球形ギアノブとHパターンのギアシフトが、シフト動作の効率と正確性を最大限に高める。
サーキット走行を念頭に設計したヴァリアントにとって、ドライバーの快適性と安全性は何よりも重要な点だ。このため、ヴァリアントはハーフケージとビスポークのトリムのRecaro社製Podiumシートを標準装備している。スチール製のハーフケージは、4点レースハーネス装着時のアンカーポイントとしても使用できる。レカロ社製Podiumシートは、横方向とショルダー部のサポート力が優れているほか、胴部分のパッシブベンチレーションを装備したパッドは革新的で過酷なドライビングでも快適さはアップする。
キャビントリムはアルカンターラまたはセミアニリンレザーから選べる。アルカンターラのシートに施したキルティングの「デボス」加工と、最大限のコントロールを実現するための手触りの良いアルカンターラのステアリングホイールにも、ヴァリアントの軽量素材重視の姿勢を見ることができる。ビスポークのドアパネルは彫像のようなデザインで、メッシュのインサートパネルと軽量の布製ドアリリースハンドルでも軽量化が図られている。
ヴァリアントのアグレッシブな外観について、アストンマーティンのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーであるマレク・ライヒマンは「ヴァリアントは外向的と言えるでしょう。一目見ただけで、その意図は明確にわかります。公道走行も可能でありながら、サーキットでも最大限に楽しめることを目的とした真のサラブレッドであり、モータースポーツから明確にインスピレーションを得て、ドラマチックで筋肉質の造形と数々の美しく機能的なディテールがその性格を表現しています。具体的には、偉大なル・マン・レースカー「Muncher」にちなんだ、ホイールを覆うエアロディスクと、内燃エンジンを称え、アストンマーティンの堂々たるV12エンジンのエキゾーストサウンドに賛辞を送る、大口径のチタン製エキゾーストパイプ4本組などがあります。」と述べた絵。
デリバリーは2024年第4半期に始まるが、ヴァリアントの一般公開は2024年グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(7月11日~14日)にて、名高いヒルクライムコースのダイナミックなデモンストレーションとともに行われる予定。デモ走行のひとつはヴァリアントの最初のオーナー、F1世界チャンピオンに2度輝いたアストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームのドライバーであるフェルナンド・アロンソが行う。
カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム / フェルナンド・アロンソ / 自動車ニュース
ヴァリアントは、アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームのドライバーであるフェルナンド・アロンソの「軽量で過激さを増した、レーシングカーの要素を取り入れたValourが欲しい」という個人的な依頼をきっかけに生まれた。この依頼と、アロンソの23年に及ぶF1のキャリアと限界走行への情熱に触発され、Q by Aston Martinのエキスパートたちの入念な設計と製作による厳格に台数を限定してヴァリアントが誕生した。究極のビスポーク・パーソナライゼーションを目指すQ by Aston Martinは、きめ細かいキュレーションのヴァリアントやValourなどのスペシャル・エディションを手掛けるほか、Victorのように完全に1台のみのワンオフモデルのスポーツカーの製作にも対応している。
ヴァリアントは、究極のハイパーカーであるヴァルキリー(Valkyrie)、ブランドで最もフォーカスされたスポーツカーであるヴァンテージ(Vantag)eとその“スピードのブラザー”と称されたVantage GT3レーシングカー、そしてもちろん近日発売予定のミッドエンジン・スーパーカーであるヴァルハラ(Valhalla)といった、公道とサーキットの両方で真のドライビング・インテンシティを提供し続けてきたアストンマーティンの系譜を色濃く受け継いでいる。ヴァーラー(Valour)とヴァリアントはいずれもブランドの象徴的な伝統からインスピレーションを得てデザインされている一方で、アストンマーティンの現代的なパフォーマンスの未来に確固たる姿勢で取り組み、クラスをリードするパワーやドライビング・ダイナミクス、最先端テクノロジーを提供して真のドライビング愛好家を間違いなく魅了する。
アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ・1チームのドライバーであるフェルナンド・アロンソは、「ヴァーラーは、アストンマーティンの110周年を華々しく祝うものであると同時に私を奮い立たせ、サーキットを重視しながらもオンロードでもスリリングなドライビングが楽しめるようなレーシングカーにインスパイアされたより過激なバージョンを作りたいと思わせてくれた。ヴァリアントは、限界走行に対する私の情熱から生まれたもので、デザインと技術仕様の両方の観点でQ by Aston Martinチームと密接に協力しながら、楽しむようにして協同した。傑作が誕生したと確信している」と語った。
野性味あるV12エンジンには過ぎ去りし時代の荒々しいスタイルと猛烈なパフォーマンスを残し、華麗なデザインには最先端の現代的なエンジニアリングと軽量素材を取り入れている。この2つが融合したヴァリアントは、パフォーマンスと反応の限界を押し広げ、アストンマーティンの至極のドライバーズカーをさらに進化させ、激化させ、革新した。レーストラックでは本領を発揮し、公道ではスリリングな走行を実現するために誕生した。
新しいヴァリアントについて、アストンマーティンのグローバルチーフブランド&コマーシャルオフィサーであるマルコ・マティアッチは「ヴァリアントは現代の最高傑作です。レースの伝統にインスピレーションを得て、Q by Aston MartinがF1®に刺激を受けた最新技術、異色な素材、徹底的な軽量化を駆使して生み出した。他では得られない、強烈で感動的なドライビングの実現に焦点を絞りました。パフォーマンス、トラック走行重視のダイナミクス、ハイパーカーの激烈さを究極まで融合したヴァリアントは、真のドライバーのために希少で並外れた車両を製作することに対するアストンマーティンの確固たる献身を体現しています」と述べた。
アストンマーティンの獰猛なフロントエンジン・モデルの特別限定エディションにおける新たな最高峰として、ヴァリアントは完全公道仕様を留めつつ、サーキットで最高のパフォーマンスを発揮することを狙い開発された。異彩を放つその仕様には、純粋さを求めるドライバーは歓喜し、最も要求の厳しいドライバーも思わず感嘆の声を上げるだろう。ヴァリアントはアストンマーティンの最高出力745PS、最大トルク753Nmの驚異的な5.2リッターV12ツインターボエンジンと6速マニュアル・トランスミッションを誇り、フェード知らずの強力な制動力を発揮する、フロント410mm x 38mm、リア360mm x 32mmのカーボンセラミック・ブレーキも標準装備する。
ヴァリアントには、本格的なサーキット走行を想定して軽量化やシャシー調整など数々のユニークな技術がちりばめられている。3Dプリンター製作のリアサブフレームを採用することで、剛性を下げることなく3kgの重量削減、同時にマグネシウム製トルクチューブによって車両中央部の質量を8.6kg削減している。フロント275/35、リア325/30のタイヤを装着する21インチの軽量マグネシウムホイールで、ステアリング・レスポンスとホイール・コントロールが向上し、バネ下重量も14kg削減する。さらに、モータースポーツ仕様のリチウムイオン・バッテリーによって11.5kgの削減も実現している。
ヴァリアントの特徴の中でも最も影響力が高いのは、マルチマティック社製アダプティブ・スプール・バルブ(ASV)ダンパーを装着したこと。それぞれのダンパーを32の個別のダンパー・カーブのいずれかに6ミリ秒以内に同時に調整するASVシステムは、アストンマーティンのエンジニアが乗り心地とハンドリング特性をほぼ無限に調整できる最新のサスペンション技術で、これまでモータースポーツの最上位レベルでしか見ることが叶わなかった、モータースポーツ級のダンピング制御およびオペレーション制御の幅が可能になる。マルチマティック社製ASVダンパーは、最上級クラスのダイナミックで、極めて限られたモデルでの装備例しかなく、アフターマーケットでは入手できない。
新しいサスペンションのセットアップの幅広さと、強化したエアロダイナミクスによるダウンフォースを活かすため、ヴァリアントのプリセットのドライビングモード(Sport、Sport+、Track)はそれぞれが再キャリブレーション済みで、ドライバーは車両性能を最大限引き出すことができる。マシンとの一体感、一貫性、信頼感を主な特徴としてマシンと密接な絆を築くことで、ヴァリアントの豊富なパフォーマンスをコントロールしながら、その高い能力を余すところなく探っていくことができる。
アストンマーティン・ビークルパフォーマンス担当取締役のサイモン・ニュートンは「ヴァリアントでは、公道走行も楽しめる使い勝手の良さを残しながら、トラック機能を大幅に引き上げることに重点を置いています。V12の最高出力を745PSに高める、マルチマティック社製ASVダンパーでシャシーのセットアップの完成度をあげる、ボディ形状の変更によりダウンフォースを強化する、軽量素材やプロセスの使用で重量削減を図るなど、主な領域すべてで調整を行いパフォーマンス向上と今まで以上の感動が体験いただけます。とりわけ、あらゆる動きの中心にドライバーを据えています。最大限の満足感が得られるようコントロールウェイトを磨きあげ、マニュアル・トランスミッションのシフト動作を極め、ハンドリングの制限を引き上げてもなお操作性は高く満足感が得られます。このすべてが、他では得られない素晴らしい体験の創造につながります」と述べた。
アグレッシブで過激、曖昧さのないヴァリアントのドラマチックなボディワークには、強い意思表示が感じられます。軽量カーボンファイバーを全体に使用した、心に訴えかけるシルエットにはまさにヘビー級パンチの威力がある。幅広の筋肉質なボディに刻まれたシャープなラインは、ダウンフォースを発生させて安定性を確保し、スピード低下させる空気抵抗を最小限に抑える。ヴァリアントの完璧な造形は、その隅々に至るまで、美的であると同時に空力性能も実現している。
ヴァリアントの深いフロントスプリッターは、最大限の効率で空を裂きながらノーズを路面に低く張り付かせる。一方、特徴的な多層構造のエンドプレーンはフロントホイール周辺の空気の流れを導き、整える。スプリッターの真上には車幅全体に広がるカーボン製グリルが、エンジン冷却空気の流れを増やすと同時にフロントアクスル前方の重量を削減し、重量を中心部に集中させることでハンドリングを向上させている。
ヴァリアントで最も特徴的な機能パーツは、大きく丸みを帯びたサイドフェンダーと21インチのマグネシウムホイールに装着されたカーボンファイバー製エアロディスク。幅の広いサイドシルとリアホイールの前の上向きに反ったボーテックスジェネレーターは、フロントスプリッターのエンドプレーンと連携し、側面の空気の流れを整えて、乱気流、空気抵抗、浮き上がりを低減する。
伝説的なル・マン・レースカー、1980年登場の RHAM/1「Muncher」に装着されていたホイールカバーにインスピレーションを得て、軽量鍛造マグネシウムホイールに直接装着したエアロディスクは、ホイールの回転から生じる乱気流と空気抵抗を抑える。これに加え、戦略的に配置された6つの吸気口が冷却用の空気をカーボンセラミック・ブレーキに送り込み、カーボンセラミック・ディスクによって生じる高温の空気を排出するホイール外周開口部と共に、トラック走行時に最適なブレーキ性能を維持する。
ヴァリアントのリアデザインも、シャープなヴァリアントカムテールと大胆に上向きに反ったデッキリッド、その上には大きな固定ウイングと、同様に機能的でドラマチック。フロントスプリッターによって発生したダウンフォースとのバランスを取る形状と、パフォーマンス能力に対する疑念を一切抱かせないスタイルで、ヴァリアントの数多くの特徴的なデザインのひとつとなっている。固定一体型クラムシェルのリアはヒンジ開閉のリアスクリーンパネルを備え、レース用ヘルメットやレースウェアの収納にふさわしい積載スペースを提供する。
エアロダイナミクスパッケージの最後のパーツは機能的なリアディフューザー。空気抵抗と浮き上がりを効果的に削減するために数値流体力学(CFD)を用いて設計したリアディフューザーはカーボンファイバー製で、リア部分の重量削減にも一役買っている。また、最大の視覚効果を狙うと同時に745PSのV12エンジンの驚異的なエキゾーストサウンドを生み出すために調整されたヴァリアントの華麗なクアッド・エグジットのチタン製エキゾーストシステムを美しく囲む役割も果たしている。
エクステリア同様、ヴァリアントのインテリアも、レースで培った機能性とアストンマーティンの定評ある完璧な装飾デザインと熟練した素材の扱いを鮮やかに組み合わせている。2シートのコックピットには、ドラマと決意が詰まっている。剥き出しのサテン仕上げのカーボンファイバーの広範囲にわたる使用はヴァリアントが軽量素材を重用する証であり、シートパディングの戦略的な配置と精巧に仕立てられた軽量素材の内装が、的を絞った快適性、ラグジュアリー、手触りを生み出している。
ドライバーとマシンが通じ合う箇所には、細心の注意を払っている。これは新しいステアリングホイールから始まる。車両の随所に見られる純粋さと絆を反映するデザインのヴァリアント独自のステアリングホイールは完璧な円形で、直感的な操作と集中力維持のため、細めのリムとスポークにはスイッチ類が一切ない。
マニュアル・ギアボックスの機械的な面にスポットライトを当てるため、トランスミッション・トンネルは内部が一部見える構造で、6速トランスアクスルに後方に向かうギア連結を見ることができる。ギアシフトの重みと感触を完璧にすることに重点を置いて開発された新しいビスポークの球形ギアノブとHパターンのギアシフトが、シフト動作の効率と正確性を最大限に高める。
サーキット走行を念頭に設計したヴァリアントにとって、ドライバーの快適性と安全性は何よりも重要な点だ。このため、ヴァリアントはハーフケージとビスポークのトリムのRecaro社製Podiumシートを標準装備している。スチール製のハーフケージは、4点レースハーネス装着時のアンカーポイントとしても使用できる。レカロ社製Podiumシートは、横方向とショルダー部のサポート力が優れているほか、胴部分のパッシブベンチレーションを装備したパッドは革新的で過酷なドライビングでも快適さはアップする。
キャビントリムはアルカンターラまたはセミアニリンレザーから選べる。アルカンターラのシートに施したキルティングの「デボス」加工と、最大限のコントロールを実現するための手触りの良いアルカンターラのステアリングホイールにも、ヴァリアントの軽量素材重視の姿勢を見ることができる。ビスポークのドアパネルは彫像のようなデザインで、メッシュのインサートパネルと軽量の布製ドアリリースハンドルでも軽量化が図られている。
ヴァリアントのアグレッシブな外観について、アストンマーティンのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーであるマレク・ライヒマンは「ヴァリアントは外向的と言えるでしょう。一目見ただけで、その意図は明確にわかります。公道走行も可能でありながら、サーキットでも最大限に楽しめることを目的とした真のサラブレッドであり、モータースポーツから明確にインスピレーションを得て、ドラマチックで筋肉質の造形と数々の美しく機能的なディテールがその性格を表現しています。具体的には、偉大なル・マン・レースカー「Muncher」にちなんだ、ホイールを覆うエアロディスクと、内燃エンジンを称え、アストンマーティンの堂々たるV12エンジンのエキゾーストサウンドに賛辞を送る、大口径のチタン製エキゾーストパイプ4本組などがあります。」と述べた絵。
デリバリーは2024年第4半期に始まるが、ヴァリアントの一般公開は2024年グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(7月11日~14日)にて、名高いヒルクライムコースのダイナミックなデモンストレーションとともに行われる予定。デモ走行のひとつはヴァリアントの最初のオーナー、F1世界チャンピオンに2度輝いたアストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームのドライバーであるフェルナンド・アロンソが行う。
カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム / フェルナンド・アロンソ / 自動車ニュース